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第1章 月森ヶ丘自由学園

学園長は… 私と涙の叔父なんですよ。

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――‥

――――…‥


『……なにやっているんだあいつらは…?』


何を言っているのか、内容はわからないが、それでも幸村と岬の二人が特にぎゃあぎゃあと騒いでるのは、見てわかる…


『だめですね…。どう開けようとしても扉が開きません。恐らく他の教室も同じ状況でしょう

どうします?会長』


眼鏡のブリッジを指先で押し上げる柊は、静かに告げた

『会長、教室の‥このロックは一応、防犯セキュリティーによって作動するモノです。

普段は起動しないよう、学園長が管理している筈なのですが‥‥このスイッチは手動によって切り替えられるようになっているんです。


…学園長もしくは、学園長室に忍び込んだ人間にしか作動させることができません。が、外部からの侵入者はまずないでしょう。

なぜなら、学園長室は理事長室と変わらないほどセキュリティが万全だからです。となると… 恐らくスイッチを作動したのは学園長本人なのではないかと…』


電波もシャットアウトされているのか、柊がパソコンを開くも起動しない…


『…なんで、お前はそんなに詳しいんだ?』

その伊集院の問いに柊は心底嫌そうに言った


『学園長は私と涙の遠い親戚に当たるんですよ。……厳密に言えば、とっくの昔に家に勘当されていますが、ね』


『勘当?なんでまた…?』

『…数年前に一度事件を起こしているんですよ。知るかぎりですけど……。なんでも、父さんから聞いた話では未成年の少年を闇市で競売にかけていた、とか…。

それを知ったお爺様があの男を勘当したようです。まっ、自業自得ですが…。おじさんは一度は牢屋に入ったようですが、


それもつかの間。すぐに出てきたそうです。親戚達はおじさんを面汚し、と煙たがっているのですが‥‥人として終わりですね。

ですがまぁ、何も知らない涙だけは相変わらず、おじさんへの接し方は変わらないんです。…そのせいか、おじさんは涙を可愛がってるんですが、


私としては… 可愛がってるというより寧ろ――‥ 

品定めしているような、そんなふうにしか見えないんですよ。父と母も… おじさんのことを嫌悪しているみたいなんですがね

ですから、学園長は私を涙の兄だと知っているので学園のセキュリティシステムも教えてくれたんですよ。』


眉間を寄せつつ、そう漏らす柊は本当に不愉快だとばかりに岬達になにかを言っている学園長を睨みつけていた。
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