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兄様、という人
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『葉月…』
それが此処での俺の新しい名前-
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーー……
『……づき… 葉月…』
高くもなく、低すぎることもない美しいテノールの声…
昔の夢を見ていた俺がゆっくり目を開けると、まるで平安時代のような濃色の直衣を身につけ、頭には冠を付けた淡く微笑む、自然に色づいた唇は官能的で長いまつげにふちどられた目は理知的で…
不思議な危うさが漂う中性的な顔をした美麗な青年が俺の顔を覗き込んでいた。
「………兄様、何しておられるんですか」
呆れ顔で言えば、
「ん?お前の寝顔を眺めていたんだよ」
にっこり顔でそう言われた。
兄様の着ている装束は… 今の時代とは掛け離れている。
…というのも、兄様は妖の血を引いているから。だけど、そんな兄様も昔は人間の世で暮らしていたみたいで、
名前は安倍 吉平という陰陽師として活躍していたという。
弟も一人いたみたいだけど、弟のほうは父の妖の血を濃く受け継いでる兄様(吉平)に比べ、人間だった母に近くーー
人間として生を真っ当したという。
それが此処での俺の新しい名前-
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ーーーーーー……
『……づき… 葉月…』
高くもなく、低すぎることもない美しいテノールの声…
昔の夢を見ていた俺がゆっくり目を開けると、まるで平安時代のような濃色の直衣を身につけ、頭には冠を付けた淡く微笑む、自然に色づいた唇は官能的で長いまつげにふちどられた目は理知的で…
不思議な危うさが漂う中性的な顔をした美麗な青年が俺の顔を覗き込んでいた。
「………兄様、何しておられるんですか」
呆れ顔で言えば、
「ん?お前の寝顔を眺めていたんだよ」
にっこり顔でそう言われた。
兄様の着ている装束は… 今の時代とは掛け離れている。
…というのも、兄様は妖の血を引いているから。だけど、そんな兄様も昔は人間の世で暮らしていたみたいで、
名前は安倍 吉平という陰陽師として活躍していたという。
弟も一人いたみたいだけど、弟のほうは父の妖の血を濃く受け継いでる兄様(吉平)に比べ、人間だった母に近くーー
人間として生を真っ当したという。
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