- カ ミ ツ キ 御影 -

晴明さま、山神様が…

「晴明さま、山神様が…」

『知っている。水月の奴は特に規律には厳しいからな… だが、それよりも吉平に見つかるのがまずい』

……また､だ。吉平という人間も歴史人物で確か・・・晴明の息子――…

「あ、吉平さまですか…」

なんでそこで声のトーンが下がるんだ？

「吉平さま、姫ちゃんだーい好きだからね～」

『アレはブラコンだからな… 葉月もそうだが。吉平もあの子に甘やかし過ぎる気もするが』


顔に目も口もないのに、声音と雰囲気で何となく表情がわかる‥ 形代は偉そうに腕を組む

   ホント、マジでありえない…

『…しかし、火月にも困ったものだな。葉月を勝手に連れ出すとは…』

「規律のことですか？」


『うむ。アレは…

"山から下りてはならない。"あれは葉月だけに作った規律だからな。葉月が山を下りることが許されるのは七歳を迎えてからだ。
あの子はああ見えてまだ六歳。七歳を迎えれば神の加護は失くなり、一人前として認められる…

つまり、あの子はまだ不完全。…わかりやすく言えば力の制御がまだ上手くできない』

「え、それ‥ マズくないですか!?」

『…うむ。最初はあの子の動向を見守るつもりだったが…

あの子はまだ過去を引きずっている。それに加えて、この村だ… 力が暴走しなければ良いのだが』

そこで、その人の形をした紙人形は組んでいた腕を解いて、こっちに顔を向けた


『いい加減、出てきたらどうだ？人の子』

………バレた!? ってか、人の子って、まさか俺達のこと？


『何をしている？早く出て来い。…お前たちのことだぞ？』

いつのまにか、俺の足元に…

あの紙人形がいた。