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≪秋分と少女≫
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それは、ある日の帰宅途中での事。
自宅の近くの、細い裏路地で女の子が1人で
「ケンパー、ケンパー、ケンケンパー!」
と、道路に白いチョークで書いた輪の中を跳んでいた。
自らもやった遠い幼少期の頃を思い出し、私は立ち止まり微笑んだ。
女の子は、最後のパー!で両足をついた場所で、しばし固まり…そしてこちらを振り返る。
「この先にね、行きたいけど行けないの…」
(そうか。道路に描かれたチョークの輪の中しか移動出来ないっていう自己暗示ルールな訳だな…)
私は、その女の子のルールに付き合ってみる事にした。
『そっか。じゃあお兄さんが、その先を描いてあげるからね!』
チョークをちょっと借りて、アスファルトに続きの輪を描いてゆく!
『よし描けた!こっから先はケンパーじゃなくて、右手で髪の毛をつまみ上げながら、テンパーテンパーテンテンパー!って跳ぶんだよ(笑)』
「うん。分かった!」
女の子が、素直にテンパー!で跳んで行く。
そして、最後のバー!の場所で、またこちらを振り返り
「おじさん、この先は~?」
『おじさんじゃなくて、お兄さんだからね(笑)』
私は、またも続きを描いてゆく。
『今度は、トレンディエンジェルの決めギャグの斉藤さんだぞ!風に、両手で着てる上着を開きながら、ジャンパージャンパージャンジャンパー!っ跳ぶんだよ(笑)』
女の子は、言われるがままに跳び、最後のバー!の場所に辿り着くと、そこに座り込み、チョークでササーッと何やら建物を描き出した!
『その建物、何?』
「うーんと。これはね~これから私が帰る病院。だからねぇ、もう遊べないんだぁ。じゃあね、バイバイ👋」
女の子は、砂が散るように消え失せた。
それは…
童心を忘れた人間の、心の淀みを洗う泡沫(うたかた)のよふにーー。
自宅の近くの、細い裏路地で女の子が1人で
「ケンパー、ケンパー、ケンケンパー!」
と、道路に白いチョークで書いた輪の中を跳んでいた。
自らもやった遠い幼少期の頃を思い出し、私は立ち止まり微笑んだ。
女の子は、最後のパー!で両足をついた場所で、しばし固まり…そしてこちらを振り返る。
「この先にね、行きたいけど行けないの…」
(そうか。道路に描かれたチョークの輪の中しか移動出来ないっていう自己暗示ルールな訳だな…)
私は、その女の子のルールに付き合ってみる事にした。
『そっか。じゃあお兄さんが、その先を描いてあげるからね!』
チョークをちょっと借りて、アスファルトに続きの輪を描いてゆく!
『よし描けた!こっから先はケンパーじゃなくて、右手で髪の毛をつまみ上げながら、テンパーテンパーテンテンパー!って跳ぶんだよ(笑)』
「うん。分かった!」
女の子が、素直にテンパー!で跳んで行く。
そして、最後のバー!の場所で、またこちらを振り返り
「おじさん、この先は~?」
『おじさんじゃなくて、お兄さんだからね(笑)』
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