目覚めたそこはBLゲームの中だった。

- ファンタジア王国と王都フィル -

ゲーム中の『ルイ・アクラス』は使い捨て駒要員。

――‥ そのうえ、『ルイ・アクラス』はゲームの悪役の下っ端の一人の手下のその①という、

まさに脇役中のさらに脇役に当てはまるんです。主人公のヒロインみたいなフラグが立つはずは… あるはずがないんです！！っていうか、あってたまるもんですか!!!…なのに、精霊が視えるとか…っ 本気と書いてマジでいらないんですけど！？

平常心を装いつつも、内心焦りを隠せない。

なんで平常心を装うのかって？
頭を抱えて胸の内の不満を叫びたいですよ！？ですが、そんなことをこんな街の中心部で… しかも王都でとなると、アクラス家なんて、ただでさえ悪評だというのに、『キチガイ』か『悪魔憑き』だなんて言われ兼ねない。


……別に今さらなので、そんな不名誉な噂くらい私自身、気にも留めませんが問題は私が『ルイ・アクラス』だということです。

なにしろ、

辿るべきルートに戻そうと修正が入るくらいなんです。ゲームの強制力でそのまま有りもしない噂に惑わされて一気に断罪ルートに一直線… だ、なんて全く笑えません。寧ろ、この世界ならありえるかも… と思ってしまう自分に、ほんとに嫌気がします。

精霊の何が嫌って？

だって、この世界の… もとい乙女ゲームの名前が『ファンタジア王国と精霊の愛し子』ですよ？精霊が視える時点でフラグというイヤな予感しかしないじゃないですか。ヒロインもとい、主人公ならまだしも… なぜ、脇役のさらに脇役にあたる『ルイ・アクラス』！？


ゲーム中のルイ・アクラスは確かに魔法は使えますが周囲の人間に比べて少し強い魔力を持ってるくらいでダントツ強いというわけでもなければ、精霊も､もちろん見えない。
だからこそ、脇役中のさらに脇役に当てはまり… 
主人公もといヒロインが攻略キャラとの愛を育むための当て馬として充あてがわれた使い捨て要員だったんです。

……まるで、生け贄じゃないですか。