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序章 英国フォルティア学院

ねこの絆創膏

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――‥

    チュン…

「あー… 最悪。なぜ、昨日に今日立て続けに王宮に行かなければならないんだ?」

今のクリフェイドの顔はあまりにもの憂鬱さに眉間に皺が寄っている‥

おまけに朝早くに起こされ、機嫌は最高に悪かった。

「…え? 昴は来ないんですか?」


父に連れられ、これ以上にないほどに顔をしかめるクリフェイドは父から告げられた言葉に片眉が吊り上がる…

「俺もついているし、王宮で危険なことはないだろう」


あー… 段々と近づく政務室、憂鬱だ…

ついに扉の前についてしまった。アクシオンがノックし、クリフェイドの手を引き、中へと入ると痛いほどの視線が二人に集まる…

いや、正確にはアクシオンが連れてきたクリフェイドに、だが-…。


「クリフェイド」

アクシオンに挨拶を促され、クリフェイドは渋々名前を名乗る

「…どうも、はじめまして。クリフェイド・シュバルクと言います」

淡々と紡がれる言葉、丸っきり表情はなかった。部屋に入った途端、何やら様々な表情をし出す彼ら。

怪訝な顔をするも、クリフェイドは王もといアクスに促され、アクシオンの隣の席に座る

「ふむ…

お前がシュバルクの…」

そのとき、クリフェイドの頬に視線が行った。そこには猫のキャラクターの絆創膏が貼ってあった。

「………」

王だけではない。既に何人かクリフェイドが部屋に入ってきた時点で気付いた。彼の頬にあるキャラクター入りの絆創膏に。

それは、カリヤとして昨日、政務室に訪れたとき王への刺客と揉み合ったときに被っていたフードが取れた、そのときに何人かに見られたいた。


…その猫キャラクター入りの絆創膏は気絶したカリヤを部屋に運んだ際に頬も怪我していることに気づいた王が持ち合わせていた絆創膏を貼ったのだ。

本人は至ってそんなことに気づいていないため、微かに首を傾げるも気にしない。


「お前は…っ!!」

補佐官が荒々しく立ち上がるが、何かを口走る前に王に止められた。

「私が構わんのだ。余計なことは言うな」

王に止められた補佐官は渋々席に座る‥


それでも、吊り上がったキレ目の補佐官はクリフェイドを鋭い瞳で睨みつけ、王の瞳は玩具を見つけたかのように愉しげに歪められていた

クリフェイドは至って自分に向けられる視線の数々を無視。小さく笑う王である兄にアゼルは溜息つく。

弟に促された王は、椅子に深く腰をかけると今日の会議の本題へと入った

「さて、噂のシュバルクの末息子も見れたことだ。
今日の会議の本題に入る…

最近、王宮に忍び込む賊のことだ-」

-賊-という言葉に一瞬にして緊張感が漂う室内。
…が、クリフェイドに至ってはつまらなさそうに頬杖ついていた。
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