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どこで配合間違えたんだろ…?
しおりを挟む「…そういえば、ひよこ様。
新しい薬を作ってみたんです」
ボッコボコ‥
不気味な音を立てる紫色の液体を容れた小瓶を御影が軽く振る。
ずいっ!
「さ、ひよこにも優しい育毛と栄養剤です」
『………』
キュポンッ!と栓を抜いて、ひよこをわし掴みする葉月に啓大が疑問をぶつける。
「ちなみに姫ちゃん…
それ使ったことは‥」
「だから今から使うんだ。
ひよこ様相手なら、遠慮なく被験体に出来るし」
ピィィィイ!
『ひぃぃぃ!!
被験体!コイツ、今さらっと俺のことを被験体と吐かしたぞ!?』
「まぁまぁ…
あ!」
足元の小石につまずき、倒れかけた葉月の手から小瓶が舞う
「あ」
ーー ポタポタ…
液体を頭から被った氷雨の頭が…
「………ぶ、部隊長… だよね…?」
氷雨の髪が育毛剤という名前の通り、髪が伸びて伸びて伸びまくり…
顔は疎か、体や足も見えないほど… 頭から全身にかけて黒い毛に覆われた。
もさっ!
幸いにも伸びた髪はこれ以上伸びることはなかった。
ピ…
『うわ。このモッサリマリモ、危なく俺がなるところだった…』
「………」
さすがの啓大も顔が引き攣る。
「あれ…?
おかしいなぁ… どこで配合間違えたんだろ?」
うーん…?
ひたすら頭を傾げている葉月に見兼ねたひよこが口を出す。
ピ。
『いいから早くコイツを元に戻してやれ。
…俺が言うのもなんだが、可哀相だ』
そのひよこの言葉に葉月は顔を上げる。
「え?戻る薬なんてないですよ?」
ピヨ!?
『なんだと!?』
「だって作る必要性がないじゃないですか。ハサミで切れば済む話なんですから」
『………』
「………」
「………」
ジョキジョキッ!
その後、三時間かけて氷雨を覆う髪を元の長さまで切った。
氷雨は元通り。
――…が、しかし‥
「………。」
葉月の作る薬に氷雨がトラウマになったのは言うまでもない。
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