ざまぁ!をされるつもりが… こんな展開、聞いてないっ

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始まりは…

『自称悪役令嬢たる姉と - 毎夜の子守唄 - 』

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──────……
───…

『───でねっ!私がその悪役令嬢なの!!」

「………」

『ちょっと、アラン!私の話を聞いてるの!?』

「え?あー…はいはい。聞いてますよちゃんと』

もう!アランってば、反応が薄いから聞いてるのか聞いてないのかわからないわ!と僕の生返事に不満を漏らす姉上は唇を尖らせる。

っていうか、文句言う前にそもそも人の部屋に押しかける時間帯を考えて欲しい。いくら王太子殿下と婚約しているとはいえ、婚前のご令嬢である姉上が弟とはいえ、深夜の夜遅くに男である僕の部屋に押しかけてくるのは些か問題があり過ぎると思うんですが。

ふぁ…っと欠伸をかみ殺す。


「えっ、と…? 王太子殿下と婚約した悪役令嬢は傲慢と高飛車な性格から皆からの嫌われ者で、そんな悪役令嬢に婚約者の王太子殿下も嫌気が差していたときに平民上がりで貴族の養子になったヒロインの男爵令嬢が現れて、平民上がりだと苛めを受けているところへ王太子殿下が何度か遭遇し、助けることで二人は親密な関係になる、と…。

そこに嫉妬した殿下の婚約者の悪役令嬢がヒロインの男爵令嬢を苛めて、それがさらに溝を生み、悪役令嬢の高飛車な性格に疲れきっていた王太子殿下はヒロインの男爵令嬢の陽だまりのような優しさに触れていくうちに、愛を囁やくようになる…と。

   それから、

王太子殿下の側近に、護衛。宰相のご子息を含めた他の公爵のご子息に騎士に、魔術師団長のご子息に… その他の攻略対象者によってヒロインの男爵令嬢の愛の争奪戦が繰り広げられ、悪役令嬢は卒業パーティーで王太子殿下を含めた攻略対象者によって断罪される… って話ですよね?」


───で、その悪役令嬢たる王太子殿下の婚約者サマが… 少しでも王太子殿下に好かれようと長い金髪の髪を縦巻きドリルにした姉上だと、そうおっしゃってるんですよね?と五月蝿くて敵わない姉上を黙らせるために、仕方なく口を開く。

『偉いじゃないアラン!ちゃんと私の話を聞いていたのね!!』

手をパン!と叩いて嬉しそうに顔を綻ばせる姉上にもうこれで何度目になるのか、小さく息をつく。

「それは… 聞きたくもないヒロインがビッチの話を姉上が毎日毎日飽きもせず話してくるからじゃないですか」

『え、ビッチ…?』


「だって、そうでしょう?前から思ってましたが、そのヒロイン?たる男爵令嬢はいろんな男に毎日毎日愛を囁かれる立場にいるってことですよね?

現実的に考えて無いですね。一体いつからこの国は一妻多夫制になったんですか?それも浮気じゃないですか。不貞もいいとこです。その上、宰相を始めとした有力諸侯のご子息。しかも、全員婚約者がお有りで。正直、何処ぞの王族かと思いました。婚約者アリの見目麗しい貴族男性を侍らすなんて、やることが趣味の悪い王族のハーレムじゃないですか。

……それ以外に何と言えと?」


少し非難めいた眼差しになるのは許してほしい。小さい頃から子守唄の如く飽きもせずそんな話を聞かせるものだから、もう端から端まで覚えてしまった。軽く、洗脳じゃないかと思ったくらいだ。
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