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廻りだす歯車…
しおりを挟む「……小鳥か。ふっ、まぁ今はいいか…」
「すみません…」
その困惑した表情に男もとい理人は笑う
「なら、今は君のことを小鳥と呼ぼうか」
「え…?」
目を細め、首筋を軽く触れられた葉月は擽ったくて、つい声を漏らしてしまう
「ん…っ」
あ、ヤバい。頭がモゾモゾする…っ 耳が出ちゃう!
どうしようっと、キュッ!と目をつむると
「ぶっ!くっくっく…」
理人さんはいつの間にか手を離していて、肩を震わせて笑っていた。
「はーぁ…っ まいったな、俺にそっちの気はなかったはずなんだが」
そう言って、また俺の髪をクシャクシャッと撫でる理人さん…
「あまり男の前で無防備になるな。鳥なら尚更… 翼を折られた鳥は逃げられない。鳥籠に入れられたらそれっきりだ」
「あ、の……?」
理人さんの言っていることが難しくてよくわからない。
「何でもないさ」
「はぁ…」
これも、ずっと山神の杜にいたから… そういう人間界の言葉に俺が疎いのかな?と自己完結する。
そのとき、気づいた。
頭に違和感を。
さっき、理人さんが俺の頭を撫でたよね…?じゃあ、ひよこ様は…
「!」
パッと慌てて手を頭に持っていけど、そこには…
「え!?」
ひよこがいなかった。
「どうしたんだ?」
!
「あのっ!俺の頭にひよこが乗っていませんでした!?」
「いや、最初からいなかったが…
いなくなったのか?俺も一緒に捜そう」
「あ、いえ!
大丈夫です。ひよこのぬいぐるみなので…。また作り直せばいいだけの話ですから」
「…そうか」
少し残念そうに顔をしかめる理人の表情に葉月は気付かず、
「すみません、俺、もう帰らないと…」
踵を返し、軽く頭を下げる。
「缶ジュース、ありがとうございました…
御堂院さん…」
「……理人だ」
「え?」
振り返る葉月に、
「君には名字ではなく、下の名前で…
理人と呼んで欲しい」
ふ…っ
「わかりました。理人さん」
柔和な笑みを浮かべて葉月はそれに応える。
「…また君に会えるか?」
「えぇ、また来ます」
気づいたら、そう言葉を返していた。そんな自分自身に驚きつつも、今度こそ、走り去っていく葉月を…
「…フッ、小鳥か」
いつまでも見つめていた。
ーーーーーー……
ーー…
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