私と神様と時々おっさん

花雨

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 京花の奮闘記

 京花のとある1日④

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 ふー、今日はたまには散歩しながら、運動でもしようかな…
 あ!…あの湖のおじいさんだ…あれからトリニク釣れたのかな??

 おじいさんこんにちは…。

 おーお嬢ちゃん久しぶりじゃのー元気にしてたかね??

 はい。私は元気ですよ…
あの、あれからトリニクは釣れたんですか??

 ホホホ…今トリニクは家で飼っておるぞ♪♪
 あれから三ヶ月かけてやっと捕まえられたのじゃ…

 それはよかった♪♪
 私空気読まずに簡単に釣っちゃって罪悪感覚えていたんですよ…ホントによかった…

 ホホホ…お嬢ちゃんはやさしいのー…。
 じゃがワシが半世紀もかけて捕まえられなかった、伝説の魚トリニクをそれから三ヶ月で捕まえられた理由は何故かわかるかね…。

 …え…それはあきらめずに釣りを続けたからですよね…

 ホホホ…その逆じゃ。ワシは釣るのを諦めたのじゃ…
 ワシにはトリニクを釣るのは不可能じゃった…。
 じゃから、湖の水を全部抜いたのだ…来る日も来る日もバケツでちょっとずつな…苦労したわい…

 湖の水、全部一人で抜いたんですか!!!しかもバケツで!!!汗

 そうじゃ…トリニクを釣るのを諦めた時に、この考えが浮かんだのじゃ。
 時には人間諦めも必要なんじゃな…

 …でもそれでもこの湖に留まる理由は何なんですか??トリニクは捕まえられたんですよね??

 そりゃ、決まっておるじゃろ、抜いた湖の水を元に戻しているのじゃ…ちょっとずつ家からバケツで水をくんでな…ふー骨が折れるわい…
 ワシには何の才能もないのじゃ…



 京花は思った。この広大な湖の水を一人で抜いて、更にまた水を入れ直そうとするおじいさんを才能の塊だと…しかもバケツ一つで…。

        作:花雨








 おじいさん…今日は遅いから私が代わりにやっときますよ♪♪

 悪いの…じゃお言葉に甘えて任せるかの…。
 お嬢ちゃん、本当にありがとな……。それじゃまたな、お嬢ちゃん♪♪

 いえいえ♪♪さよならー♪♪



  しばらくしてサイレン

 貴様かー!!近所で通報があって来てみたらまぁー!!
 湖の水を抜いた罪で現行犯逮捕する!!!何よりその持っているバケツが証拠だ!!!

 …違うんです…私はむしろ水を入れていたんです…汗

 えーい!!往生際が悪い!!
 詳しい話は署で聞こう!!!
 さぁ、さっさとパトカーに乗らんか貴様ー!!!


 京花二度目の逮捕であった…

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