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始まりは…
『自由奔放な姉の発言に弟は頭痛薬が欠かせない』
しおりを挟む「………」
どうしよう、本気で頭が痛い。そりゃあ、政略結婚が嫌なのはわかるよ?でも、平民は裕福な生活を出来るわけじゃない。好きなものを食べ、可愛いお洒落な服を着て贅沢三昧なんてのは以っての外で、今まで贅沢な暮らしに浸っていた姉上にそんな生活ができるはずがない。
「はああぁぁぁ……」
天井を一度仰いで、嘆息した。
『ちょ、ちょっと何よその溜め息は!!!?それからっ 私の顔を見て再度、溜め息つくのやめてくれない!?ものっすごく私に失礼よ?』
プクッと頬を膨らます姉上にますます頭が痛くなる。……あとで、頭痛薬でも飲もうか。否、姉上をこの部屋から追い出すのが先である。
頭痛の元凶は間違いなく、目の前にいる姉上なのだから──。
「すみませんね、なにせ姉上があまりにも自由奔放な発言ばかりするので…」
言外にあんたのせいだ、と目で訴える。そもそも、言うだけは自由だといっても限度があるでしょ。
『むぅ…っ! だって、一度ちゃんとした恋愛ってしてみたいじゃない』
手と手を組んで、キラキラと目を輝かせた姉上が僕に賛同を求め訴えかけるも、
「はぁ…。あなたが何を夢見ているのか想像はつきますけど、我々が貴族で生まれた以上は政略結婚は通る道です。つかの間、恋愛したところで後々別れるならば最初から恋愛なんてしないほうがマシでしょう」
それをバッサリ切り捨てる。
『アラン、あなた… 夢とかないの!?』
ロマンチックな恋とか、身分差をかき超えて…とかそういう憧れとかはないの!?と一気にまくし立ててくる姉上にもう激しい頭痛と溜め息しかない。
「はぁ、」
いったい、いつから我が姉はこんなロマンチストになったんだろうか。。
「憧れは憧れ、夢は夢ですよ姉上。最初に言っていたとおり言うだけなら自由ですが。そろそろいい加減、現実を見てください」
姉上のことを思ってそう言ったのに、
『アラン、あなた…!うっ、なんて可哀想な子なの!?そんなにも容姿に恵まれていながら、恋愛の ” れ ” すら知らないなんて!』
そして、ハッ!と口を両手で覆い、
『私ったら!そんな弟になんてことを…!』
と、なぜか僕の容姿のことを持ち出し、そう憐れんでくる。これ以上にないくらいイラッとしたのは… きっと気のせいなんかじゃない。
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