- カ ミ ツ キ 御影 -

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雑鬼と御影

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ーー… そして今に至る。


「…それにしても、ひよこ様の… このふてぶてしい顔、誰かに似てる気がする…」

ピ!?

「そ、そんなことは…っ!」

焦る氷雨とビクつくひよこに気づいているのか気づいていないのか、葉月は苦笑を浮かべる。


「だよね。…で、俺と一緒に来るんだよね?ひよこ様。まぁ、本人がついて来るつもりなら仕方ないか。ひよこ様、失礼しますね」

ふわふわ体毛のひよこを手に乗せると、そのまま頭に乗せた。

「それじゃあ、ちょっと街まで下りてくるけど… 
父様たちに内緒にしてね」

「はい。…ですが、その… あまり無茶をなさらないでくださいよ?」


    ピッ!

葉月の頭の上で胸を張るひよこ。

…しかし、当然、葉月にひよこの様子が見れるわけがなく、


「?無茶なんかしないけど…?」

「違いますよ。今、言ったのは…  はぁ、もういいです」


ひよこにキッと睨まれた氷雨は小さく溜め息ついた。


ーーーーーーーー
ーーーー…

ーーザッ!

身軽に木から木へと跳び移る葉月の頭にはひよこがしがみついていた。

『あっ!御影だぁ!』

『御影~』

『御影御影だぁっ!』


わらわらと集まる声に振り返る葉月は笑みを浮かべる

雑鬼ざっき

頭に角が生えているモノ、目が三つあるモノ… それは様々だった。体長は皆、大体20㎝ほど。

その小動物を思わせる彼らを葉月は一括りに雑鬼と呼んでいる。


『御影御影!どっか行くのかぁ??』

「うん。ちょっと街まで下りてみようかなって」


じっ…

『街…』

『街に下りるのかぁ?』

『吉平がよく許したなぁ…』


ヒソヒソ、

雑鬼が集まってヒソヒソと話しているが、


「………(丸聞こえなんだけど)」

声が漏れていることに気づいていない雑鬼達に思わず笑ってしまった。


くすっ、

「大丈夫だよ、だけど内緒にしてね」


兄様は心配性だから、と苦笑する葉月に雑鬼たちは元気な声を送った


『うし、任せろ!』

『そうだな!気をつけて行けよ!!』


くすっ、

「ありがとう」


微笑を返し、山を下りる葉月を見送った後、


『…だけど、吉平が心配するのも仕方ねぇんじゃねぇか?』

『だなぁ!だって御影はああ見えてちょっと抜けてるからなぁ!』


自分が去った後に雑鬼たちにそんな会話が交わされてることなど知るはずもない葉月は、数年ぶりの下山に知らず知らず深い笑みを浮かべていた。


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