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- 死は始まりに過ぎない -
どうも、その泣き顔を見ていると…
しおりを挟むガチャッという扉の開く音と…
『会長、こちらにいたんで…』
第三者の不意に途切れた声、
「はぁーっ…。また、ですか」
その声音には呆れと心配している様子が滲み出ていて‥
「ふ、ぅ…っふ、くかいちょー…」
誰も言わずもがな副会長で…
そんな副会長は俺の目尻に溜まった涙を指先で優しく掬い取ると…
微笑んだ。
「……いけませんね。どうも、その泣き顔を見ていると‥ より一層、鳴かせたくなります」
「は、ぇ?」
慰めるでもなく、何を言われたのか一瞬、耳を疑った。
自分で言うのもなんだけど、間抜けな面をしていたんだと思う。そんな俺に気にした感じもなく、副会長は眼鏡のブリッジを指先で軽く押し上げて目を細めた。
その瞳はまるで猛禽類が獲物を狙うように細められて…
ぞくり、と寒気がした。
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