66 / 516
序章 英国フォルティア学院
余計な詮索をして巻き込まれるのはごめんだ。
しおりを挟む
二人が話していると、
コツーー…
「おや、クリフェイド君じゃないか。それに…」
ポール・ヒューマン牧師が向こうから歩いてきた
「……ショーン・パトリックです」
「そうかい。パトリック君か…。いやぁ、クリフェイド君はなかなか馴染めてなさそうで心配だったが」
じろじろ…
「いやはや、もう君のような良い友達が出来たようで安心したよ」
ヒューマン牧師は自慢の白い髭を撫でながら目を細める
「――‥そういえば「すみません、ヒューマン牧師。僕たち急いで礼拝堂へ向かわなければいけないので…」
ヒューマン牧師の登場になぜか顔を青ざめたパトリック。クリフェイドはヒューマン牧師の声を遮り中断させると、軽く頭を下げ、パトリックの手を引いてその場所から離れた…。
「…フンッ!ただの生意気そうなガキかと思っていれば… 少しは賢そうだな」
ヒューマン牧師の呟きにクローシェは僅かに眉をひそめた。
「………」
――‥あの牧師…
だいぶ離れたところで引いていた手を離すとクリフェイドは考え込むように顎に手を当てる。
「…ごめん。
俺さ、あの人… 苦手?いや、怖いんだ。 階級もかなり上の位に就く人なんだけどさ、
あまり良くない噂もあるし… 」
怖い… か… 。
「…ヒューマン牧師だったけか?確かに、嫌な気を感じるが……
それにしても、噂というのが気になるな」
ちらりと横目で問うクリフェイドの視線に気付いたパトリックは周りに人がいないことを再度確認すると、声を低くして言った
「あの人は…
ヒューマン牧師は、孤児院から… 俺たちぐらいの子供を引き取るんだ」
……保護?
「けど!おかしいんだよ… 一つじゃない!あちこちの孤児院から子供を引き取っては… そのまま何処かに連れていくんだ。しかも、戻ってこないんだぜ?
おかしいだろ!?この教会が… 牧師が保護するんだったら… 他の牧師たちや子供の俺たちに紹介するはずなんだ。
だけど、ヒューマン牧師は引き取った孤児院の子供たちを紹介することもなく… 何処かに連れて行ったんだ。皆、孤児院の子供がヒューマン牧師に連れて行かれるところしか見ていないからさ、
なんか、おかしいんだろ?だから… こんな噂があるんだ。ヒューマン牧師は孤児院から引き取った子供たちを密かに行っている儀式に使ったんじゃないかって…。」
それは――‥
「それは… 」
「そうだよ、生け贄。それも、ヒューマン牧師の噂の一つなんだ…
生け贄を必要とする禁忌の行為、黒魔術。あの人はその黒魔術で悪魔を召喚している、という噂。……なんでも、ここの後継者のことを巡って暗殺を企てているとか… 信憑性薄いけど、
俺はやっぱ怖いな」
ずいぶん弱気なパトリックを見据えていたクリフェイドは顎に手を当てると、しばし無言になった。
噂――‥ そう、あくまで噂だ。
「…確かに、あの男は僕もあまり好きじゃないが…… あくまで噂だからな。ただの目撃だけじゃ、それは事実とは言い難い…」
クリフェイドは顎から手を離し、パトリックを見据えた
「……もしも事実だったとしても、向こうが古狸に違いはないからな。証拠らしき痕跡をみすみす残すような馬鹿ではないだろう。
それに――‥
どっちにしろ、僕には関係ないことだ」
クリフェイドはキッパリと言った
「は!?何でだよっ?!」
まさかの返答に驚きを隠せないパトリック、そんな彼をクリフェイドは冷ややかな目で見据えた
「馬鹿か!?お前…
証拠があって、初めて動けるんだ。証拠はない、信憑性の薄い噂に一度二度の目撃じゃ、話にもならない…
つまり、僕が言いたいことはだな?
余計な詮索はするな、ということだ。あの男… ヒューマン牧師とできるだけ関わるな、そういうことだ」
理解できたか?と視線で問うクリフェイドにパトリックは些か納得いかないようだ
「けどよっっ!!」
「その頭によく叩き込んでおけ…
余計な詮索は死をもたらす。死にたくなければ僕の忠告を聞いておくんだな 」
「………」
無言で立ち尽くすパトリックにクリフェイドは淡々とした口調で告げた
「そう、関わらなければいいだけの話だ…」
まるでその言葉はパトリックに言っているよりも、寧ろ自身にそう言い聞かせているようにも聞こえた。
コツーー…
「おや、クリフェイド君じゃないか。それに…」
ポール・ヒューマン牧師が向こうから歩いてきた
「……ショーン・パトリックです」
「そうかい。パトリック君か…。いやぁ、クリフェイド君はなかなか馴染めてなさそうで心配だったが」
じろじろ…
「いやはや、もう君のような良い友達が出来たようで安心したよ」
ヒューマン牧師は自慢の白い髭を撫でながら目を細める
「――‥そういえば「すみません、ヒューマン牧師。僕たち急いで礼拝堂へ向かわなければいけないので…」
ヒューマン牧師の登場になぜか顔を青ざめたパトリック。クリフェイドはヒューマン牧師の声を遮り中断させると、軽く頭を下げ、パトリックの手を引いてその場所から離れた…。
「…フンッ!ただの生意気そうなガキかと思っていれば… 少しは賢そうだな」
ヒューマン牧師の呟きにクローシェは僅かに眉をひそめた。
「………」
――‥あの牧師…
だいぶ離れたところで引いていた手を離すとクリフェイドは考え込むように顎に手を当てる。
「…ごめん。
俺さ、あの人… 苦手?いや、怖いんだ。 階級もかなり上の位に就く人なんだけどさ、
あまり良くない噂もあるし… 」
怖い… か… 。
「…ヒューマン牧師だったけか?確かに、嫌な気を感じるが……
それにしても、噂というのが気になるな」
ちらりと横目で問うクリフェイドの視線に気付いたパトリックは周りに人がいないことを再度確認すると、声を低くして言った
「あの人は…
ヒューマン牧師は、孤児院から… 俺たちぐらいの子供を引き取るんだ」
……保護?
「けど!おかしいんだよ… 一つじゃない!あちこちの孤児院から子供を引き取っては… そのまま何処かに連れていくんだ。しかも、戻ってこないんだぜ?
おかしいだろ!?この教会が… 牧師が保護するんだったら… 他の牧師たちや子供の俺たちに紹介するはずなんだ。
だけど、ヒューマン牧師は引き取った孤児院の子供たちを紹介することもなく… 何処かに連れて行ったんだ。皆、孤児院の子供がヒューマン牧師に連れて行かれるところしか見ていないからさ、
なんか、おかしいんだろ?だから… こんな噂があるんだ。ヒューマン牧師は孤児院から引き取った子供たちを密かに行っている儀式に使ったんじゃないかって…。」
それは――‥
「それは… 」
「そうだよ、生け贄。それも、ヒューマン牧師の噂の一つなんだ…
生け贄を必要とする禁忌の行為、黒魔術。あの人はその黒魔術で悪魔を召喚している、という噂。……なんでも、ここの後継者のことを巡って暗殺を企てているとか… 信憑性薄いけど、
俺はやっぱ怖いな」
ずいぶん弱気なパトリックを見据えていたクリフェイドは顎に手を当てると、しばし無言になった。
噂――‥ そう、あくまで噂だ。
「…確かに、あの男は僕もあまり好きじゃないが…… あくまで噂だからな。ただの目撃だけじゃ、それは事実とは言い難い…」
クリフェイドは顎から手を離し、パトリックを見据えた
「……もしも事実だったとしても、向こうが古狸に違いはないからな。証拠らしき痕跡をみすみす残すような馬鹿ではないだろう。
それに――‥
どっちにしろ、僕には関係ないことだ」
クリフェイドはキッパリと言った
「は!?何でだよっ?!」
まさかの返答に驚きを隠せないパトリック、そんな彼をクリフェイドは冷ややかな目で見据えた
「馬鹿か!?お前…
証拠があって、初めて動けるんだ。証拠はない、信憑性の薄い噂に一度二度の目撃じゃ、話にもならない…
つまり、僕が言いたいことはだな?
余計な詮索はするな、ということだ。あの男… ヒューマン牧師とできるだけ関わるな、そういうことだ」
理解できたか?と視線で問うクリフェイドにパトリックは些か納得いかないようだ
「けどよっっ!!」
「その頭によく叩き込んでおけ…
余計な詮索は死をもたらす。死にたくなければ僕の忠告を聞いておくんだな 」
「………」
無言で立ち尽くすパトリックにクリフェイドは淡々とした口調で告げた
「そう、関わらなければいいだけの話だ…」
まるでその言葉はパトリックに言っているよりも、寧ろ自身にそう言い聞かせているようにも聞こえた。
0
お気に入りに追加
668
あなたにおすすめの小説
親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』
生徒会補佐様は平凡を望む
慎
BL
※《副会長様は平凡を望む…》 の転校する前の学園、四大不良校の一つ、東条自由ヶ丘学園でのお話。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
『───私に喧嘩売ってるのでしょうか?』
南が前の学園で、副会長として君臨するまでの諸々、武勇伝のお話。
本人の主張する平凡とは言い難い非日常を歩む… そんな副会長サマもとい南が副会長になるまでの過程と副会長として学園を支配… 否、天下の副会長様となって学園に降臨する話である──。
BLゲーの悪役に転生したら予想外の展開でした。
たら
BL
はぁぁん??意味わからない。
【主人公】
前世→腐男子くん
前世は普通に平凡なオタクの腐男子。
周りには萌え系が好きと言っているが腐男子の事は墓場まで秘密にしている。
何故かめちゃくちゃハマってたBLゲームの大嫌いな悪役キャラに転生しててショック。
死んだ訳では無いのに意味わからん状態。
西園寺光輝 (さいおんじ こうき)悪役
超大金持ち西園寺財閥、西園寺家の御曹司。
我儘で俺様でありながら何でも完璧にこなす天才。
そのカリスマ性に憧れて取り巻きが沢山居る。
容姿は美しく髪は濡羽色で瞳は宝石のアメトリン。
ヒロインが攻略キャラ達と仲が良いのが気に食わなくて上手こと裏で虐めていた。
最終的には攻略キャラと攻略キャラ達に卒業パーティーで断罪されて学園を追放される。
ついでに西園寺財閥も悪事を暴かれて倒産した。
【君と僕とのLove学園】(君ラブ)
ストーリーとキャラデザ&設定が神すぎる上にボイスキャストも豪華でかなり話題になった大人気BLゲーム。
〜あらすじ〜
可愛い容姿をした超貧乏学生のヒロイン( ♂)がひょんな事から、道端で周りの人間に見て見ぬふりをされて心臓発作で蹲ってたLove学園の学園長を助けてお礼はいらないと言って立ち去った。
優しいヒロインの事が気になり勝手に調査したが、貧乏すぎて高校に行ってない事が分かり編入させるという形で恩返しをした。
そこから攻略キャラ達とラブストーリーが始まる!!
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
アリスの苦難
浅葱 花
BL
主人公、有栖川 紘(アリスガワ ヒロ)
彼は生徒会の庶務だった。
突然壊れた日常。
全校生徒からの繰り返される”制裁”
それでも彼はその事実を受け入れた。
…自分は受けるべき人間だからと。
生徒会会長と会計は王道から逃げたい
玲翔
BL
生徒会長 皇晴舞(すめらぎはるま)
生徒会会計 如月莉琉(きさらぎりる)
王道学園に入学した2人…
晴舞と莉琉は昔からの幼馴染、そして腐男子。
慣れ行きで生徒会に入ってしまったため、王道学園で必要な俺様とチャラ男を演じることにしたのだが…
アンチ転校生がやってきて!?
風紀委員長×生徒会長
親衛隊隊長×生徒会会計
投稿ゆったり進めていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる