27 / 88
序
『本の虫と - 趣味の領域 - 』
しおりを挟む
けれど、父上の話を聞く限り、姉上は随分早い段階でお妃教育を終え、王宮書庫室に入り浸っていたことが窺える。
それらを考えても…
恐らく姉上は本当に王宮書庫室に保管されている蔵書を全て読破されたのではないのでしょうか?
───もし、それが本当なら…
「父上、僕も姉上の捜索に参加させてください」
『だめだ。心配なのはわかるが、お前にはソフィアのフリをして王太子の婚約者を…』
「ええ、わかっています。
もちろん、それもそうですが… 父上のその話を聞く限り、姉上が事件に巻き込まれていることも視野にいれる必要があるかと」
『……どういうことだ?』
僕の言葉に父上は剣呑な眼差しを向ける…。
「僕や姉上の本好き、というのはそこらの本好きとは違う領域なんですよ。簡単に言えば趣味の域を、その範疇を超える… つまりは、そういうことです」
そう、知識というのは武器にもなる。ましてや、姉上は王宮書庫室に自由に立ち入りができ、持ち出し禁止の禁術書も閲覧した可能性があることも踏まえると、それを悪用しようと企む輩がいてもおかしくない。
……つまり、そういうことだ。
「それに、僕や姉上の本好きは今に始まったことではありません。その趣味の域を超える本好きというのは大抵の貴族なら一度は耳にしたことはあるかと。不本意ながら、僕と姉上の本好きは随分有名な話らしいですから」
その言葉に父上の表情が険しくなる。
「そんな本好きで有名な姉上が王太子殿下の婚約者になれば必然と王城に登城し、妃となるべくお妃教育を受けることは誰もがわかりきっていること。ましてや、そこに本好きで趣味は本を読破!!とか、言いそうなあの姉上ですよ?持ち出し禁止物や禁術書が保管されている王宮書庫室に入り浸ることは誰もが目に見えることだと思いますが」
『ぐ…っ!確かに、言われてみれば…』
そこは盲点だった、と項垂れる父上にさらに追い打ちかけるように僕は続ける。
「───これらのことを挙げると、今回の姉上の件をただの家出と片付けるのは些か早急すぎるかと。僕は思うのですが…」
それに、と父上の表情が強張るのを無視し、さらに続けた。
それらを考えても…
恐らく姉上は本当に王宮書庫室に保管されている蔵書を全て読破されたのではないのでしょうか?
───もし、それが本当なら…
「父上、僕も姉上の捜索に参加させてください」
『だめだ。心配なのはわかるが、お前にはソフィアのフリをして王太子の婚約者を…』
「ええ、わかっています。
もちろん、それもそうですが… 父上のその話を聞く限り、姉上が事件に巻き込まれていることも視野にいれる必要があるかと」
『……どういうことだ?』
僕の言葉に父上は剣呑な眼差しを向ける…。
「僕や姉上の本好き、というのはそこらの本好きとは違う領域なんですよ。簡単に言えば趣味の域を、その範疇を超える… つまりは、そういうことです」
そう、知識というのは武器にもなる。ましてや、姉上は王宮書庫室に自由に立ち入りができ、持ち出し禁止の禁術書も閲覧した可能性があることも踏まえると、それを悪用しようと企む輩がいてもおかしくない。
……つまり、そういうことだ。
「それに、僕や姉上の本好きは今に始まったことではありません。その趣味の域を超える本好きというのは大抵の貴族なら一度は耳にしたことはあるかと。不本意ながら、僕と姉上の本好きは随分有名な話らしいですから」
その言葉に父上の表情が険しくなる。
「そんな本好きで有名な姉上が王太子殿下の婚約者になれば必然と王城に登城し、妃となるべくお妃教育を受けることは誰もがわかりきっていること。ましてや、そこに本好きで趣味は本を読破!!とか、言いそうなあの姉上ですよ?持ち出し禁止物や禁術書が保管されている王宮書庫室に入り浸ることは誰もが目に見えることだと思いますが」
『ぐ…っ!確かに、言われてみれば…』
そこは盲点だった、と項垂れる父上にさらに追い打ちかけるように僕は続ける。
「───これらのことを挙げると、今回の姉上の件をただの家出と片付けるのは些か早急すぎるかと。僕は思うのですが…」
それに、と父上の表情が強張るのを無視し、さらに続けた。
12
お気に入りに追加
1,384
あなたにおすすめの小説
残虐悪徳一族に転生した
白鳩 唯斗
BL
前世で読んでいた小説の世界。
男主人公とヒロインを阻む、悪徳一族に転生してしまった。
第三皇子として新たな生を受けた主人公は、残虐な兄弟や、悪政を敷く皇帝から生き残る為に、残虐な人物を演じる。
そんな中、主人公は皇城に訪れた男主人公に遭遇する。
ガッツリBLでは無く、愛情よりも友情に近いかもしれません。
*残虐な描写があります。
皇帝の立役者
白鳩 唯斗
BL
実の弟に毒を盛られた。
「全てあなた達が悪いんですよ」
ローウェル皇室第一子、ミハエル・ローウェルが死に際に聞いた言葉だった。
その意味を考える間もなく、意識を手放したミハエルだったが・・・。
目を開けると、数年前に回帰していた。
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる