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プロローグ

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ガタン、ガタン…っ!

揺れる馬車に白とピンク、可愛らしい装飾と縁取られた刺繍に豪華なドレス。

そんなドレスに身を包んだ令嬢が… 否、令息がいた。そう、男の娘・・・である。ガタンガタン馬車に揺られながら遠ざかる公爵邸に…

『はああぁぁぁ……。娼館に売られていく村娘の気持ちってこんな感じ、なのかなぁ…?あぁでも殿下に失礼だよね?不敬罪…?いや、でも今の僕なら売られていく村娘の気持ちがわかる気がする…』


僕の場合は、娼館じゃなくて行く先が卒業パーティーだからまた違うのか、と思うもそれも杞憂にしかならなかった。
住み慣れた公爵邸を出てもう何度目になるだろうか、覆い隠すことも忘れた溜息が、唇から漏れていく。


大体、そもそも話が無茶苦茶過ぎるのだ。何がどうやったら男が男へと嫁ぐことになるのか。

───いや、それも今日まで。

なにせ、今日は… ついに待ちに望んだ卒業パーティー当日!婚約破棄を狙って、この日の為だけにどれだけ舞台を整え労働を費やしたことか。


ここまでくれば今までの僕の苦労も黒歴史も… まだ報われる、はず!そうに決まってる!そうでなきゃ、居た堪れない。僕が悲し過ぎる!なんとしてでも、今日の婚約破棄を成功させないとっ!

そう意気込んで、そもそも何でこんなことになったのかと… ことの発端を振り返った──…。
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