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作れ! 新しいお洋服!
3.お洋服製作——序章
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玄関ホールから廊下を歩く音が聞こえてきたと思うと、ひょこっと愛らしい丸い目の女性ハンナが顔を覗かせた。
「何かあったの?」
ハンナは不思議そうな面持ちで、アキに声をかけた。
「一大事だヌー! トゥーリが服を破いたヌー!」
「違うだろ」
ヌーッティの言葉に、アキが間髪入れず突っ込んだ。
アキは困惑しているようで、驚いているようにも見えるハンナにことの仔細を説明した。
ひと通り状況説明を聴いたハンナは深く頷いた。
「そりゃ、トゥーリは女の子だし、アキに採寸されたくないよー」
「ヌーはだめヌー?」
ヌーッティはハンナに問いかけた。
「ヌーッティが採寸しても、最終的にはアキが採寸する羽目になるから意味ないよ」
ハンナの核心をついた答えに、ヌーッティは頬を膨らませた。
「トゥーリ。わたしが測ろうか?」
ハンナは目線をトゥーリに合わせるように屈むと、優しく言葉をかけた。
アキの胸に顔をうずめているトゥーリはちらりと顔をハンナに向けた。
「……ハンナだったらいい」
こうしてようやくトゥーリの新しい服を作るための採寸が開始された。
4人はキッチンから2階のアキの私室へ向かった。
部屋に入ると、アキはそっとトゥーリをデスクの上に立たせた。
それから、クローゼットの中にしまってある裁縫道具の入ったケースを取り出し、メジャーをハンナに手渡した。
ハンナはアキの指示通りに、トゥーリの身長や肩幅や身幅、腕の長さにウエストを測った。
アキはハンナが測った数値をメモ用紙に書き取った。
この間ヌーッティはベッドでごろんごろんしていた。
「さてと、布を買いに行くか」
アキはメモ用紙をミシン目に沿って切り離すと、4つ折りにしてズボンのポケットにしまい込んだ。
「お出かけヌー⁈」
ばっと起き上がったヌーッティの目は輝いていた。
「ヌーッティはお留守番だよ?」
アキのひとことにヌーッティは白目をむいた。
「解せヌー! ヌーも行きたいヌー! ヌーも新しいお洋服欲しいヌー!」
ヌーッティは寝転んで両手足をバタつかせた。
「わたしがヌーッティの面倒をみるから、連れて行ってあげようよ。お菓子の盗み食いされたら困るでしょ?」
ハンナがアキに提案した。
「まあ、お菓子がなくなるのは困るし……」
アキはちらりとヌーッティを見た。そして、ため息をひとつ。
「連れて行くけど、大人しくしてるんだぞ」
「ヌーはお利口だから大丈夫だヌー!」
それを聞いたヌーッティを除く全員の胸中に不安が立ち込めた。
何はともあれ、こうして、トゥーリの新しい洋服を作るべく買い物へ行くことになったのであった。
「何かあったの?」
ハンナは不思議そうな面持ちで、アキに声をかけた。
「一大事だヌー! トゥーリが服を破いたヌー!」
「違うだろ」
ヌーッティの言葉に、アキが間髪入れず突っ込んだ。
アキは困惑しているようで、驚いているようにも見えるハンナにことの仔細を説明した。
ひと通り状況説明を聴いたハンナは深く頷いた。
「そりゃ、トゥーリは女の子だし、アキに採寸されたくないよー」
「ヌーはだめヌー?」
ヌーッティはハンナに問いかけた。
「ヌーッティが採寸しても、最終的にはアキが採寸する羽目になるから意味ないよ」
ハンナの核心をついた答えに、ヌーッティは頬を膨らませた。
「トゥーリ。わたしが測ろうか?」
ハンナは目線をトゥーリに合わせるように屈むと、優しく言葉をかけた。
アキの胸に顔をうずめているトゥーリはちらりと顔をハンナに向けた。
「……ハンナだったらいい」
こうしてようやくトゥーリの新しい服を作るための採寸が開始された。
4人はキッチンから2階のアキの私室へ向かった。
部屋に入ると、アキはそっとトゥーリをデスクの上に立たせた。
それから、クローゼットの中にしまってある裁縫道具の入ったケースを取り出し、メジャーをハンナに手渡した。
ハンナはアキの指示通りに、トゥーリの身長や肩幅や身幅、腕の長さにウエストを測った。
アキはハンナが測った数値をメモ用紙に書き取った。
この間ヌーッティはベッドでごろんごろんしていた。
「さてと、布を買いに行くか」
アキはメモ用紙をミシン目に沿って切り離すと、4つ折りにしてズボンのポケットにしまい込んだ。
「お出かけヌー⁈」
ばっと起き上がったヌーッティの目は輝いていた。
「ヌーッティはお留守番だよ?」
アキのひとことにヌーッティは白目をむいた。
「解せヌー! ヌーも行きたいヌー! ヌーも新しいお洋服欲しいヌー!」
ヌーッティは寝転んで両手足をバタつかせた。
「わたしがヌーッティの面倒をみるから、連れて行ってあげようよ。お菓子の盗み食いされたら困るでしょ?」
ハンナがアキに提案した。
「まあ、お菓子がなくなるのは困るし……」
アキはちらりとヌーッティを見た。そして、ため息をひとつ。
「連れて行くけど、大人しくしてるんだぞ」
「ヌーはお利口だから大丈夫だヌー!」
それを聞いたヌーッティを除く全員の胸中に不安が立ち込めた。
何はともあれ、こうして、トゥーリの新しい洋服を作るべく買い物へ行くことになったのであった。
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