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始まりは…

『置き手紙と - 消えた公爵令嬢 - 』

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『なによー!だって、仕方ないじゃない。前世で乙女ゲームを途中までしか出来なかったんだから。……だから、ヘンリー様は途中までなら知ってるのよ。序盤の初っぱなから、やたらと謎の多いキャラで、でもヒロインのピンチをさり気なく助けたりとか…。

女の子を攫った人身売買の組織を壊滅させたりとか、もう!ヒーロー顔負けよ!!それでさり気なくみせる笑みが素敵で… ハァ…っ』


……この姉上ひとは人を疑うという言葉を知らないんでしょうかね?

「……でも、それは殿下にも言えることでは?」

『まあ、そうよね… うんうん。あなたの言いたいことはわかるわ!アラン。殿下や他の攻略対象者ももちろん駆けつけてくれるわ!
だって、ヒロインのピンチなんだもの!でも、そのヘンリー様は毎回いろんなところで現れて… 窮地に陥るヒロインに一番に駆けつけてヒロインは窮地を救われるのっ!

……ねっ!とっても凄いんだからっ』


そう言ってポッと頬を赤らめる姉上はそのヘンリーという男をこれでもかというくらいに賛美する…。

けれど、僕からすれば怪しすぎるに極まりない。窮地に決まって一番に駆けつけるって、あまりに出来すぎていないか…。そう思わざるを得なかった。

「……姉上はもう少し人を疑うべきです」

『なによもうっ!アランってば固く考え過ぎよ?』


そんな会話も、ついには僕が睡魔に負けてその夜はお開きになった…。それがまさか、なぜもっと姉上に強く言わなかったのか翌日、自分が後悔することになろうとは… 思わなかった。


────────………
──────…

「はい?今、な…んて…?」

翌朝、父上に呼び出された僕は耳を疑うあまり、執務室で酷く憔悴し、うな垂れる父に… もう一度尋ねる。

『───ソフィアが… 置き手紙を残して家出した』

「・・・姉上が!?」


そう、まさかの姉上が… 昨日、いつものように深夜遅くに僕の部屋に押しかけてきた姉上が…翌朝の今日、まさかの家出をしました。
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