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嫌われ王女に転生しました!

───そして冒頭。

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──────……
───…

走馬灯が駆け巡り、全てを思い出した私は姿見に慌てて駆け寄って、それから頭を抱えた。

「う、う…う、そでしょ!?」

「あ、あの…っひ、姫さま…?」

床に這いつくばって、震える声で見上げるメイドに…現実味が増す。

ヒクッと顔が引き攣る。コレが夢なら… 今すぐに夢から覚めたい!!なんで、よりによって… あの『王宮ラビンスと異世界からの迷い人 ~ 聖なる乙女と五人の騎士 ~』の乙女ゲームなのよ!?しかも、最悪なことにあの悪名高き極悪王女に!!

詰んでる…!今の私、確実に詰んでる一方じゃない!

「ひ、姫さま…!もしや、そちらの生き物は魔物では!?」

ヒィッ!と悲鳴を上げて助けを呼ぼうとする彼女に慌てて待ったを掛ける。これ以上、詰みたくないのよ!!切実に。

「ち、ちがうわ!そうッ私の…ペットよ!!」

『は!?貴様ッこの私をペット呼ばわりなどと…!』

「お黙り!!!」

次、ぐだぐだ騒ぐものならトリの丸焼きにするわよ?と凄みをかける。

「ヒィッ!お、お許しくださいッ!」

「あ、や、ま… ち、ちがうのよ!マーサ、あなたのことじゃなくて…!」

思い出した記憶の中から、乙女ゲームの登場人物の名前を咄嗟に引っ張り出して目の前で顔色が悪いメイドがマーサという名前だったことを思い出す。

自分に言われていると勘違いしたメイドのマーサが今にも倒れそうなくらい顔色が土気色になっていて、必死に否定する中、アイツだけは『ハッ! ざまぁみろ』とぼやいていて、この事態をややこしくさせたアイツに殺意が芽生える。

そうよ!今はこんなヤツに構ってる暇はないわ。彼女には申し訳ないけど、ちょっと部屋から退場してもらって今の状況を整理しないと… 近い将来、私は断頭台行きになるのよ!

「ねぇ、マーサ。私、ちょっと頭が痛くて一人で休みたいのよ」

少し困ったように表情を曇らせる私に、『も、申し訳ありません!!』とマーサは怯えるばかりで。まぁ、これまでの極悪王女の行為を考えるとそれも仕方のないことかもしれないけど。。

すると、マーサは呆気にとられた顔で固まった。

(ん?どうしたのかしら…)

「そ、それだけでございますか…?」

「えっ?」

マーサの言葉に意図がわからず、首を傾げる。

「いつもは…っ いえ!な、なんでもありませんッ」

震える声で何かを言いかけたマーサは突然ハッと顔を強張らせて俯いてしまう。

 そこで気付いた。


彼女が言わんとしている言葉に…。

(……今までが今までだもの。何かにつけて鞭を振るったり拷問にかけて、いたぶるのが趣味と言えるような極悪王女が突然になって態度を変えてきたら専属メイドとは言え、マーサだって驚くわ。まあ、普通に考えて恐怖よね)

なにせ、今の私の体は… あの極悪王女なんだから。


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