82 / 516
序章 英国フォルティア学院
現在と交差する過去の記憶
しおりを挟む
そして翌朝――…
新聞紙の面に大々的に取り上げられた一面、
『国家機密情報機関特殊組織の現在室長、スクワット・ブランドンに国の情報横流し疑惑!?』
という見出しだった。
わー… 書いてる書いてる。
もちろん、提供者はクリフェイドだ。因みに匿名で。
地位を持ったままだと、スクワット・ブランドンはまた絡んで来る…
そう思ったクリフェイドは自分が先手を打つべく、
ーー動いた。
こういうのに打ってつけなのがマスコミ。マスコミに疑惑を持ち掛ければ…
それはもう大々的に取り上げられることは予想ついていた。スクワットの不審な動きの写真なども送りつけた結果がこれだ。
――…これで、父の元に来ることはないだろう。ただ問題は…
「スクワットとヒューマン牧師だな…」
表に出て来なくても、裏では勢力を上げつつあるあの二人… 恐らく、一日に少なくとも数回は会ってるんじゃ……
「…………」
新聞紙を睨むクリフェイドを昴が心配そうに見つめていることに、
本人は気づいていない…。
何にしろ、ヒューマン牧師のやってることをどうにかしなければ…
「ん゙ー……」
ひたすら唸るクリフェイド、昴は暫くそれを眺めていたが特に口を挟むことはなかった。
そして、
――… 夜、
ホーホー…
フクロウが鳴く深夜、クリフェイドはパチッと目を開けるとベッドから起き上がる。
「……………」
ゴソゴソ…と勝手に造った隠し扉を開けると、中からフードつきの黒いローブに仮面、黒縁眼鏡に赤色の鬘を取り出した。
着替えたクリフェイドの姿は、短い赤髪に黒縁眼鏡、その上に目元を覆う繊細な仮面、全身を包む漆黒のローブ。服装もミステリアスで、まさに闇の如き黒装束。
ガラガラガラ…
窓を開け、足をかける。
監視カメラが設置された屋敷はセキュリティ万全だが、今は昼間にクリフェイドが少々弄ったため、その機能もなくしていた‥
トンッ…
クリフェイドは地面に無事着地すると、闇へと紛れ込む。
目指すは…
昨日、昼間に行ったセイントポール大聖堂――‥
――‥
ガサッ!
草を掻き分け、探す。
扉を…
「――っ!」
一瞬、何かを感じた。
背筋が寒くなるのを堪え探す。ヒューマン牧師が裏で組織している部屋の入口を‥。
――見つけた!
それは茫々の草村、そこにひっそりと建つボロボロになった倉庫らしき小さな小屋、
クリフェイドが扉から中の気配を伺うが何も感じない。気を張り詰め、そっと扉を開けると
中は埃臭い小屋、そう‥一見は…。
クリフェイドはひたすら探す。必ず、あると踏んでいる隠し扉のスイッチを…。
そのとき、
クリフェイドはふと視線を止めた。
その先にあるのは三本立ての蝋燭立て。だが、クリフェイドが実際に視線を止めていたのは‥
その蝋燭立ての器具に刻まれた紋章だった。
「あれは――‥ 」
クリフェイドは無意識に片手で顔を覆う
『テンプル騎士団よ!ソロモン王を引き渡し、我等の主にして偉大なるフランス王、フィリップ四世に忠誠を誓えっっ!!』
『お前たちは逃げるんだ。 私はもう…っ』
何かを諦めたような顔で手を引く青年たちの手を払い、首を横に振る憮然とした表情の金髪の少年…
『なりません!王っっ!!いったい何を…』
紋章の入った国旗を掲げ、迫る敵軍を見つめる少年は虚ろなる瞳、
『もう… 私は…… 疲れた。……生きることに』
仄かに笑みを浮かべる少年は今にも消えてしまいそうな儚く散る花のよう‥
その目には生気は感じられず、悲しみを携えていた…。
『王!?なにを…っ!!』
『私は――‥』
――‥
「……フランス王か」
クリフェイドは片手で顔を覆ったまま、
「…結局は、何も変わらないのか…」
そして、自嘲の笑みを浮かべた。
新聞紙の面に大々的に取り上げられた一面、
『国家機密情報機関特殊組織の現在室長、スクワット・ブランドンに国の情報横流し疑惑!?』
という見出しだった。
わー… 書いてる書いてる。
もちろん、提供者はクリフェイドだ。因みに匿名で。
地位を持ったままだと、スクワット・ブランドンはまた絡んで来る…
そう思ったクリフェイドは自分が先手を打つべく、
ーー動いた。
こういうのに打ってつけなのがマスコミ。マスコミに疑惑を持ち掛ければ…
それはもう大々的に取り上げられることは予想ついていた。スクワットの不審な動きの写真なども送りつけた結果がこれだ。
――…これで、父の元に来ることはないだろう。ただ問題は…
「スクワットとヒューマン牧師だな…」
表に出て来なくても、裏では勢力を上げつつあるあの二人… 恐らく、一日に少なくとも数回は会ってるんじゃ……
「…………」
新聞紙を睨むクリフェイドを昴が心配そうに見つめていることに、
本人は気づいていない…。
何にしろ、ヒューマン牧師のやってることをどうにかしなければ…
「ん゙ー……」
ひたすら唸るクリフェイド、昴は暫くそれを眺めていたが特に口を挟むことはなかった。
そして、
――… 夜、
ホーホー…
フクロウが鳴く深夜、クリフェイドはパチッと目を開けるとベッドから起き上がる。
「……………」
ゴソゴソ…と勝手に造った隠し扉を開けると、中からフードつきの黒いローブに仮面、黒縁眼鏡に赤色の鬘を取り出した。
着替えたクリフェイドの姿は、短い赤髪に黒縁眼鏡、その上に目元を覆う繊細な仮面、全身を包む漆黒のローブ。服装もミステリアスで、まさに闇の如き黒装束。
ガラガラガラ…
窓を開け、足をかける。
監視カメラが設置された屋敷はセキュリティ万全だが、今は昼間にクリフェイドが少々弄ったため、その機能もなくしていた‥
トンッ…
クリフェイドは地面に無事着地すると、闇へと紛れ込む。
目指すは…
昨日、昼間に行ったセイントポール大聖堂――‥
――‥
ガサッ!
草を掻き分け、探す。
扉を…
「――っ!」
一瞬、何かを感じた。
背筋が寒くなるのを堪え探す。ヒューマン牧師が裏で組織している部屋の入口を‥。
――見つけた!
それは茫々の草村、そこにひっそりと建つボロボロになった倉庫らしき小さな小屋、
クリフェイドが扉から中の気配を伺うが何も感じない。気を張り詰め、そっと扉を開けると
中は埃臭い小屋、そう‥一見は…。
クリフェイドはひたすら探す。必ず、あると踏んでいる隠し扉のスイッチを…。
そのとき、
クリフェイドはふと視線を止めた。
その先にあるのは三本立ての蝋燭立て。だが、クリフェイドが実際に視線を止めていたのは‥
その蝋燭立ての器具に刻まれた紋章だった。
「あれは――‥ 」
クリフェイドは無意識に片手で顔を覆う
『テンプル騎士団よ!ソロモン王を引き渡し、我等の主にして偉大なるフランス王、フィリップ四世に忠誠を誓えっっ!!』
『お前たちは逃げるんだ。 私はもう…っ』
何かを諦めたような顔で手を引く青年たちの手を払い、首を横に振る憮然とした表情の金髪の少年…
『なりません!王っっ!!いったい何を…』
紋章の入った国旗を掲げ、迫る敵軍を見つめる少年は虚ろなる瞳、
『もう… 私は…… 疲れた。……生きることに』
仄かに笑みを浮かべる少年は今にも消えてしまいそうな儚く散る花のよう‥
その目には生気は感じられず、悲しみを携えていた…。
『王!?なにを…っ!!』
『私は――‥』
――‥
「……フランス王か」
クリフェイドは片手で顔を覆ったまま、
「…結局は、何も変わらないのか…」
そして、自嘲の笑みを浮かべた。
0
お気に入りに追加
666
あなたにおすすめの小説
生徒会補佐様は平凡を望む
慎
BL
※《副会長様は平凡を望む…》 の転校する前の学園、四大不良校の一つ、東条自由ヶ丘学園でのお話。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
『───私に喧嘩売ってるのでしょうか?』
南が前の学園で、副会長として君臨するまでの諸々、武勇伝のお話。
本人の主張する平凡とは言い難い非日常を歩む… そんな副会長サマもとい南が副会長になるまでの過程と副会長として学園を支配… 否、天下の副会長様となって学園に降臨する話である──。
親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』
平凡くんの憂鬱
慎
BL
浮気ばかりする恋人を振ってから俺の憂鬱は始まった…。
――――――‥
――…
もう、うんざりしていた。
俺は所謂、"平凡"ってヤツで、付き合っていた恋人はまるで王子様。向こうから告ってきたとは言え、外見上 釣り合わないとは思ってたけど…
こうも、
堂々と恋人の前で浮気ばかり繰り返されたら、いい加減 百年の恋も冷めるというもの-
『別れてください』
だから、俺から別れを切り出した。
それから、
俺の憂鬱な日常は始まった――…。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
皆と仲良くしたい美青年の話
ねこりんご
BL
歩けば十人中十人が振り向く、集団生活をすれば彼を巡って必ず諍いが起きる、騒動の中心にはいつも彼がいる、そんな美貌を持って生まれた紫川鈴(しかわすず)。
しかし彼はある事情から極道の家で育てられている。そのような環境で身についた可憐な見た目とは相反した度胸は、地方トップと評される恐ろしい不良校でも発揮されるのだった。
高校になって再会した幼なじみ、中学の時の元いじめっ子、過保護すぎるお爺様、人外とまで呼ばれる恐怖の裏番…、個性的な人達に囲まれ、トラブルしか起きようが無い不良校で過ごす美青年の、ある恋物語。
中央柳高校一年生 紫川鈴、頑張ります!
━━━━━━━━━━━━━━━
いじめ、暴力表現あり。
R-18も予定しています。
決まり次第、別の話にまとめて投稿したいと思います。
この話自体はR-15で最後まで進んでいきます。
━━━━━━━━━━━━━━━
登場人物たちの別視点の話がいくつかあります。
黒の帳の話のタイトルをつけているので、読む際の参考にしていただければと思います。
黒の帳とあまり交わらない話は、個別のタイトルをつけています。
━━━━━━━━━━━━━━━
〜注意〜
失恋する人物が何人か居ます。
複数カプ、複数相手のカプが登場します。
主人公がかなり酷い目に遭います。
エンドが決まっていないので、タグがあやふやです。
恋愛感情以上のクソデカ感情表現があります。
総受けとの表記がありますが、一部振られます。
━━━━━━━━━━━━━━━
追記
登場人物紹介載せました。
ネタバレにならない程度に書いてみましたが、どうでしょうか。
この小説自体初投稿な上、初めて書いたので死ぬほど読みづらいと思います。
もっとここの紹介書いて!みたいなご意見をくださると、改善に繋がるのでありがたいです。
イラスト載せました。
デジタルに手が出せず、モノクロですが、楽しんで頂けたらと思います。
苦手な人は絶対見ないでください、自衛大事です!
別視点の人物の話を黒の帳に集合させました。
これで読みやすくなれば…と思います。
佐野国春の受難。
千花 夜
BL
※総愛され
更生して全寮制の学園に入学したら、生徒会風紀が軒並み元メンバー&敵グループのメンバーでした。
※ この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
※この物語にはネグレクト、虐待、法律違反、 暴力行為などの表現が含まれておりますが、作者にそれ等を推奨する意図はありません。
なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!
柑橘
BL
王道詰め合わせ。
ジャンルをお確かめの上お進み下さい。
7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです!
※目線が度々変わります。
※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。
※火曜日20:00
金曜日19:00
日曜日17:00更新
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる