27 / 32
【番外編4】10年後の2人(1.多波ビフォーアフター)
しおりを挟む
日曜日の昼下がり。多波さんと駅前の古本屋に、読まなくなった本を持ってやってきた。
『熊でもできる貯金術』『カリスマ主夫の節約レシピ56選』『秒で分かる共依存の仕組み』など、二人合わせて40冊。ボストンバッグとリュックにぎっしり詰めて、持っていった。運べるか心配だったけれど、多波さんにかかれば楽勝だった。彼はパンパンのリュックを軽々と背負い、片手にボストンバッグを持つと、空いている方の腕を私に差し出した。
「望も、持ってやろうか」
腰を下せと言わんばかりに、がっしりとした腕をグイグイ押し付けてくる。
「恥ずかしいから、いいよ」
「いいじゃないか」
私が頬を染めると、彼は歯をこぼしてキラキラと笑った。眩しい、眩しすぎる。まるで少年のような屈託のない笑み。最近、こういう笑顔が多い。
古本屋の買取カウンターに持ってきた本を出すと、男性店員が対応してくれた。金髪で耳にピアスがびっしりついている。この世のものとは思えない眩い耳たぶを、私は多波さんの陰から興味津々で眺めていた。買取の本を積み上げながら、店員は多波さんに言った。
「身分証明書おなしゃーす」
多波さんは、チノパンのヒップポケットから財布を取り出して、運転免許を店員に渡した。すると店員の顔が曇り、視線が免許と多波さんの顔を、何度も何度も、行ったり来たり・・・。しばらくして、意を決したように、多波さんに尋ねた。
「あのー・・・本当にご本人で?」
あちゃ~・・・またこのパターン・・・
私は、深いため息をついた。ここのところ、多波さんの運転免許が身分証明書として全く機能しない。
多波さんと同棲を始めて10年。彼の人相は、すっかり変わってしまった。10年前は、眉間にシワを寄せたムッツリ顔だったのに、今はいつも微笑んでいる。眉間にシワもない。免許は4年前の写真だけど、それと見比べても別人だ。私だって免許を見ると「誰?」って思ってしまう。ゴールド免許だから、あと1年は、この状態・・・はぁ~・・・。
仕方なく、多波さんに解決策を提案した。
「多波さん、口をへの字にして、眉間にシワを寄せてみて」
「こうか?」
多波さんが掃除機で吸ったみたいな顔になった途端、店員は雷鳴に打たように驚愕し、吹き出した。
「ぶはっ!だはははははっ!!本人だ!!!ウケる!!」
敬語がぶっ飛んだ。
いくら何でも失礼じゃない!?文句を言おうと身を乗り出すと、多波さんはなだめるように私の肩をポンと叩き、店員に微笑んだ。
「査定を頼む」
「あ・・・はい。すんません」
眩しすぎる笑顔に、店員は理性を取り戻したようだ。20分後、買取金額の2,539円を受け取って店を後にした。
「私が免許出せば良かったね」
「いや、俺が行こうって言い出したんだ。だから、いい」
「あの店員さん、すっごい失礼だよね!も~!多波さんは、腹が立たないの!?」
頬を膨らませて憤慨していると、彼は白い歯をこぼした。
「ああ、嬉しかった」
「えぇ!?」
斜め上すぎる返答に、思わず目が点になる。
「ずっと変わりたかったからな。他人に言われると、実感できて嬉しい」
「そっか・・・」
かつて、多波さんはコントール不能な性欲に振り回されていた。同棲を始めた当初は、そりゃあ、もう、地獄のような日々だった。けれど10年たった今、彼の病状はすっかり落ち着いている。昔みたいに、理性の無いモンスターになることはない。今や、多波さんはごく普通の40代男性だ。
・・・ううん、普通・・・ではないかも。たまに仕事で、40代の男性と会うけれど、彼らと多波さんは全く違う。40代の男性は、いい意味で言えば落ち着いているし、悪い意味で言えば人生を諦めている感じがする。「俺の人生こんなもんか・・・」という哀愁が漂っている。でも、多波さんは違う。年齢と反比例するように、年々、瑞々しくなっていく。
劇的な変化を遂げた多波さんを見て、私は実感した。オジサンの需要は結構あるのだと。彼と並んで歩いていると、降り注ぐような視線を感じる。主に女性から。昔の彼は、ムッツリで近寄り難いオーラがあったのに、今はそれが無い。爽やかさとダンディズムが融合した芸術作品のような男性に、多波さんは進化していた。そんな彼を、女性がつい目で追ってしまうのは・・・まぁ、私でも分かる。うん、ついつい見ちゃうし、顔。毎日見ているはずなのに、何度見ても、赤面する顔なのだ。
多波さんの病気が良くなったのは、嬉しい。ずっと二人で目指してきたゴールだったから。でも、手放しで喜べない自分がいる。
――別れよう
多波さんに、そう言われるかもしれない。最近、そんな不安に駆られる。
「一人の女性を生涯愛し、末永く幸せに」多波さんの恋愛観はコレ。でも、昔は病のせいで出来なかった。私以外の人とは。今は普通に恋愛できる体質だ。しかもモテる、選び放題。
私達は籍を入れていない。10年間ずっと同棲関係。病が落ち着くまでは、籍を入れない。同棲を始めた時、二人でそう決めた。「ずっと一緒にいよう」そう誓ったはずなのに、いつでも清算できる関係だった。私達を繋いでいるのは「お互いの思い」だけだった。
それで十分。始めはそう思っていた・・・いたけれど、目に見えない不確かなモノだけで安心できるほど、私は大人ではなかったようだ。
はぁ・・・自分の幼稚さに嫌気が差す。入籍の話を切り出そうかと、考えたこともあった。けれど、言ったとたん「別れ」の2文字が聞こえそうで、怖い。そんな事を言われたら、耐えられる自信がない。
でも、どんなに抵抗しても、流れには逆らえない。もう別れの兆しが見え始めている。今日の本の売却もそうだ。平静を装っていたけれど、また別れに近づいたと、内心は落胆していた。
おっと、こんなモヤモヤした気持ちが、多波さんにバレたら大変。何か話題を振らなくっちゃ。そう思って、彼に笑顔を向けた。
「家の中、スッキリしてきたね」
「ああ」
最近、多波さんは不用品の処分にハマっている。私達は、10年前に同棲を始めたアパートに、ずっと住み続けていた。古びた小さな部屋には、10年分の荷物がみっしりと詰まっている。以前は、そのガラクタが邪魔で仕方なかった。でも、彼が「捨てたくない」と、頑なに拒否していたので、そのままにしておいた。
それが、ここ最近になって突然、彼はガラクタを捨て始めた。躊躇うことなく、どんどんと。ボロボロになった毛布、職場のビンゴで当たったけれど全く使っていない健康器具、私との旅行でお土産を買った時のレシート。
旅行のレシート・・・
昔は「捨てたくない」って真剣な顔で、言ってたのに。私との思い出の品はレシートだって、捨てなかったのに・・・。
もう印字が消えて真っ白になってしまったレシートを、彼は両手でそっとごみ袋に入れた。
「捨てていいの?」
何かの間違いだと思って尋ねたら、眩しい笑顔が返ってきた。
「望も言ってただろう、少し整理しろって。その方がいいと思って」
確かに、言ったけど・・・、突然すぎる。
多波さんと初めて出会った時、この部屋はとても綺麗だった。ドンドン片付いていく部屋を見ていると、時を遡っている気分になる。出会った頃に戻っていく、この10年が無くなっていく。底知れない虚無感。
なんで、なんで、こんな急に・・・私との暮らしを無かったことにしたいの?もしかして、私はもういらないの?
部屋の物が減るたびに、頭の中で「別れ」の文字が、色濃くなっていった。
『熊でもできる貯金術』『カリスマ主夫の節約レシピ56選』『秒で分かる共依存の仕組み』など、二人合わせて40冊。ボストンバッグとリュックにぎっしり詰めて、持っていった。運べるか心配だったけれど、多波さんにかかれば楽勝だった。彼はパンパンのリュックを軽々と背負い、片手にボストンバッグを持つと、空いている方の腕を私に差し出した。
「望も、持ってやろうか」
腰を下せと言わんばかりに、がっしりとした腕をグイグイ押し付けてくる。
「恥ずかしいから、いいよ」
「いいじゃないか」
私が頬を染めると、彼は歯をこぼしてキラキラと笑った。眩しい、眩しすぎる。まるで少年のような屈託のない笑み。最近、こういう笑顔が多い。
古本屋の買取カウンターに持ってきた本を出すと、男性店員が対応してくれた。金髪で耳にピアスがびっしりついている。この世のものとは思えない眩い耳たぶを、私は多波さんの陰から興味津々で眺めていた。買取の本を積み上げながら、店員は多波さんに言った。
「身分証明書おなしゃーす」
多波さんは、チノパンのヒップポケットから財布を取り出して、運転免許を店員に渡した。すると店員の顔が曇り、視線が免許と多波さんの顔を、何度も何度も、行ったり来たり・・・。しばらくして、意を決したように、多波さんに尋ねた。
「あのー・・・本当にご本人で?」
あちゃ~・・・またこのパターン・・・
私は、深いため息をついた。ここのところ、多波さんの運転免許が身分証明書として全く機能しない。
多波さんと同棲を始めて10年。彼の人相は、すっかり変わってしまった。10年前は、眉間にシワを寄せたムッツリ顔だったのに、今はいつも微笑んでいる。眉間にシワもない。免許は4年前の写真だけど、それと見比べても別人だ。私だって免許を見ると「誰?」って思ってしまう。ゴールド免許だから、あと1年は、この状態・・・はぁ~・・・。
仕方なく、多波さんに解決策を提案した。
「多波さん、口をへの字にして、眉間にシワを寄せてみて」
「こうか?」
多波さんが掃除機で吸ったみたいな顔になった途端、店員は雷鳴に打たように驚愕し、吹き出した。
「ぶはっ!だはははははっ!!本人だ!!!ウケる!!」
敬語がぶっ飛んだ。
いくら何でも失礼じゃない!?文句を言おうと身を乗り出すと、多波さんはなだめるように私の肩をポンと叩き、店員に微笑んだ。
「査定を頼む」
「あ・・・はい。すんません」
眩しすぎる笑顔に、店員は理性を取り戻したようだ。20分後、買取金額の2,539円を受け取って店を後にした。
「私が免許出せば良かったね」
「いや、俺が行こうって言い出したんだ。だから、いい」
「あの店員さん、すっごい失礼だよね!も~!多波さんは、腹が立たないの!?」
頬を膨らませて憤慨していると、彼は白い歯をこぼした。
「ああ、嬉しかった」
「えぇ!?」
斜め上すぎる返答に、思わず目が点になる。
「ずっと変わりたかったからな。他人に言われると、実感できて嬉しい」
「そっか・・・」
かつて、多波さんはコントール不能な性欲に振り回されていた。同棲を始めた当初は、そりゃあ、もう、地獄のような日々だった。けれど10年たった今、彼の病状はすっかり落ち着いている。昔みたいに、理性の無いモンスターになることはない。今や、多波さんはごく普通の40代男性だ。
・・・ううん、普通・・・ではないかも。たまに仕事で、40代の男性と会うけれど、彼らと多波さんは全く違う。40代の男性は、いい意味で言えば落ち着いているし、悪い意味で言えば人生を諦めている感じがする。「俺の人生こんなもんか・・・」という哀愁が漂っている。でも、多波さんは違う。年齢と反比例するように、年々、瑞々しくなっていく。
劇的な変化を遂げた多波さんを見て、私は実感した。オジサンの需要は結構あるのだと。彼と並んで歩いていると、降り注ぐような視線を感じる。主に女性から。昔の彼は、ムッツリで近寄り難いオーラがあったのに、今はそれが無い。爽やかさとダンディズムが融合した芸術作品のような男性に、多波さんは進化していた。そんな彼を、女性がつい目で追ってしまうのは・・・まぁ、私でも分かる。うん、ついつい見ちゃうし、顔。毎日見ているはずなのに、何度見ても、赤面する顔なのだ。
多波さんの病気が良くなったのは、嬉しい。ずっと二人で目指してきたゴールだったから。でも、手放しで喜べない自分がいる。
――別れよう
多波さんに、そう言われるかもしれない。最近、そんな不安に駆られる。
「一人の女性を生涯愛し、末永く幸せに」多波さんの恋愛観はコレ。でも、昔は病のせいで出来なかった。私以外の人とは。今は普通に恋愛できる体質だ。しかもモテる、選び放題。
私達は籍を入れていない。10年間ずっと同棲関係。病が落ち着くまでは、籍を入れない。同棲を始めた時、二人でそう決めた。「ずっと一緒にいよう」そう誓ったはずなのに、いつでも清算できる関係だった。私達を繋いでいるのは「お互いの思い」だけだった。
それで十分。始めはそう思っていた・・・いたけれど、目に見えない不確かなモノだけで安心できるほど、私は大人ではなかったようだ。
はぁ・・・自分の幼稚さに嫌気が差す。入籍の話を切り出そうかと、考えたこともあった。けれど、言ったとたん「別れ」の2文字が聞こえそうで、怖い。そんな事を言われたら、耐えられる自信がない。
でも、どんなに抵抗しても、流れには逆らえない。もう別れの兆しが見え始めている。今日の本の売却もそうだ。平静を装っていたけれど、また別れに近づいたと、内心は落胆していた。
おっと、こんなモヤモヤした気持ちが、多波さんにバレたら大変。何か話題を振らなくっちゃ。そう思って、彼に笑顔を向けた。
「家の中、スッキリしてきたね」
「ああ」
最近、多波さんは不用品の処分にハマっている。私達は、10年前に同棲を始めたアパートに、ずっと住み続けていた。古びた小さな部屋には、10年分の荷物がみっしりと詰まっている。以前は、そのガラクタが邪魔で仕方なかった。でも、彼が「捨てたくない」と、頑なに拒否していたので、そのままにしておいた。
それが、ここ最近になって突然、彼はガラクタを捨て始めた。躊躇うことなく、どんどんと。ボロボロになった毛布、職場のビンゴで当たったけれど全く使っていない健康器具、私との旅行でお土産を買った時のレシート。
旅行のレシート・・・
昔は「捨てたくない」って真剣な顔で、言ってたのに。私との思い出の品はレシートだって、捨てなかったのに・・・。
もう印字が消えて真っ白になってしまったレシートを、彼は両手でそっとごみ袋に入れた。
「捨てていいの?」
何かの間違いだと思って尋ねたら、眩しい笑顔が返ってきた。
「望も言ってただろう、少し整理しろって。その方がいいと思って」
確かに、言ったけど・・・、突然すぎる。
多波さんと初めて出会った時、この部屋はとても綺麗だった。ドンドン片付いていく部屋を見ていると、時を遡っている気分になる。出会った頃に戻っていく、この10年が無くなっていく。底知れない虚無感。
なんで、なんで、こんな急に・・・私との暮らしを無かったことにしたいの?もしかして、私はもういらないの?
部屋の物が減るたびに、頭の中で「別れ」の文字が、色濃くなっていった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
優しい関係
春廼舎 明
恋愛
変わらない日々、続く日常に少しだけ前進する関係。
想いと記憶が絡まる二人のお話。
※本編8とおまけ3編で完結です。
※+SS1話追加しました。
※+SSもう1話追加しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
カナリア
春廼舎 明
恋愛
ちやほやされて、サクセスストーリーやシンデレラストーリーに乗る女の子たちが羨ましい、妬ましい。
そう思うのは、努力してる私こそむくわれるべきという不満の現れ傲慢の塊なんだろうか。
手に入れても、掴んだと思った途端指の間からこぼれ落ちていく。
仲間に恵まれないのは仲間をつなぎとめておけない自分のせいなのか。
外から見たらありふれたシンデレラストーリー。自分の目で見ればまた違って見えると気がついた。
※閑話含め全50話です。(49+1)
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
契約妻ですが極甘御曹司の執愛に溺れそうです
冬野まゆ
恋愛
経営難に陥った実家の酒造を救うため、最悪の縁談を受けてしまったOLの千春。そんな彼女を助けてくれたのは、密かに思いを寄せていた大企業の御曹司・涼弥だった。結婚に関する面倒事を避けたい彼から、援助と引き換えの契約結婚を提案された千春は、藁にも縋る思いでそれを了承する。しかし旧知の仲とはいえ、本来なら結ばれるはずのない雲の上の人。たとえ愛されなくても彼の良き妻になろうと決意する千春だったが……「可愛い千春。もっと俺のことだけ考えて」いざ始まった新婚生活は至れり尽くせりの溺愛の日々で!? 拗らせ両片思い夫婦の、じれじれすれ違いラブ!
Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ
慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。
その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは
仕事上でしか接点のない上司だった。
思っていることを口にするのが苦手
地味で大人しい司書
木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)
×
真面目で優しい千紗子の上司
知的で容姿端麗な課長
雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29)
胸を締め付ける切ない想いを
抱えているのはいったいどちらなのか———
「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」
「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」
「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」
真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。
**********
►Attention
※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです)
※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
小野寺社長のお気に入り
茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。
悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。
☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。
☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる