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第1章 月森ヶ丘自由学園

ひどい人達ですね。僕がそう、人を痛め付けるわけないでしょう…?

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「…いやですね?冗談に決まっているじゃないですか。 って、葵君。あなた、なに涙目になっているんですか…」


涙目になる葵に、冗談に決まっているでしょう?僕がそう、人を痛め付けるわけないでしょう…?

と呆れた声で言う岬だが、二人は違う。


(う、嘘じゃねぇ!!さっきの目は本気だった!!!)

と、今だ岬の本性を知らない葵は、本能で気付く。怒らせてはいけない人種だと‥。


(…わ、わいマジで委員長に殺されるんじゃ…っ!!?)

幸村は思う。

いつになったら平和な日常に戻れるんだろうか、と…。


裏生徒会室で岬と目が合った…

あの時から既に自分の平和な日常に終止符が打たれていたのかもしれない。


そう思うと、あの頃に裏生徒会として、やんちゃをやっていた日々を懐かしく思い、

…そうやって、何気に今の状況から現実逃避している幸村だった――‥。


「…幸村君、こんな時に現実逃避しないで下さい」

ベシッと幸村の頭を叩く岬は鬼だ。


「あいたっ!!なんやねんっもうっ!!」

頭を叩かれ、現実へ戻った幸村は恨めしげに岬を見遣るが、スルーされた‥。


岬達は死角に隠れると、学園長が男達に何かを命令する… その様子を静かに窺いながら、岬は先ほどの葵の質問に答えた

「…そういえば、葵君。先ほど貴方は何で自分まで逃げなきゃいけないんだ?とおっしゃいましたよね…?」


岬は葵を見据えて、眼鏡をくいっと押し上げる

「あ、あぁ…言ったけど」

「その答えは、僕と貴方々が一緒にいるところを見られたからです。実際は僕と貴方達はぶつかっただけなのですが‥

向こうとしては、そうもいかない。危険因子は芽から潰せ、と…


つまり、学園長はこの状況を目撃した貴方々もまとめて始末した方が無難だと思ったのでしょう?ですから、先ほど狙われたんです。僕がお二人を引っ張らなければ…

二人共、一瞬にしてあの世逝きでしたよ?よかったですね…? 身体がハチの巣にならなくて…」


無表情に淡々と告げる岬に葵と幸村は先ほど、ぎりぎりで弾が通過した場面を思い出し、青ざめるが‥

そんな二人に岬は呆れ顔で言う


「あんなことに一々青ざめていたら、キリがありませんよ?それに今の貴方々に安心できるような場所はないと思って下さい。‥向こうは、口封じしようと必死ですからね…」



まるで、人事のように淡々と話した。
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