- カ ミ ツ キ 御影 -

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殺す気で掛からなければ死ぬぞ?

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「!」

「いつの間に人間が…!?」

驚く二人に紙人形は叱咤した

『最初からいたぞ馬鹿者。冷静さを欠け過ぎだぞ!?』

「「申し訳ございません!!」」

「おい… これは夢… じゃねぇよな?」

『夢だと思いたければ夢だと思えばいい』


警部さんの言葉に紙人形がフンッ!と鼻を鳴らした。


『ま、お前たちが他の人間に言ったところで信じる奴はいないと思うがな』

   尤もだった。


『お前たちもあの村に用があるのだろう?ちょうど良い。氷雨、啓大… この者たちも連れていくぞ』

    え!?いや、それはありがたいけど…

「正気ですか晴明さま!?」


氷雨と呼ばれた少年がすかさず反対を唱えたけど、紙人形は難無く答えた

『正気だ!…これには理由もある。邪魔な村の者達の相手を任せればいい。一般の人間よりも戦力にはなるだろう』

「……おいおい、勝手に話を進めんじゃねぇよ。つか、殺気立ったあの村の連中相手に加減なんかしてたらこっちが――…」

『誰も加減しろとは言っていない。…殺す気で掛からなければ死ぬぞ?相手が殺す気で来るのに加減など出来るはずがない。…余計に体力を消耗するだけだ』

「!」

『……心配などせずとも、あの村はもう終わりだ。土地は穢れ、土地神は堕ち、蓄積された負の念が呪いとなって村人共を蝕んでいる……

   遅かれ早かれ死ぬことに変わりはない』


 いや、そういう問題じゃなくて…

「俺と佐藤は警察なんだぞ!?んな、殺せるわけねぇだろ!」

警部さんの言うことも尤もだ。

『…ならば、勝手にしろ。無理強いするつもりはない』

氷雨の肩に乗った紙人形がさぁ行くぞと言って急かし、二人は短く頷くと足を進める‥

俺らは顔を見合わせると、彼らの後を追い掛けた。

――――……
――… 
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