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序章 英国フォルティア学院
夢だと思いたい
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――‥いない?消えた…?
「………なんだったんだ?今のは… 」
まさか、夢…?
小首を傾げるクリフェイドはハッと俯いていた顔を上げ、腕時計を見た
げっ… まずい。一時間半も経ってる…
時間がかなり経っていることに気づき、クリフェイドは慌てて踵を反し回廊へと出た
「ーッ! クリフェイド!戻ってこないから心配したよ?お腹はもう大丈夫なの?」
なかなか戻ってこない弟を心配したジルタニアスが迎えに来たようだ
「あ、はい…。すみません。こういう所に来たのは初めてだったので‥ 少し散歩してました」
クリフェイドは少し申し訳なさそうに眉を下げる‥
「大丈夫ならいいけど、心配するから今度からはちゃんと言ってよ」
困った表情でクリフェイドの髪をクシャリと撫でるジルタニアスは弟を心配する兄の顔だ。
「………あの、兄さん…」
ふと足を止めたクリフェイドは少し躊躇っていた
「…? どうしたの?クリフェイド??」
屈んでクリフェイドの目線に合わせたジルタニアスは言いづらそうに躊躇っている弟に優しく問いかける‥…
「…僕はおかしいんでしょうか?」
え? クリフェイドの口から出た言葉にジルタニアスは少し驚くも表情には出さず、クリフェイドの髪を撫でながら優しく訊く
「どうして、そう思うんだい?」
大丈夫だから言ってごらん… と優しく促す兄にクリフェイドは兄の袖を掴んだ
「さっき… 僕は幻覚を見たんです。物凄く偉そうな… 自称天使と名乗る俺様天使の幻覚を…
それだけじゃないんです… 幻覚が見えたと思ったら向こうから話しかけてくるという幻聴まで!!リアリストの僕が… 現実主義者の僕が…っ よりによって、そんな天使とかいう非科学的な存在の幻覚幻聴を見るなんて――
やっぱり僕はおかしいんでしょうか…」
本気で落ち込んでいる様子のクリフェイドにジルタニアスは苦笑を浮かべた
「んー… クリフェイドはおかしくないよ。確かに疲れていたり睡眠不足でそういうことになったりはあるだろうけど…
たぶん、クリフェイドの場合は本当に見たんじゃないかな?幻覚じゃなくて本物の天使をね‥。見える人には見えるっていうし、もしかしたら、向こうがクリフェイドに用があったのかもよ?」
「用、ですか…。」
ボソリと呟くクリフェイド、やがて首を振り
「もし、本物で用があって現れたのなら… それはリアリストである僕に喧嘩売ってるんでしょうか」
無表情に呟く。
そんなクリフェイドに兄のジルタニアスは困惑顔だ
「………どうやったら、そんな考えになるの?前から思ってたけど、クリフェイドはもう少し夢を持つべきだよ?
子供らしい夢とかね。その年でリアリストっていうのは… なんかつまらなくない??」
ま、人それぞれだけど…、と苦笑する兄をクリフェイドは無言で見上げる
――つまらない、か…。
「兄さんはそう言いますけど、子供らしい夢って… 僕、もうすぐ高校に入るんですよ? 夢も何もありませんよ」
そうかなぁ…? と言葉を漏らす兄にクリフェイドは無言で兄の顔を見上げた。
――…コツコツ
長い回廊を歩き父たちがいる礼拝堂へと向かうジルタニアスとクリフェイド‥。
「? …どうかしたの?クリフェイド??」
少し歳の離れた弟が歩んでいた足を止めていることに気づいたジルタニアスは後ろを振り返り首を傾げる…
「……………」
なぜ、弟は微動だにしない?
ジルタニアスが怪訝に見つめる先、そこにはある一点を見つめるクリフェイドの姿があった――‥
「………なんだったんだ?今のは… 」
まさか、夢…?
小首を傾げるクリフェイドはハッと俯いていた顔を上げ、腕時計を見た
げっ… まずい。一時間半も経ってる…
時間がかなり経っていることに気づき、クリフェイドは慌てて踵を反し回廊へと出た
「ーッ! クリフェイド!戻ってこないから心配したよ?お腹はもう大丈夫なの?」
なかなか戻ってこない弟を心配したジルタニアスが迎えに来たようだ
「あ、はい…。すみません。こういう所に来たのは初めてだったので‥ 少し散歩してました」
クリフェイドは少し申し訳なさそうに眉を下げる‥
「大丈夫ならいいけど、心配するから今度からはちゃんと言ってよ」
困った表情でクリフェイドの髪をクシャリと撫でるジルタニアスは弟を心配する兄の顔だ。
「………あの、兄さん…」
ふと足を止めたクリフェイドは少し躊躇っていた
「…? どうしたの?クリフェイド??」
屈んでクリフェイドの目線に合わせたジルタニアスは言いづらそうに躊躇っている弟に優しく問いかける‥…
「…僕はおかしいんでしょうか?」
え? クリフェイドの口から出た言葉にジルタニアスは少し驚くも表情には出さず、クリフェイドの髪を撫でながら優しく訊く
「どうして、そう思うんだい?」
大丈夫だから言ってごらん… と優しく促す兄にクリフェイドは兄の袖を掴んだ
「さっき… 僕は幻覚を見たんです。物凄く偉そうな… 自称天使と名乗る俺様天使の幻覚を…
それだけじゃないんです… 幻覚が見えたと思ったら向こうから話しかけてくるという幻聴まで!!リアリストの僕が… 現実主義者の僕が…っ よりによって、そんな天使とかいう非科学的な存在の幻覚幻聴を見るなんて――
やっぱり僕はおかしいんでしょうか…」
本気で落ち込んでいる様子のクリフェイドにジルタニアスは苦笑を浮かべた
「んー… クリフェイドはおかしくないよ。確かに疲れていたり睡眠不足でそういうことになったりはあるだろうけど…
たぶん、クリフェイドの場合は本当に見たんじゃないかな?幻覚じゃなくて本物の天使をね‥。見える人には見えるっていうし、もしかしたら、向こうがクリフェイドに用があったのかもよ?」
「用、ですか…。」
ボソリと呟くクリフェイド、やがて首を振り
「もし、本物で用があって現れたのなら… それはリアリストである僕に喧嘩売ってるんでしょうか」
無表情に呟く。
そんなクリフェイドに兄のジルタニアスは困惑顔だ
「………どうやったら、そんな考えになるの?前から思ってたけど、クリフェイドはもう少し夢を持つべきだよ?
子供らしい夢とかね。その年でリアリストっていうのは… なんかつまらなくない??」
ま、人それぞれだけど…、と苦笑する兄をクリフェイドは無言で見上げる
――つまらない、か…。
「兄さんはそう言いますけど、子供らしい夢って… 僕、もうすぐ高校に入るんですよ? 夢も何もありませんよ」
そうかなぁ…? と言葉を漏らす兄にクリフェイドは無言で兄の顔を見上げた。
――…コツコツ
長い回廊を歩き父たちがいる礼拝堂へと向かうジルタニアスとクリフェイド‥。
「? …どうかしたの?クリフェイド??」
少し歳の離れた弟が歩んでいた足を止めていることに気づいたジルタニアスは後ろを振り返り首を傾げる…
「……………」
なぜ、弟は微動だにしない?
ジルタニアスが怪訝に見つめる先、そこにはある一点を見つめるクリフェイドの姿があった――‥
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