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アレクシの家出
3.アレクシを連れ戻せ大作戦!
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その日の夜。
ヌーッティは、トゥーリとアキとリュリュをベッドの上に集め、話し合いを開いた。
「つまり、アレクシは同じ風の精霊のお友だちが欲しいってこと? それで、出ていちゃったってこと?」
トゥーリはヌーッティに尋ねた。
「そうだヌー。アレクシはぼーっとしてて、たいくつそうだったヌー。あれは、きっと、お友だちが欲しいんだヌー」
あぐらをかいて座っているヌーッティは、腕を胸の前で組み、頷きながら返答した。
「それなら、ちょうど良いじゃないですか。アレクシも喜び、わたくしもストーカーがいなくなって万々歳ですわ」
「リュリュ……。もうちょっと言葉選んであげて」
苦笑まじりにアキがリュリュを諭した。
「そうだヌー! アレクシはヌーたちから何もプレゼントをもらったことがないヌー!」
「いつも盗み食いしてるから問題ないでしょ」
「トゥーリは冷たいヌー! アレクシが戻って来るように、何かしてあげるヌー! ヌーはアレクシがいないと困っちゃうヌー!」
ヌーッティは両腕をばたつかせて、駄々をこねるように主張した。
「困る? さみしくなるじゃなくて?」
トゥーリの鋭い突っ込みにヌーッティはぎくりと身震いした。
「そ、そうだヌー! さみしいヌー!」
ヌーッティは素早く訂正を入れた。
「それじゃあ、アレクシが喜ぶようなパーティーでも開くか」
あごに手を当てて、目線を上へ向けているアキが提案した。
「それだヌー! 名づけて『おかえりなさい、アレクシパーティー!』だヌー!」
こうして、アレクシの知らぬ間に、アレクシを引き戻すためのパーティーの準備が開始された。
パーティーは3日後の午後3時に決まった。
ヌーッティはアレクシの監視を担当することになった。アレクシがいなくなっては意味のなさないパーティーになるため、アレクシを見張る役が必要であった。
トゥーリとリュリュは部屋のデコレーション担当になった。
デスク正面の壁面には、色紙で作った「おかえりなさい、アレクシ!」と書かれたガーランドが飾られていた。
デスクもアレクシが好きそうなブルーベリーやラズベリー、りんごなどのフルーツをモチーフにしたテーブルクロスを敷き、カラフルなペーパーナプキンも用意した。
アキはいつものことながら料理担当となり、スーパーでたくさんのりんごやはちみつ、それにオレンジピールの入った紅茶などを買い込んできた。
ブルーベリーは夏に知り合いからいただいたものが冷凍庫にたくさん保存してあるので、奮発して2パックを使うことにした。
そして、時間はあっという間に過ぎて、パーティー当日がやってきた。
この日、ヌーッティは昔アキからもらった手編みのポンチョを羽織って、アレクシがいる公園へと出かけた。
目を配らせアレクシを探すと、木の枝にうつ伏せているアレクシがいた。
ヌーッティは雪をかき分けて、アレクシのいる木の側まで行くと、
「アレクシ!」
大声で彼の名前を呼んだ。
アレクシの長い耳がぴくりと動いた。
「アレクシ! ヌーがご用事あるヌー! アキの部屋に今すぐ来て欲しいヌー!」
「何だ。ヌーッティか。今はそんな気分じゃないんだ。それに、ぼくはもう家を出たんだ。構わないでくれ」
ぼーっとした目で、アレクシはヌーッティに答えた。
だが、ここで引き下がるわけにはいかない理由がヌーッティにはあった。
――アレクシがいないと、つまみ食いができなくなっちゃうヌー!
そういうときほど、ヌーッティの悪知恵は働くものであった。
「……リュリュがアレクシがいなくてさみしがってるヌー」
ぽそりと言ったそのひとことに、アレクシの耳がぴしっと立った。
アレクシはがばっと起き上がると、
「リュリュがぼくがいなくてさみしがっているって?! ヌーッティ! リュリュは今どこに?!」
真剣な、でもどこか嬉しそうな声色で、ヌーッティに尋ねた。
「アキの部屋だヌー!」
ヌーッティの機転、もとい悪知恵は、アレクシをアキの部屋へ向かわせることに功を奏した。
アレクシは風を操り、宙を飛んで、まっすぐにアキの家を目指した。
ヌーッティはアレクシのあとを地上から追った。
部屋の窓はアキの配慮で開けられていた。
アレクシは窓を押しやり、部屋の中へ入った。
遅れてアキの自宅へ到着したヌーッティは、雨どいを伝って、アキの部屋がある2階まで登った。
さあ、これからパーティーの開宴である。
ヌーッティは、トゥーリとアキとリュリュをベッドの上に集め、話し合いを開いた。
「つまり、アレクシは同じ風の精霊のお友だちが欲しいってこと? それで、出ていちゃったってこと?」
トゥーリはヌーッティに尋ねた。
「そうだヌー。アレクシはぼーっとしてて、たいくつそうだったヌー。あれは、きっと、お友だちが欲しいんだヌー」
あぐらをかいて座っているヌーッティは、腕を胸の前で組み、頷きながら返答した。
「それなら、ちょうど良いじゃないですか。アレクシも喜び、わたくしもストーカーがいなくなって万々歳ですわ」
「リュリュ……。もうちょっと言葉選んであげて」
苦笑まじりにアキがリュリュを諭した。
「そうだヌー! アレクシはヌーたちから何もプレゼントをもらったことがないヌー!」
「いつも盗み食いしてるから問題ないでしょ」
「トゥーリは冷たいヌー! アレクシが戻って来るように、何かしてあげるヌー! ヌーはアレクシがいないと困っちゃうヌー!」
ヌーッティは両腕をばたつかせて、駄々をこねるように主張した。
「困る? さみしくなるじゃなくて?」
トゥーリの鋭い突っ込みにヌーッティはぎくりと身震いした。
「そ、そうだヌー! さみしいヌー!」
ヌーッティは素早く訂正を入れた。
「それじゃあ、アレクシが喜ぶようなパーティーでも開くか」
あごに手を当てて、目線を上へ向けているアキが提案した。
「それだヌー! 名づけて『おかえりなさい、アレクシパーティー!』だヌー!」
こうして、アレクシの知らぬ間に、アレクシを引き戻すためのパーティーの準備が開始された。
パーティーは3日後の午後3時に決まった。
ヌーッティはアレクシの監視を担当することになった。アレクシがいなくなっては意味のなさないパーティーになるため、アレクシを見張る役が必要であった。
トゥーリとリュリュは部屋のデコレーション担当になった。
デスク正面の壁面には、色紙で作った「おかえりなさい、アレクシ!」と書かれたガーランドが飾られていた。
デスクもアレクシが好きそうなブルーベリーやラズベリー、りんごなどのフルーツをモチーフにしたテーブルクロスを敷き、カラフルなペーパーナプキンも用意した。
アキはいつものことながら料理担当となり、スーパーでたくさんのりんごやはちみつ、それにオレンジピールの入った紅茶などを買い込んできた。
ブルーベリーは夏に知り合いからいただいたものが冷凍庫にたくさん保存してあるので、奮発して2パックを使うことにした。
そして、時間はあっという間に過ぎて、パーティー当日がやってきた。
この日、ヌーッティは昔アキからもらった手編みのポンチョを羽織って、アレクシがいる公園へと出かけた。
目を配らせアレクシを探すと、木の枝にうつ伏せているアレクシがいた。
ヌーッティは雪をかき分けて、アレクシのいる木の側まで行くと、
「アレクシ!」
大声で彼の名前を呼んだ。
アレクシの長い耳がぴくりと動いた。
「アレクシ! ヌーがご用事あるヌー! アキの部屋に今すぐ来て欲しいヌー!」
「何だ。ヌーッティか。今はそんな気分じゃないんだ。それに、ぼくはもう家を出たんだ。構わないでくれ」
ぼーっとした目で、アレクシはヌーッティに答えた。
だが、ここで引き下がるわけにはいかない理由がヌーッティにはあった。
――アレクシがいないと、つまみ食いができなくなっちゃうヌー!
そういうときほど、ヌーッティの悪知恵は働くものであった。
「……リュリュがアレクシがいなくてさみしがってるヌー」
ぽそりと言ったそのひとことに、アレクシの耳がぴしっと立った。
アレクシはがばっと起き上がると、
「リュリュがぼくがいなくてさみしがっているって?! ヌーッティ! リュリュは今どこに?!」
真剣な、でもどこか嬉しそうな声色で、ヌーッティに尋ねた。
「アキの部屋だヌー!」
ヌーッティの機転、もとい悪知恵は、アレクシをアキの部屋へ向かわせることに功を奏した。
アレクシは風を操り、宙を飛んで、まっすぐにアキの家を目指した。
ヌーッティはアレクシのあとを地上から追った。
部屋の窓はアキの配慮で開けられていた。
アレクシは窓を押しやり、部屋の中へ入った。
遅れてアキの自宅へ到着したヌーッティは、雨どいを伝って、アキの部屋がある2階まで登った。
さあ、これからパーティーの開宴である。
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