35 / 36
- ファンタジア王国と王都フィル -
エルフ様の生暖かい眼差しに羞恥する。
しおりを挟む
ブフッ! くっくっ…と漏れる声にますます羞恥に顔が熱くなる。
「く…っ!すまない。笑うつもりはなかったんだが、」
クラウド様の笑う声に居た堪れなくなる…。目が潤んできた頃にまた、先ほどの浮遊感が襲う
「わ、わわ…っ!?」
「は、離して…下ろし、て…くださいっクラウド様っっ!!」
恥ずかしいやら、エルフ様に恐れ多いやらの恐怖感で、きゅっとその胸辺りの服を握りしめて顔を埋める。
いや、だって…
こんな羞恥に耐えられるわけがないじゃないですかっ!ぷるぷる震えるチキンな自分が恨めしい。
その上、乙女ゲームの中であり、相手はヒロインの攻略対象者なだけあって、美丈夫だ… !美形だ!!
至近距離でその顔とか、ムリなんですけどっっ!!!
……だから、気づかなかった。そんな見目麗しいエルフ様が『本当に小動物みたいだな…』とポツリと呟いていたことも。恐る恐るエルフ様の胸元からゆっくり顔を上げて見上げると、優しく目を細めていて、驚いて目をパチパチさせる。
「………様はいらない。クラウドでいい」
「・・・え、っ?」
衝撃すぎて一瞬、思考が停止してしまいましたよ!?
「いや… いやいやいや!!!!」
断じて拒否します!!なにが悲しくてヒロインの攻略対象者と仲良くしなきゃいけないんですか!近い未来、自分を断罪するとわかっていて誰が…
(ぐぅーーきゅるっ!きゅるるる…っ)
「………」
「………ぶ、ッ」
「………///」
ボンっと一気に顔が赤くなった。
「ブフッ、思ったより元気そうで安心した…。なに、そう恥ずかしがることはない。お腹が空くというのは生きている以上、誰しも訪れるものだ。エルフも動物も精霊も…魔物も。そして、人間にも。それらは等しく平等に誰にも訪れるものだ。生と死と生命と共に…。それが世の理だ」
「………」
「ふむ、といっても、お前はまだ幼い。…少し、この話は早かったか」
ブツブツ呟くエルフ様の袖を勇気を振り絞って、くいくいっと軽く引っ張る。
「ん?」
なんだ、と尋ねてくるエルフ様、いい加減下ろして頂きたいのですが…。
「あ、あの…!お、おろ…」
「?おろ…?なんだ?ゆっくりでいい。落ち着け」
……なぜ、私はさっきからこうも彼にあやされてばかりいるのでしょうか。ああっ!私がチキンでなければ… こんなことには!!!!
自分の運の悪さに悲観的になっていると、再びエルフ様が視線を合わせてくる。
「あ、あの…!」
「ん?」
く…っ!そんな目で見ないで!!どうして私はこのエルフに抱き抱えられたまま、生暖かい眼差しを向けられてるのでしょうか!?
私って、そこまで幼くないと思うのですが…
「お、下ろし『却下だ』
「………」
せめてもの抵抗と、じっと睨め付けるけれど…
「腹が減っているのだろう?」
フッと笑って、今までの生暖かい眼差しが、なぜか、より一層強くなった気がした。
「く…っ!すまない。笑うつもりはなかったんだが、」
クラウド様の笑う声に居た堪れなくなる…。目が潤んできた頃にまた、先ほどの浮遊感が襲う
「わ、わわ…っ!?」
「は、離して…下ろし、て…くださいっクラウド様っっ!!」
恥ずかしいやら、エルフ様に恐れ多いやらの恐怖感で、きゅっとその胸辺りの服を握りしめて顔を埋める。
いや、だって…
こんな羞恥に耐えられるわけがないじゃないですかっ!ぷるぷる震えるチキンな自分が恨めしい。
その上、乙女ゲームの中であり、相手はヒロインの攻略対象者なだけあって、美丈夫だ… !美形だ!!
至近距離でその顔とか、ムリなんですけどっっ!!!
……だから、気づかなかった。そんな見目麗しいエルフ様が『本当に小動物みたいだな…』とポツリと呟いていたことも。恐る恐るエルフ様の胸元からゆっくり顔を上げて見上げると、優しく目を細めていて、驚いて目をパチパチさせる。
「………様はいらない。クラウドでいい」
「・・・え、っ?」
衝撃すぎて一瞬、思考が停止してしまいましたよ!?
「いや… いやいやいや!!!!」
断じて拒否します!!なにが悲しくてヒロインの攻略対象者と仲良くしなきゃいけないんですか!近い未来、自分を断罪するとわかっていて誰が…
(ぐぅーーきゅるっ!きゅるるる…っ)
「………」
「………ぶ、ッ」
「………///」
ボンっと一気に顔が赤くなった。
「ブフッ、思ったより元気そうで安心した…。なに、そう恥ずかしがることはない。お腹が空くというのは生きている以上、誰しも訪れるものだ。エルフも動物も精霊も…魔物も。そして、人間にも。それらは等しく平等に誰にも訪れるものだ。生と死と生命と共に…。それが世の理だ」
「………」
「ふむ、といっても、お前はまだ幼い。…少し、この話は早かったか」
ブツブツ呟くエルフ様の袖を勇気を振り絞って、くいくいっと軽く引っ張る。
「ん?」
なんだ、と尋ねてくるエルフ様、いい加減下ろして頂きたいのですが…。
「あ、あの…!お、おろ…」
「?おろ…?なんだ?ゆっくりでいい。落ち着け」
……なぜ、私はさっきからこうも彼にあやされてばかりいるのでしょうか。ああっ!私がチキンでなければ… こんなことには!!!!
自分の運の悪さに悲観的になっていると、再びエルフ様が視線を合わせてくる。
「あ、あの…!」
「ん?」
く…っ!そんな目で見ないで!!どうして私はこのエルフに抱き抱えられたまま、生暖かい眼差しを向けられてるのでしょうか!?
私って、そこまで幼くないと思うのですが…
「お、下ろし『却下だ』
「………」
せめてもの抵抗と、じっと睨め付けるけれど…
「腹が減っているのだろう?」
フッと笑って、今までの生暖かい眼差しが、なぜか、より一層強くなった気がした。
17
お気に入りに追加
933
あなたにおすすめの小説
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。
イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。
力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。
だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。
イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる?
頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい?
俺、男と結婚するのか?

貧乏貴族の末っ子は、取り巻きのひとりをやめようと思う
まと
BL
色々と煩わしい為、そろそろ公爵家跡取りエルの取り巻きをこっそりやめようかなと一人立ちを決心するファヌ。
新たな出逢いやモテ道に期待を胸に膨らませ、ファヌは輝く学園生活をおくれるのか??!!
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

物語なんかじゃない
mahiro
BL
あの日、俺は知った。
俺は彼等に良いように使われ、用が済んだら捨てられる存在であると。
それから数百年後。
俺は転生し、ひとり旅に出ていた。
あてもなくただ、村を点々とする毎日であったのだが、とある人物に遭遇しその日々が変わることとなり………?

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。


【第2部開始】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~
ちくわぱん
BL
【第2部開始 更新は少々ゆっくりです】ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる