私と神様と時々おっさん

花雨

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 1の巻 空から舞い降りる者

 私と神様と時々おっさん②

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   ………………。


 へー死んぢゃうとこうなるんだ…
……めっちゃ、フワフワ浮いとる……
 漫画とか小説だけの話かと思ったら実際も同じなんだね…ん…?頭抱え込んでいるおっさんがいる……
 …別にそんなに罪悪感、感じる必要なんてないのにな……。
 でもこのおっさん、きっとこの先、世間からもいっぱい責められるだろうし、罪に苛まれながらずっと生きていくのだろうな…
 …何だか可哀想だな…
 私は何も自分が死んでしまっても何も思わないから……
 
 私は冷静そのものでこの瞬間何を考えているかというと恐らくよそ見運転して私を車で派手に吹き飛ばしてしまった血の気の引いた中年のおっさんの事が逆に気の毒だと思ってしまっている。

 ちなみに私の家族は7年前、
 高校生の時にお母さんもお父さんも妹もみんな事故で死んでしまったから身内はいない。
 当時ニュースでも連日放送されたあの民間航空機墜落事故の被害者だ。
 あの時私は当時働いていたアルバイトの繁忙期というのもあってどうしても旅行に行く事ができなかったのだ。
 当日の朝、玄関で見送った家族の楽しそうな姿が今思えば最期の別れになってしまうとは夢にも思わなかった。




 当時の記憶は曖昧だが夏の日のとてもとても暑かった日って事だけは鮮明に覚えている。
 あの日から私は感情を何個か、なくしてしまったらしい。
 どうでもいいっていうか深く考える事をやめたんだ。
 だから自分が死ぬ事すらも深く考える事もないって事。
 もしかしたら望んでいた事かも。
 だから尚更おっさんが罪悪感を感じる必要もないのだ…

 やっぱ私ってやつは感情が欠落してる??
 でもおっさんの事心配してる私はものすごくやさしい子??
 よっぽど人間らしい??
でも変わってんだね私ってやつは。
 今まさに命が尽きたこの瞬間でもいたってこんな感じなんだから。

 お嬢ちゃん お嬢ちゃん。


 ん?
 変なのが空から舞い降りてきた…。

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