- カ ミ ツ キ 御影 -

やだな、俺たちのせいじゃないですよ

「おめぇらが来たからだっっべ！！」

鎌を構えた老人が声を荒げた


「アンタらが来たからうちの若いもんが二人も死んじちまったんだ！」

かっぽうぎを着た村の女が悲痛の声をあげ、うぁぁあ！と泣き崩れる‥



農具を構えて今にも撲り掛かりそうな気迫でにじり寄る村人に俺達は一歩、後退する‥


「若ッ！」

「止せ、徹。一般人に手を出すなよ」


……やっぱり、徹とかいうゴツい奴を従えてる、あの九条という男、裏に通じる奴か。

しかし、九条はどうやら手を出すつもりはねぇらしい。前に警戒しつつ後ろに下がってやがる。


――… ん？

そういや、あのガキは‥？


怪しさ満点のガキだが、さすがにあの殺気立った村の連中の中、放っておくほど非道じゃねぇ。

あのガキを捜してっと、奴は仏のブルーシートなんかをめくって死体を悠長に拝見してやがる……


そして、奴が唐突に村の連中に言った



「やだな、俺たちのせいじゃないですよ。

一人目は人の手によるもの… 二人目の彼は・・・ 堕ちた神に殺されただけ。ただ､それだけです」


怯えるでもなく、奴はただ淡々と告げていく

「そう…

あなた達、村人が奉っているこの村の土地神… いや、守り神は聖域を穢されたことに怒りを感じている。


……といっても、わからないですよね。」



そう言って、あのガキは少し屈んで足元の地面を撫でた


「こうして地に触れるだけでも…

この土地から穢れと共に強い憎しみ、狂いそうなほどの怒り‥ それに深い悲しみが伝わってきます」

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