- カ ミ ツ キ 御影 -

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初めての…

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ーー…

「すごい… 初めて見るものばかり…」


頭にひよこを乗せた葉月は一通り歩いた後、小さな公園に行き着いた。

さわさわ…


木葉が風で揺れる

「ん…っ!ふふっ 気持ちいいなぁ」


んーっ!と腕を伸ばしていた葉月の視界に、あるものが目に入った。

    ん?

「なんだろう…? この大きな箱…」

固くて大きな箱の中できれいに並んでいるモノを不思議に思って見ていると、笑う声が聞こえた。


「ぶっ!」

「え…?」

頭に"?"を浮かべて声のしたほうへ振り向くと、黒い髪をバックに、高そうな黒スーツを着こなした吊り目の美形な男が声を押し殺しながら笑っていた。

「さっきから見ていたが君は面白いな…っ 」

くくっ、と笑う低いバリトンの声に葉月の顔が瞬時に赤く染まった。


「……っな、なんですかいきなりっ!」

赤く染まった顔で男を睨み上げるも、


「いや、別に悪いとは言っていないさ」

笑うのをやめた男はその切れ目で葉月を見据える。


「で、君は自動販売機の前で何をしているんだ?」

……じっ、


「自動販売機って言うんですか?これ」

「?……ジュースか何かを飲みたかったんじゃないのか?」


「これが…

噂に聞くジュース…」


純粋に吃驚している葉月に怪訝な顔をしていた男はお金を入れた。


ガコッ!

ーー カタン、


「ほら、飲んでみろ」

男から受け取ったものの、開け方がわからない葉月が困惑していると、ひょいと奪われた。


「あ…」

プシュッ!


「これで飲めるだろう?」

苦笑いしながら、髪をクシャッと撫でられた葉月は羞恥からますます顔が赤くなっていく…

その赤くなった顔をごまかすように受け取った缶ジュースに恐る恐る口をつける


「!おいしい…」

「……自動販売機、ましてや缶ジュースを知らないなんて…

君はいったい…」


  !

もしかして、親に酷い扱いを受けているのか?と真剣に聞いてくる男に葉月は慌てて首を振った。


「違います!

その、俺の家は人里から離れた山の奥深くで… 周りには木々しかない地で育ったので、初めて見るものばかりなんです」


俯く葉月の髪を撫でて男は笑みを浮かべる

「誰もおかしいとは思っていない」

「あ、あのっ!これ… ありがとうございます」


手に持つ飲みかけの缶ジュースをちらりと見て言う葉月に男は答える

「なんだ、そんなことか…。別に缶ジュースの一つや二つ構わないさ」

「あぁ、そうだ。名前を言ってなかったな。
俺は… 御堂院みどういん 理人りひとだ。君の名前は?」



「俺の名前は…」

ピチチッ!


そのとき、空を飛んでいた小鳥を見て葉月は答えた。

「俺は… 小鳥ことりです」






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