- カ ミ ツ キ 御影 -

子狐

山神様もとい父様はお狐様。
そして、母様と兄様も… 九尾の狐だという話。


見たことはないけれど、俺を家族として迎えてくれたあの日と変わらない、一向に年を取らないその姿に妖の血を引いているんだと納得せざるを得なかった。

そして、かく言う俺も…


「あ、葉月…  クスッ、また耳が出ているよ」


そうなのだ。

あの日、本当ならば真冬の山で力尽きて死ぬはずだった命を父様が術で生かしてくれた。


ーー… が、



父様はお狐様。

その術で新しい命を吹き込まれた俺はもはや、人間（ヒト）ではなくなり…  かと言って純粋な妖でもない。


だけど、

父様の術で新たな命を吹き込まれた俺の頭にはピクピク動く獣耳が生え、お尻からはもふもふした尻尾が生えていた…。


見た目は人に化けた子狐。

普段はしまっているけど、満月の日や驚いたり…  ちょっとでも気を抜くと、こうして出てしまうのだ。