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作れ! 新しいお洋服!

7.ヌーッティに迫る困難?

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 アキがラッピング用品のコーナーに着くと、すでに到着していたハンナとトゥーリと落ち合った。
「この辺にいた?」
 アキは不安そうな表情でハンナに尋ねた。
「いちおう探してみたけど、いなかったよ。もう、別の場所に行っちゃったのかも……」
 ハンナも心配気な面持ちでアキに返答した。
 アキとハンナが不安や心配をするのも無理からぬこと。
 あのヌーッティが迷子になるということは、少なからず、何がしかのトラブルを惹き起こす可能性が高まることを意味しているからである。
 幸いなことに、店内にいる客数はそれほど多くはなかった。
「他のお客さんが来る前に早く見つけなきゃだね」
 気合を入れつつ、ハンナがアキに捜索続行を促した。
「だな。ただ、気になることがあるんだけど……」
「気になること? ヌーッティなら何をしでかしてもおかしくないでしょ?」
 ハンナは不可解な目つきでアキを見つめた。
「いや、それもそうなんだけど、さっきから、誰かに見られているっていうか、つけられているっていうか……」
 アキのその発言を聞いたトゥーリはハンナの肩の上に立つと周囲を見渡した。
 そして、ひとつの影をトゥーリのつぶらな瞳が捉えた。
「いた!」
 トゥーリのひとことで、アキとハンナが顔を見合わせた。
「あっち!」
 トゥーリはアキの背後にある棚の後ろを指さした。
 アキは振り返りトゥーリが指し示す方向を見やった。
「あっ! いた!」
 ハンナも棚の後ろに潜むひとつの影を見つけた。
「ヌフフフフ……」
 棚の後ろから聞き慣れた不気味な微笑が聞こえてきた。
 アキはそれに構うことなく、ずんずん歩いて棚の背後に潜む小さな影を引っ掴んだ。
「ヌーッティ! また迷子になって! 探してたんだぞ!」
 ひょいっと棚の後ろに隠れていたヌーッティを片手で抱え持つと、目線を合わせて怒った。
「ヌーは迷子になってないヌー! アキたちが迷子になったヌー!」
 ヌーッティは相変わらずの持論を繰り出した。
「店に来る前の約束は? ちゃんと大人しくしてるように言ったよな?」
 だが、アキも引き下がるわけがない。
「だから大人しくお店の中を見て回ってたヌー!」
 そして、ヌーッティもなかなかの頑なさであった。
「離して欲しいヌー! ヌーもお洋服欲しいヌー! トゥーリばっかりずるいヌー!」
「洋服っていっても、ヌーッティ、リボンしかつけてないじゃん」
 ハンナが冷静に突っ込んだ。
「とにかく、ヌーも新しいお洋服が欲しいヌー! ヌー!」
 半目のアキはひたりとヌーッティを見据えると、
「半年前に作ってあげた服はどうしたんだよ? あれ、いらないの?」
 数ヶ月前、ヌーッティにねだられて作った着ぐるみの服について訊いた。
「……な、なんのことかヌーは知らないヌー」
 アキから顔を逸し、バツの悪そうなヌーッティに追い打ちをかけたのは、
「太って着られなくなったんでしょ?」
 トゥーリのひとことであった。
「え? また太ったの? そんなに変わってないようにも見えるけど……」
 ハンナはまじまじとアキにつままれているヌーッティを見た。
「太ったよ。ここ最近、家にあるポテチのストックが激減しているの気づいてなかった?」
 トゥーリは淡々と話した。
 それを聞いたアキははっとした表情を浮かべた。
「そういえば、ばーちゃんから『ポテトチップス食べ過ぎだよ』って嫌疑がかけられてたんだ。もしかして……!」
 トゥーリはアキの言葉に首肯で答えた。
 ヌーッティはあらぬ方向を向いて口笛を吹いていた。
「ヌーッティ?」
 アキの静かな呼びかけに、ヌーッティの体がびくりと震えた。
「もう、わかってるよな?」
 柔和な笑みを浮かべているアキではあるが、その表情にはどこか怒気が含まれていた。
 逃げ場のないヌーッティ。
 迫るアキの審判。
 はたして、ヌーッティはこの苦境を乗り越えることができるのか?
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