室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

第1章 月森ヶ丘自由学園

安全運転？そんな悠長なことを言っていられませんよ

ブォォォオン…


猛スピードで車をどんどん抜いていく

そして、逃がさんとばかりに追ってくる三台の車…､


  ドンッ！！

時おり、互いに車をぶつけぶつけ合い、並ぶように同じ速さで追い詰める黒塗りの車、


ぐっ､と ハンドルを切り、岬は仕返しとばかりに車体をぶつける。

そんな攻防が繰り広げられていた…｡


「霧島っ!!｣

結城が叫び、何事かと思えば目の前にはトンネルが… 。しかも、前は混み混みの渋滞。

だが、あの岬に諦めるという辞書はない。


もちろん、強行突破だ!!

「お、お､おいっ!!まさか…まさか‥ッ」


光は俯いていた顔を上げ、その恐怖に青ざめる｡

「お前には安全運転という言葉はないのか!!?」


青ざめつつ、安全運転しろ!!と怒鳴る結城、もちろん､岬はというと…… 無視。

混み混みの車の間を無茶苦茶の運転でかい潜る岬達の車、


かなり、ぎりぎりだ。

   ｷｷｰｯ、 ｷｷｯ…

　　　　 　　ブォォオンｯ…


 パッパー!!

時おり、同じみのクラクションが鳴らされる‥｡そして、その後ろを同じくしてかい潜り追ってくる車三台。

トンネルに続く車の渋滞、岬はバックミラーをちらりと見て言った。


「しっかり掴まっていて下さい…」

ブォォォオン…


岬はアクセルをおもいっきり、踏み… そして、急ブレーキにハンドルを切る。

僅かな段差にその衝撃で車体は傾くが、岬は構わずトンネルの脇道を壁沿いに車体を傾けたまま、猛スピードで駆けぬけて行く。


今にも、ひっくり返るんじゃないかと思うほど、車の半分が傾いたまま突っ走る中、

後部席はパニックになっていた。



「あぎゃーっ!!」

「く、車がひっくり返る!!」

「し、死ぬ…」


幸村と望の二人は泣き叫び、光は恐怖で失神しかけていた――‥。