サイレントキラー

花雨

文字の大きさ
上 下
5 / 48
 第一章 サイレントキラー

 予想外…

しおりを挟む

 昨日の記憶を辿ろうとするこの女性の名は本条ほんじょう 麗乃うらの
 歳は22歳で背竹は155センチ前後の身長ではあるが細身でスタイルはよく、肌は色白で世間で言えば美人と呼ばれる部類に入る女性だ。
 その冷めきった目つきはどこかミステリアスにも見え、意志の強ささえも感じられる。







 学生時代は県内でも割と偏差値の高い銛王町では有名な短期大学を卒業し、某有名旅行会社にも就職した。
 エリートと言うわけではないが何でも即なくこなせる優等生と言ったところだ。
 記憶を整理する彼女を尻目に男は喋りだした…

 『 記憶を辿ってるようだから教えてあげよう……。
 ちなみに今は日付が変わって朝の5時頃なのだけれど、君は僕が昨日の夜の10時頃にたまたま駅前で見かけてね…。
 それでまた衝動にかられてしまってね……今月は君を入れると5人目だよ。少しペースを控えないとね………。………。
 もう…分かっただろう…僕は世間ではサイレントキラーと呼ばれてる男さ……。
 当然、僕の手口もニュースで知ってるだろう…今のうちに泣き叫んでいた方がいいよ。これから舌を抜かれて喋れなくなるからさ………まぁ…恐怖で叫べなくても自然と痛みで叫ぶからそれは心配ないか……
 ここは僕が借りてるレアな物件でね…地下のものすごく奥深くにあるんだ…拡声機使っても地上には声は届かないよ… 』
 
 男は毎回、女性を殺害する前にそう語りかけ、恐怖に慄く姿を楽しむ典型的なサディストで自分の求めている、あの言葉を待っていた…お願い…お願いだから許して…殺さないで…と…
 しかし、男の期待とは裏腹に
本条 麗乃は深いため息を吐いて語り出した………

 『 ……何がサイレントキラーよ……鼻で笑っちゃう……。
 ……それで私が命乞いするとでも思ったの???
 バッカじゃない??あんた……
 そもそもさ…
 弱い女性かっさらってさ、地下の訳の分からないとこに監禁してさ…身動きできない人間に何、偉そうにしてるのよ……
 ただの臆病者の弱虫じゃない……』

 男は予想外の言葉に、一瞬たじろいだように見えたが、冷静に女の手の届く位置まで近づいた……



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

【R18】お父さんとエッチした日

ねんごろ
恋愛
「お、おい……」 「あっ、お、お父さん……」  私は深夜にディルドを使ってオナニーしているところを、お父さんに見られてしまう。  それから私はお父さんと秘密のエッチをしてしまうのだった。

完結【第7回ホラー・ミステリー小説大賞サスペンス応募作】宝石の行方

Mr.後困る
ミステリー
ルイ王国のラズ公爵家の令嬢リーゼはルイ王国王太子のマーカスと婚約破棄を行った。 マーカスの不貞が原因でリーゼの長年の妃教育を加味した慰謝料は 広大な領地、 莫大な賠償金、 リーゼの隣国マーズ王国の王子との婚姻許可と多岐に渡った。 リーゼは王都のタウンハウスを引き払っている時 新しい婚約者であるマーズ王国王子のメイズがやって来た。 『マーカスが腹いせで嫌がらせに来るだろう』 そう判断したメイズは多くの護衛を引き連れて来た。 案の定、 マーカスが兵を引き連れてやって来た、 何故か顔を包帯で隠して。 そして嫌がらせに来たのではなく、 シー子爵令嬢の誘拐犯としての逮捕だった。

王女の朝の身支度

sleepingangel02
恋愛
政略結婚で愛のない夫婦。夫の国王は,何人もの側室がいて,王女はないがしろ。それどころか,王女担当まで用意する始末。さて,その行方は?

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

妊娠したのね・・・子供を身篭った私だけど複雑な気持ちに包まれる理由は愛する夫に女の影が見えるから

白崎アイド
大衆娯楽
急に吐き気に包まれた私。 まさかと思い、薬局で妊娠検査薬を買ってきて、自宅のトイレで検査したところ、妊娠していることがわかった。 でも、どこか心から喜べない私・・・ああ、どうしましょう。

10年後の君へ

ざこぴぃ。
ミステリー
 2020年8月。千家春彦はある事がきっかけで、2010年8月にタイムリープする。  そこで自殺したはずの同級生、南小夜子から連絡が入る。それは春彦の人生を狂わせていく事になる……。 ……… …… …  ――無邪気に笑う真弓を見て、なぜか懐かしさを感じる。僕の元いた世界は2020年。今から10年後だ。でももうほとんど覚えていない。今いるこの世界に元から産まれ育った感覚さえある。  車椅子を握る手に力が入る。この世界でも真弓と2人で歩んで行きたい……。 「あっ!いたいた!おぉい!真弓!春彦!」 「美緒!遅い!どこまでトイレ行ってたの!もう!」 「ごめんごめん!あまりに混んでたから道路向かいのコンビニまで行ってた!」 「おかげで私達はめでたく結婚しましたぁ!」 「え!?ちょっと!何その指輪!!春彦!もうプロポーズしたの!早くない?」 「してないしてない。それはくじ引きの景品だ」 「あぁ、そうなんだ。はいはい良かったでちゅねぇ、真弓ちゃん。よちよち」 「春彦君!何でバラすの!もう!」 「えぇぇぇ……」 「ぷっ!あははは!」  こんなに笑う真弓を見るのはいつぶりだろう。胸の奥で熱くなるものがある。 ……… …… … 「手を!!手を伸ばせ!!もう少し!」 「もう駄目……私の事はもういいから……春彦君だけでも……お願い――」 「うるさい!!もう少し――!!」 「うぅ……!!」  彼女はもう助からない。そんな気はした。それでも僕は必死で手を伸ばしている。  それは罪滅ぼしなのか、自己満足なのか……?  ――そして彼女は最後に笑って言った。 「ありがとう……」 と。 「いやだ……いやだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」  いつか夢で見た風景がデジャブとなり目の前で起きている。「夢なら覚めてくれ!」そう願うがそんな奇跡も起こることは……無かった。 ◆◇◆◇◆ 執筆2023.11.17〜12.25 公開2023.12.31 本編 『10年後の君へ』 著・雑魚ぴぃ 番外編 『10年前のあなたへ』 著・桜井明日香 挿入歌 『Akaneiro』『光が見えるとき』 著・桜井明日香

復讐の旋律

北川 悠
ミステリー
 昨年、特別賞を頂きました【嗜食】は現在、非公開とさせていただいておりますが、改稿を加え、近いうち再搭載させていただきますので、よろしくお願いします。  復讐の旋律 あらすじ    田代香苗の目の前で、彼女の元恋人で無職のチンピラ、入谷健吾が無残に殺されるという事件が起きる。犯人からの通報によって田代は保護され、警察病院に入院した。  県警本部の北川警部が率いるチームが、その事件を担当するが、圧力がかかって捜査本部は解散。そんな時、川島という医師が、田代香苗の元同級生である三枝京子を連れて、面会にやってくる。  事件に進展がないまま、時が過ぎていくが、ある暴力団組長からホワイト興産という、謎の団体の噂を聞く。犯人は誰なのか? ホワイト興産とははたして何者なのか?  まあ、なんというか古典的な復讐ミステリーです…… よかったら読んでみてください。  

処理中です...