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ヌーッティ、学校に行く!
1.ヌーッティは計算ができない?
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朝七時半。
アキは学校へ行くための身支度をしていた。
トゥーリは、せわしなく動いているアキのお手伝いをしていた。
ヌーッティはというと、机の上でアキがノートをリュックにしまっている様子をじーっと見ていた。
そして、
「アキ! ヌーも学校に行くヌー!」
「オッツォの森の学校ならどうぞ」
体よくあしらわれた。
「違うヌー! ヌーはアキの学校に行きたいヌー!」
「じゃあ、一足す一は?」
「三!」
ヌーッティは自信満々に答えた。
だが、残念ながら不正解であった。
アキは目を細めて、呆れた面持ちでヌーッティを見つめた。
「ヌーッティ。ここに一枚のビスケットがあります。もう一つビスケットが出てきました。さて、合計で何枚ビスケットがあるでしょう?」
「二枚だヌー!」
トゥーリの問題にはちゃんと答えられたヌーッティであった。つまり……
「ヌーッティはお菓子に関係のある算数じゃないと答えられないんだよ」
ヌーッティの弱点を、トゥーリはアキに伝えた。
それを聞いたアキと、それを知っているトゥーリはふたりでため息をついた。
「さてと、もう行かなきゃだ」
「だめだヌー! ヌーも行きたいヌー! 連れて行くヌー!」
忙しい朝に、ヌーッティが駄々をこね始めた。
「どうして、そんなに学校に着いてきたいんだよ?」
うんざりした様子でアキがヌーッティに尋ねた。
「おいしい食べ物があるヌー! ヌーも食べたいヌー!」
「給食のこと? ラハカやラクリッツはないよ」
「とってもおいしそうだったって聞いたヌー!」
そのヌーッティの言葉を聞いたアキは疑問を抱いた。
「誰から学校の給食がおいしいって聞いたの?」
「アレクシだヌー!」
アキは、また、アレクシのいたずらに引っかかったなといった表情を浮かべた。
「とにかく、ヌーッティはトゥーリと一緒に留守番! 絶対に付いて来ちゃだめ!」
そう言うと、アキはベッドの上に置いておいたコートを羽織った。
ヌーッティはむすっとした面持ちであったが、何かひらめいた顔をすると、ひょいっとアキのリュックの中に入り込んだ。
「アキ。忘れ物ない?」
トゥーリがアキに訊いた。
「ああ、大丈夫」
言いながら、アキはリュックのファスナーを閉めた。
「じゃあ、行ってくる。ヌーッティのこと頼んだ」
「わかった。まかせて」
アキとトゥーリは片手を振って挨拶をし、アキは部屋を出ていった。
残されたトゥーリは、駄々をこねていたヌーッティを説得しようと、周囲を見回した。
だが、ヌーッティの姿はどこにもなかった。
「ヌーッティ! 出てきてよ! 今日は私のおやつ半分あげるから!」
お菓子で釣れるヌーッティにうってつけの文句で呼びかけた。
けれども、ヌーッティは出てこなかった。
仕方がないので、トゥーリはベッドの下や、本棚の奥、部屋のいたるところを探した。
それでも、ヌーッティの姿はまったく見当たらなかった。
「すねてアレクシのいる公園にでも行ったのかな?」
頭をかきながらトゥーリはぼやいた。
しかし、実情は違っていた。
アキのリュックに入り込んだヌーッティは、アキにも、トゥーリにも知られずに、学校へ行くことへ成功したのである。
つまり、ヌーッティにとって最高の日が始まろうとしていたのであった。
だが、これは、アキにとって災難の日の始まりなのである。
アキは学校へ行くための身支度をしていた。
トゥーリは、せわしなく動いているアキのお手伝いをしていた。
ヌーッティはというと、机の上でアキがノートをリュックにしまっている様子をじーっと見ていた。
そして、
「アキ! ヌーも学校に行くヌー!」
「オッツォの森の学校ならどうぞ」
体よくあしらわれた。
「違うヌー! ヌーはアキの学校に行きたいヌー!」
「じゃあ、一足す一は?」
「三!」
ヌーッティは自信満々に答えた。
だが、残念ながら不正解であった。
アキは目を細めて、呆れた面持ちでヌーッティを見つめた。
「ヌーッティ。ここに一枚のビスケットがあります。もう一つビスケットが出てきました。さて、合計で何枚ビスケットがあるでしょう?」
「二枚だヌー!」
トゥーリの問題にはちゃんと答えられたヌーッティであった。つまり……
「ヌーッティはお菓子に関係のある算数じゃないと答えられないんだよ」
ヌーッティの弱点を、トゥーリはアキに伝えた。
それを聞いたアキと、それを知っているトゥーリはふたりでため息をついた。
「さてと、もう行かなきゃだ」
「だめだヌー! ヌーも行きたいヌー! 連れて行くヌー!」
忙しい朝に、ヌーッティが駄々をこね始めた。
「どうして、そんなに学校に着いてきたいんだよ?」
うんざりした様子でアキがヌーッティに尋ねた。
「おいしい食べ物があるヌー! ヌーも食べたいヌー!」
「給食のこと? ラハカやラクリッツはないよ」
「とってもおいしそうだったって聞いたヌー!」
そのヌーッティの言葉を聞いたアキは疑問を抱いた。
「誰から学校の給食がおいしいって聞いたの?」
「アレクシだヌー!」
アキは、また、アレクシのいたずらに引っかかったなといった表情を浮かべた。
「とにかく、ヌーッティはトゥーリと一緒に留守番! 絶対に付いて来ちゃだめ!」
そう言うと、アキはベッドの上に置いておいたコートを羽織った。
ヌーッティはむすっとした面持ちであったが、何かひらめいた顔をすると、ひょいっとアキのリュックの中に入り込んだ。
「アキ。忘れ物ない?」
トゥーリがアキに訊いた。
「ああ、大丈夫」
言いながら、アキはリュックのファスナーを閉めた。
「じゃあ、行ってくる。ヌーッティのこと頼んだ」
「わかった。まかせて」
アキとトゥーリは片手を振って挨拶をし、アキは部屋を出ていった。
残されたトゥーリは、駄々をこねていたヌーッティを説得しようと、周囲を見回した。
だが、ヌーッティの姿はどこにもなかった。
「ヌーッティ! 出てきてよ! 今日は私のおやつ半分あげるから!」
お菓子で釣れるヌーッティにうってつけの文句で呼びかけた。
けれども、ヌーッティは出てこなかった。
仕方がないので、トゥーリはベッドの下や、本棚の奥、部屋のいたるところを探した。
それでも、ヌーッティの姿はまったく見当たらなかった。
「すねてアレクシのいる公園にでも行ったのかな?」
頭をかきながらトゥーリはぼやいた。
しかし、実情は違っていた。
アキのリュックに入り込んだヌーッティは、アキにも、トゥーリにも知られずに、学校へ行くことへ成功したのである。
つまり、ヌーッティにとって最高の日が始まろうとしていたのであった。
だが、これは、アキにとって災難の日の始まりなのである。
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