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【番外編1】望と多波の甘い夜(2.イチャイチャ+前戯)

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お風呂から出ると、夕食の片付けはすっかり済んでいた。座卓の上の食器は無くなっていて、流しを見ると、綺麗に拭き上げられたシンクが、キラキラと光り輝いていた。水切りカゴも空っぽ。水滴ひとつない。

「ほぁ~・・・」

多波さんの家事スキルに、感極まる。

肝心の多波さんはいなかった。どこに行ったのかと部屋を見回すと、ベッドの掛け布団がこんもり膨らんでいた。白くて大きなお饅頭みたいに。

「ふふっ・・・」

不思議な光景に、思わず笑みがこぼれる。けれど同時に、寂しさがツンと胸を刺した。

「・・・寝ちゃったかな?」

帰りが遅かったから、遠慮してくれたのかも。ちょっと・・・期待しちゃった。

恥ずかしい。卑猥なことを考えていた自分が。

すると、ベッドの上の巨大な饅頭が、モソモソと動き始めた。

「多波さん・・・?」

バサァ!!

声をかけた瞬間、掛け布団が大きな波のように目の前に広がった。たくましい腕が布団の中から伸びてきて、強引に私を引き寄せる。

「わわっ!?」

気がつくと、体はすっぽり布団に包まれていた。

「温めた」

ぼそりと呟く、多波さん。

布団の中は、彼のぬくもりでいっぱいだった。

「ふわぁー!」

ぬくぬくとした温かさが、疲れた体に染み渡る。息を吸い込むたびに、優しい匂いが体内に満ちていく。

「気持ちいい・・・はふぅ~・・・」

多波さんは私を抱き寄せると、そっと手の甲にキスをくれた。慈しむような、優しいキス。

「ふふっ・・・多波さんって、ここにキスするの、好きですよね」

彼は眉を上げた。ちょっと驚いたような顔。

「ダメか?」

「ううん」

「どこが嬉しい?」

「え?分かんないよぉ・・・」

それを聞くと、彼はおでこにキスをした。

「どうだ?」

「ふふっ、うん」

「ここは?」

今度は鎖骨に、チュッ。ムズムズとした感覚が、笑いを誘う。

「ふふふっ・・・」

「なら・・・ここはどうだ?」

そう言うと、多波さんは首筋にキスをした。何回も、何回も、何回も。

「あははははは!くすぐったいよぉ!ふふふっ!あはははっ!!」

ジタバタと腕の中でもがく私に、多波さんは構わずキスの嵐を贈る。あまりに、くすぐったいので、彼の顔を両手で制した。

「もぉ~、ほんとに・・・あはっ、くすぐったいってば、ふふっ・・・うふふふっ・・」

「くっくっく・・・悪い」

ニイッと歯をこぼす多波さん。いたずらっ子みたい。

「ふふふふ・・・」

「くっくくく・・・」

「「あっはっはっはっ!!」」

笑い声が重なる。可笑しくてたまらなかった。

ひとしきり笑い合った後、部屋はシンと静まり返った。

ふと顔を上げると、熱のこもった眼差しに捕らわれた。潤いのある大きな瞳に、私が映っている。多波さんは私を抱き寄せ、そっと口を啄むと、心配そうに口を開いた。

「・・・疲れてるな」

「はい、疲れてます」

「寝た方がいい」

少し寂しそうな笑みを浮かべながら、彼は私の髪をすいた。愛しさが、心をコチョコチョくすぐる。たまらなくなって、彼の背中に腕を絡めた。

「まだ、寝ませんよ。多波さんの体の事もあるし・・・私も・・・その・・・ちょっとだけ・・・期待してましたし」

「・・・そうか」

多波さんはふんわり微笑むと、両手で私の頬を包んだ。彼の顔が目前に迫る。情欲を帯びた大きな瞳に、真っ直ぐ射抜かれる。ぞわりと期待が駆け巡り、コクリと喉がなった。

鼻と鼻がすれ違い、口と口が微かに触れる。彼は慈しむように、そっと口を重ねた。離しては、吸い、離しては、吸い、柔らかい部分に、丹念に口付ける。熱い吐息が、唇を濡らす。

「ンっ・・・ふあっ・・・」

甘い声を漏らすと、彼の口に強弱がつきはじめた。食むような動き。熱を帯びた呼気と共に、ゆっくり口内に押し入ってくる。

「・・・っふ」

口が重なる。咥え込むように、深く、深く。

くちゅ、くちゅ、くちゅ・・・

泡立つような音があふれ、口の端を透明な粘液が汚していく。そのまま包み込むように、彼は優しく舌を吸い上げた。

「んッ・・・!」

ゾクゾクッ!

快感が背筋を駆け、足元が揺れる。体が崩れそうになった瞬間、私の背中に大きな手がピッタリ寄り添った。体の力をすっかり抜いても、大きな手は易々と、私の全てを受け止めている。

彼は心ゆくまで口内を味わうと、ゆっくり口を離した。濡れた唇から、透明な粘液が糸を引く。糸はふつりと切れて滴り落ち、じわりとシーツに染みていった。余韻が、ふんわり気持ちいい。

ふと、熱を帯びた息遣いが耳元を濡らし、耳のすぐ横で、低く響く囁きがした。

「愛してる・・・」

鼓膜が震え、囁きが体内で反響する。心が温かなモノで満たされていく。

彼は穏やかに目を細めながら、広い手を私の髪に沈た。スルスル、スルスル、とかしていく。肌触りを堪能するように。丁寧に。

広い手は髪を離れ、頬をなぞり、うなじを下ると、パジャマの上から双丘を包んだ。根のように、じっくりと布を這い、柔らかな肌に沈んでいく。やがて敏感な突起に寄り添うと、滑らかな動きで責め立てた。

「ふぁ・・・ンッ」

丹念に愛撫され、先端はあっという間に立ち上がった。太い指は楽しむように、硬くなった芯をコリコリ刺激する。

「ンっ、たなみ・・・さ・・・ひゃあ!?」

ビリッ!

強い快感が胸を刺した。多波さんは、キュッと先端を捻り上げながら、意地悪な低い声で私を諭した。

「名前で頼む・・・」

「んッ・・・ふッ・・せいい・・ちさ・・ん」

「そうだ」

言いながら、彼は私に頬を寄せた。満足そうな笑みで。

広い手は胸を離れ、流れるようにパジャマを下っていく。するり。ズボンに潜り込む。ショーツの上から弱い部分を探り当てると、細やかな手つきで淡い刺激を紡いだ。

「ふぅ・・・ンゥウ・・・はふ・・・」

何度も揉み込まれ、みるみるショーツが濡れていく。腰が勝手に動き出す。すると、彼はパジャマから指を引き抜いた。快感の波がぱたりと止む。

「はぁ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」

徐々に理性が戻ってきて、誠一さんを見上げると、彼は目を細めて、ほくそ笑んでいた。

「どうした?」

「・・・わかってる・・・クセに」

「言わないと分からん」

「もー・・・いじわる・・・」

頬を膨らませ、誠一さんを睨んだ。仕方なく、彼の手を取り、しっとり濡れたショーツに引き入れて、茂みに招く。

「・・・ココ・・・もっと・・・して・・・欲しいです」

「分かった」

チュッ。おでこでキスの音。

するり。太い指が、茂みに潜り込む。入口の周りを丹念になぞった後、ぬめるヒダを割って、ゆっくり中に押し入ってきた。

ずぷり

「ンッ・・・!」

指を求めて、中がうごめいている。骨張った指は、しなるような動きで、敏感な部分を擦り上げていく。卑猥な音が、下腹部を犯す。

グチュ、ぬちっ、グチュ、ぬちっ

「ふぁ!?あっン・・・ひっ!」

強い刺激に体が反る。反射的に股が閉じる。でも、大きな手が許さない。強引に押し広げてくる。体内の太い指が、弱い部分を何度も責める。丁寧で力強い。短いストローク。突き上げるような快感に襲われ、思わず誠一さんに縋りついた。

ゴリっ

あ・・・。

脚に何か当たった。・・・硬い何かが。目線を下に向けると、彼のズボンはすっかりテントを張っていた。今にも張り裂けそうなほどに。

「・・・誠一さん、大丈夫・・・ですか?」

「・・・大丈夫・・・な訳ないだろ」

渇望するような眼差しに、射抜かれる。誠一さんは鋭い目つきをしていたけれど、今にも溶け出しそうなくらい、真っ赤だった。悩ましそうに眉を寄せ、悶えている。

かわいい・・・

「私は、もう十分ですから、誠一さんのしたいようにして下さい」

「き、気安く言うな!・・・止まらないと・・・困る」

ワナワナ。さっきまで、私を責め立てていた巨体が震えている。

かわいい。
理性と本能で揺れる彼が、かわいい。

大きな頬に手を添えて、私はにっこり笑った。

「止めなくて、いいですから」

ボン!

いかつい顔から、蒸気が上がった。眉間に深いシワを寄せ、瞼を固く閉じ、口をむぐむぐさせている。

しばらくすると、彼は急に穏やかな表情になり、フッと息を吐き捨てた。ゆっくりと、瞼が開く。瞳孔が鈍く光る。
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