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第1章 月森ヶ丘自由学園
下克上と地獄
しおりを挟むぶるっ…
(…お、おかしいですね。なぜ急に寒気が…それに何故か脳内で警報が鳴り響いて止まないのですが‥)
シフォンは、密かに感じるこの冷気ともいえるこの感覚を以前にも感じたことがあったのを思い出す
(Σはっ!!そうです!この感じはっ…!!)
「た…た‥いちょ、う…?」
そう尋ねるシフォンの顔には冷や汗が滲み出る
岬は、シフォンの声が聞こえなかったのか、無言。閉じていた目を開けた‥
そして、そんな岬の口から発せられた声は…
「…オイ゙、誰に指図してんだ?あ゙!!?」
冷たく地を這うような低くドスの篭った声だった。
「「「……………」」」
その岬のただならぬ様子に一瞬にして、シーン…と静まり返る中、学園長は、は?え?と混乱している。それも当然。岬に暗示をかけたのは学園長自身、おまけに自分の配下についたと思い込んでいたのだから、尚更のことだった。
───だが、そんな学園長を見る岬の目にはしだいに苛つきが垣間見える‥
「ちっ…。下僕がっ調子乗ってんじゃねーよ!!」
バシィィィッ!!
何処から出したのか、岬は丈夫そうな革で出来た鞭を学園長の身体に振り下ろす
「ひぎゃぁぁ!!」
そして、間もなく聞こえる学園長の悲鳴
さらに…
「頭が高いっっ」
――ビシィィッ!!!!
今度は頭が高いと、岬は鞭を学園長の肩を打つ。
その岬の、まるで人が変わったような今現在のその、容赦ない恐ろしい光景に、その場にいた誰もが全身の血の気が引いていく…
それほどまでに、今の光景は、とてつもなく恐ろしいことになっていた。
「……ちょっとぉぉ!!?銀髪君!!あれ、誰ネ!? 」
顔を引き攣らせ、隣にいるシフォンに問うも、シフォンは青ざめながら答えた
「・・・正真正銘の隊長です」
「知らないネ!!あんな人、私、知らないヨ!ちがうネ。きっとボスの皮を被った他人アルっ!!」
その恐ろしい光景に崙は、あれは他人だと否定する。そんな彼らを差し置き、岬はというと…
「オイ、新米の下僕が!!礼儀がなってねぇんじゃねーの?」
ズレる眼鏡を指で押し上げる岬は、ガタガタと震える学園長を蔑んだ目で見据える‥
その岬の、性格も口調も何もかも変わってしまった変わり様に学園長は怖じけづく
「ちっ…新米が気が利かねぇな。オイっ 肩を揉め!!」
「ひ…は、はいぃーーっっ!!」
学園長は鞭を打たれるという恐怖からか、ビクビクしながらもその岬の命令に従う
「もういい。俺は喉が渇いた。茶」
「はいぃぃっっ!!!た、ただいま!!」
学園長は車からお茶のペットボトルを持って来ると尋常ならぬ汗を拭いながら岬に差し出した。
「き、霧島君!!お、おおお持ちしましたぁぁ!!!」
・・・が、
─ガッ!!─
岬は舌打ちし、学園長の残り少ない髪を掴み上げた。
「ぐ、ぐぁっ……い、いたっ…痛いぃっ!!!」
「オイ、新米の下僕ふぜいが名前を呼ぶな… 俺のことは、『ご主人様』と呼べ」
学園長の髪を力いっぱい掴み上げる岬は苦しげに顔を歪める学園長にニヤニヤと嘲笑う
チーン…
(お、恐ろしいっ!!な、なんて恐ろしいんだ!!!)
岬を下僕にするつもりが、逆に学園長が岬の下僕という立場、こんな筈じゃなかった…と嘆く学園長に、憐れみの視線さえ向ける人間もいた。
そう、岬にアルコール禁止令が出されているのは‥‥早い話、人が変わったようにサディスティックな性格になるからだった───。
「………」
「ちっ…シケた顔しやがって…オ゙ラッ もっと泣けよ!!」
げしげし…と学園長の頭を蹴りまくる岬に学園長は助けてくださいっ!!すみませんでした!!と、ひたすら岬に縋るように謝るけれど、
「あ゙ぁ!? 舐めたこと吐かしてんじゃねーよ!!下僕は下僕なりに地面に這っとけよ!!」
─ガンッ─
「ぐふーっっ!!」
再度、足を上げ、顔を踏むと鼻血を出し怯える学園長の髪を掴み、地面に叩きつけた--
「うがっ!!」
その学園長が痛みで苦しみ怯える姿に、岬は‥‥
「クックッ…いい。その歪める顔。痛いか?苦しいか?もっと、苦しめよ…?ははっ!!人が苦しむ姿ほど愉しいモノはないな。オ゙ラッ!もっと苦しめよ!!!」
ガンっと失神しつつある学園長を尚も蹴る岬、
それは、恐ろしい光景だった――‥。
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