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始まりは…

『悪役令嬢は貴族を辞めたい』

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『ぅぐ…っ!そう言われると何も言えないわね。だって、仕方ないじゃない。初めてお会いしたときに一目惚だったんだもの!
それに… 父上に、殿下と結婚したいって言ったのって、子供のときよ?その頃だって、私の前世の記憶とか乙女ゲームの認識とかあやふやな部分があって、今みたいに私自身がまだ確立してなかったもの!

……それに、その頃の私は確かに少しは我が儘だったかもしれないわ』


ふぅ、と小さく息を吐く姉上に突っ込む。

「少し、は…?」

へぇ…?と半眼な目で見ると、『何よー』と姉上は唇を尖らせる。


『だから、改心したんじゃないの!まあ、まだ小さかったから取り返しがつかないことにならなかったことを考えればまだマシよ。

だって、乙女ゲームの私は我が儘な子供のまま成長しちゃって、ヒロインを学園と夜会で取り巻きの令嬢を使って苛めぬいたあげく、ならず者を雇ってヒロインを襲わせようとしたりして悪役令嬢になった私は良くて修道院送りルート。

その他はヒロイン大好きなヤンデレ攻略者対象者に雇われた暗殺者に殺されルートに、監獄島の陵辱エンドルートに、ギロチンで公開処刑ルートがあって、どれも嫌だもの!……それに、私はどっちかと言うと、政略結婚が主流の貴族令嬢なんか辞めて平民みたいに自由な恋愛結婚をしたいのよ』


・・・なんか、とんでもないことを言い出しましたようちの姉上が!なんでそれをもっと早く思い出さなかったんだ、この困った姉上は!よりによって、正式に殿下の婚約者に決まった今それを言う!?

『それに、自分自身が前の自分と今の自分を確立したら… 殿下ってこう、私の好みじゃないのよね』


……ちょっと待て。唐突になにを言い出すんだこのひとは。不敬にも程がある。……いや、そりゃぁ 僕も言えたことじゃないけどさ!!
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