私と神様と時々おっさん

花雨

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 終の巻 神様の本気

 私と神様そして最後の別れ

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 ……何でみんな死んぢゃったの…私を一人にしないで…
 お願いだから…お願いだから…スヤスヤ…。

 京花の家族が航空機事故で亡くなってから、はや8年の歳月が経とうとしていた…
 家族との思いが逆に京花を苦しめ、今だ立ち直れずにいた…
 その優しすぎる性格ゆえに……。


 お主……お主や……。
 寝ておるのか…。あやつは普段は明るく振る舞ってはいるが、今だ悲しみの渦の中にいるようじゃの…。
 その悲しみは、まるで深海の底のようじゃ…
 何とかしてやりたいのじゃが、神とてどうする事もできん…すまんの…
 できる事といったら、こーやってたまに会いに来る事ぐらいしかできんしな…

 ……ん……。あ…神様……!

 眠りから覚めたようじゃの。ワシとの最初の出会いから1年間いろいろ大変じゃったのお主…。せっかく久々にきたのじゃ…洗濯やらご飯やらワシが全てやってやるぞ… たまにはゆっくりせい…

 ……。ありがとう…。神様…。…

 お主元気がないのー……。
…お主よ…そろそろ家族との思いを心の奥にしまい、前に歩き出す時ではないのかの…

 …分かってます!!分かってますけど……!!…私……。
 …神様は8年前、私の家族がみんな死んぢゃうの、知っていたんですよね!!!
 だったら何でその時に私の前に現れてくれなかったの!!!…

 ……むろんワシは知っておった……世の中にはお主のような悲しみを背負った人間はたくさんおる……できれば全ての人間を救いたいのじゃが、あの時、仮にお主の家族を救ったとしてもその悲しみは消えず他の者の悲しみに移動するだけじゃ…お主だけ、特別扱いはできんのじゃ…何もできんワシを許してくれ…

 ……。ううん…ごめんなさい…私身勝手だよね……。
 ……うん♪…神様せっかく来てくれたんだし、これから遊びにいこ♪♪

 そーじゃの…。じゃ…手始めにこの街の名物のタコ焼きを食べにいくかの♪♪


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