上 下
23 / 88

『病弱設定と - 不本意な女装 - 』

しおりを挟む
『……だから、だな。とりあえず、その… 冷気をしまってもらいたいのだが』

「………」


部屋一面を囲む天井から伸びる氷柱をチラ見する父上に仕方なしに漏れ出た魔力を抑え込む。


『───ふぅ、それでだな。

アラン、お前には… 姉のソフィアに成り代わってもらう』


真面目顔でそう告げた父上の言葉に今度こそ僕は固まった。

『…幸いにも、お前とソフィアは背格好はそこまで差がない。それに、加え、お前の顔はどちらかと言えば良くて中性的、悪く言えば女顔だ』


・・・この人、息子に向かって堂々 女顔って言いましたよ!?

『ソフィアは… こっちで捜す。無論、ソフィアが消息絶ったことが外にバレるわけにはいかない。どんな噂を流されるかわからんからな。よって、その間お前にはソフィアの空席を埋めてもらう。もちろん、学園でのソフィアの空席も、だ』


いやいやいや!この人は自分が何を言っているのか分かって言っているのだろうか。

「で、ですが父上!姉上は女性で僕は男…」

『無論、わかっている。だから、お前には女装してもらう』

「・・・は!?」

『仕方がないのだ。婚約していないのなら、まだしも… よりによって、王族と、あの王太子と婚約を結んでいるのだ。ふぅ、それも… こちらからの縁組みで』


じょ、女装…!?自分の顔がどんどん引き攣っていくのがわかる。こんな話、聞いたことがない!

『───そういうわけだ。こっちでソフィアを捜索している間、お前には女装してもらいソフィアの代わりを務めてもらう。…その間は本来の男のお前には病弱で養生し、寝たきりで部屋から出られないことにしておく』

問題ないな?と確認してくる父上に、いやいやいや!問題ありすぎでしょう!?と突っ込みたくなる。

「ち、父上!?普通に考えても問題がありすぎでしょう!?大体、女装して姉上のフリをするだなんて無茶苦茶ですよ!?」


大体、バレるに決まって…と苦言を漏らせば父上はそれは心配ない、と何を根拠にそう言い切れるのか、キリッとしたイケメン顔でそう言い切った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天使様はいつも不機嫌です

白鳩 唯斗
BL
 兎に角口が悪い主人公。

残虐悪徳一族に転生した

白鳩 唯斗
BL
 前世で読んでいた小説の世界。  男主人公とヒロインを阻む、悪徳一族に転生してしまった。  第三皇子として新たな生を受けた主人公は、残虐な兄弟や、悪政を敷く皇帝から生き残る為に、残虐な人物を演じる。  そんな中、主人公は皇城に訪れた男主人公に遭遇する。  ガッツリBLでは無く、愛情よりも友情に近いかもしれません。 *残虐な描写があります。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

皇帝の立役者

白鳩 唯斗
BL
 実の弟に毒を盛られた。 「全てあなた達が悪いんですよ」  ローウェル皇室第一子、ミハエル・ローウェルが死に際に聞いた言葉だった。  その意味を考える間もなく、意識を手放したミハエルだったが・・・。  目を開けると、数年前に回帰していた。

ただの悪役令息の従者です

白鳩 唯斗
BL
BLゲームの推し悪役令息の従者に転生した主人公のお話。 ※たまに少しグロい描写があるかもしれません。

管理委員長なんてさっさと辞めたい

白鳩 唯斗
BL
王道転校生のせいでストレス爆発寸前の主人公のお話

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

処理中です...