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ヌーッティの挑戦

1.悩めるヌーッティの決意

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 ヌーッティは真剣なまなざしでアキを見据えていた。
 アキは既視感を感じつつヌーッティを見つめていた。
「どうしてもなのか?」
 同じことを数日前にも言ったなぁとアキは思いつつも言葉に出した。
「どうしてもだヌー」
 ヌーッティはかたくななまでの口調で返答した。
「無事でいられる保障はないんだぞ?」
 ヌーッティの身を心配しているアキは、そう言わざるをえなかった。
「リスクを恐れていては得られないことがあるってヌーも知ってるヌー」
「本当にいいんだな?」
 ヌーッティはこくりと頷いた。
「いいヌー。ヌーも必殺技を習得するヌー!」
 つい数日前、トゥーリも似たようなことを言ったことをアキは思い出していた。
 ため息をついたアキは額に手を当てて、頭を垂れた。
「ところで、必殺技って意味わかってる?」
 根本的な疑問をアキは呈した。
「もちろんだヌー! トゥーリみたいに敵をノックダウンする技のことだヌー!」
 間違ってはいないけれども、微妙にズレているとアキは思った。
「それで、どんな必殺技を練習するのか決まってるの?」
「決まってるヌー! まずは、必殺ヌーッティパンチだヌー!」
 ヌーッティは言いながらグーパンチを繰り出して見せた。
「でも、これじゃあ威力が弱いから、脚長ヌーッティキックだヌー!」
 短い足を思いっきり上げたヌーッティは、その反動ですっ転んだ。
 それから、立ち上がると、
「これも、ヌー的には弱い技だヌー。だから編み出したヌー!」
「何を?」
 ヌーッティの目が輝いた。
「ヌーッティおしりアタックだヌー!」
 頬を赤くさせて、わくわくした目をしているヌーッティに対して、アキは呆れ混じりの重いため息をついた。
「それって、どうやって練習するの?」
 これまで沈黙を保っていたトゥーリがヌーッティの横から口を出した。
「トゥーリみたいに犠牲者は出さないヌー。お庭の木を使って練習するヌー」
 アキはそれを聞いてひと安心した。
 それというのも、前回、トゥーリのときは犠牲者が1名出たからであった。
 正確に言えば、ヌーッティも犠牲になっているので2名になるのであるが、ヌーッティの場合、自業自得でもあったので、犠牲者とは言い難かった。
「とりあえず、必殺技の練習で犠牲者が出ないなら、練習してもいいよ」
 アキの許可にヌーッティは胸が高鳴った。
「ありがとうだヌー! さっそく練習してくるヌー!」
 ヌーッティは敬礼をすると駆け足でアキの部屋の窓辺へ行き、3枚窓を強引に引き開けると、部屋を後にした。
 アキはヌーッティを見送るとトゥーリに視線を移した。
「トゥーリ。あとは頼んだ」
 任されたトゥーリはこくりとうなずいた。
 こうして、ヌーッティの特訓が始まるのであった。
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