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可愛いは誰の手に?
2.ヌーッティとキルシの3本勝負
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睨み合うヌーッティとキルシの様子を見ていたアキとトゥーリは深いため息を吐いた。
「どっちも可愛いでいいじゃん?」
アキが諭すような口調で二人に問いかけた。
「だめ! 絶対にだめ! わたしのほうが可愛いって証明させるときが来たのよ!」
「そうだヌー! ヌーの絶対的可愛さを揺るがないものにするヌー!」
息巻くヌーッティとキルシに対して極めて冷静なトゥーリが、
「それで、どんな勝負をするの?」
そう疑問を投げかけた。
キルシはびしっと右手でヌーッティを指さす。
「三本勝負よ! まずは、容姿の可愛さで勝負!」
「それでどうすんの?」
キルシは問いかけたアキへ顔を向けると、
「これからヌーッティと二人で一番可愛いポーズをするから、アキとトゥーリはどちらが可愛いかを判定して!」
アキとトゥーリはこくりと頷いてキルシに応えた。
それを見て、キルシとヌーッティはじゃんけんで順番を決めた。
1番手はキルシであった。
キルシはベッドの上に飛び乗ると、ランウェイを歩くモデルのように数歩歩くと、アキとトゥーリに背を向けた。
そして、くるりと上半身を軽く捻って見返った。どうだと言わんばかりの表情を添えて。
「えっと……」
アキが困惑した表情で呟いた。
「この角度が最もわたしを可愛く見せるのです!」
どこが?——と思ったトゥーリではあったが、あえて口には出さなかった。
「どうです⁈」
キルシが意気揚々とアキとトゥーリに尋ねた。
「いいんじゃない?」
さらりと淡泊な口調でトゥーリが返答した。
トゥーリの隣にいるアキはどこかほっとした面持ちをしていた。
「じゃあ、次はヌーッティよ」
見れば、いつの間にかヌーッティもベッドの上に乗っていた。
「こんなのらくしょーだヌー」
そう言いながらヌーッティはべっどの上に寝転がった。
完全なる涅槃スタイル。どこをどう見てもただ寝転がっているだけである。
「ヌーッティ?」
アキが首を傾げて、寝そべり目を閉じているヌーッティの名前を呼ぶと、ヌーッティは、
「ヌーは寝顔が一番可愛いヌー」
そう応えて、うつらうつらと頭を揺らし、
「お菓子だヌー……むにゃむにゃ」
寝かけていた。
それを見たキルシは思いっきりヌーッティのしっぽを引っ張った。
「痛いヌー!」
「寝るんじゃないの! 勝負中でしょ!」
キルシは手に掴んだヌーッティのしっぽをムニムニと伸ばしたり、つまんだりして、ヌーッティの眠気を吹き飛ばした。
「アキ! トゥーリ! 二人の判定は⁈」
キルシとヌーッティの視線が二人に集中した。
「引き分け……かな?」
アキが頬をかきながら、乾いた声で答えた。
「どっちもどっち」
トゥーリは目を細め、首を横に振って答えた。
むうっとした表情を浮かべたキルシではあったが、こほんと軽く咳払いをすると、
「では、次の勝負開始よ!」
闊達な声で仕切り直した。
可愛さの行方は次の勝負にゆだねられたのであった。
「どっちも可愛いでいいじゃん?」
アキが諭すような口調で二人に問いかけた。
「だめ! 絶対にだめ! わたしのほうが可愛いって証明させるときが来たのよ!」
「そうだヌー! ヌーの絶対的可愛さを揺るがないものにするヌー!」
息巻くヌーッティとキルシに対して極めて冷静なトゥーリが、
「それで、どんな勝負をするの?」
そう疑問を投げかけた。
キルシはびしっと右手でヌーッティを指さす。
「三本勝負よ! まずは、容姿の可愛さで勝負!」
「それでどうすんの?」
キルシは問いかけたアキへ顔を向けると、
「これからヌーッティと二人で一番可愛いポーズをするから、アキとトゥーリはどちらが可愛いかを判定して!」
アキとトゥーリはこくりと頷いてキルシに応えた。
それを見て、キルシとヌーッティはじゃんけんで順番を決めた。
1番手はキルシであった。
キルシはベッドの上に飛び乗ると、ランウェイを歩くモデルのように数歩歩くと、アキとトゥーリに背を向けた。
そして、くるりと上半身を軽く捻って見返った。どうだと言わんばかりの表情を添えて。
「えっと……」
アキが困惑した表情で呟いた。
「この角度が最もわたしを可愛く見せるのです!」
どこが?——と思ったトゥーリではあったが、あえて口には出さなかった。
「どうです⁈」
キルシが意気揚々とアキとトゥーリに尋ねた。
「いいんじゃない?」
さらりと淡泊な口調でトゥーリが返答した。
トゥーリの隣にいるアキはどこかほっとした面持ちをしていた。
「じゃあ、次はヌーッティよ」
見れば、いつの間にかヌーッティもベッドの上に乗っていた。
「こんなのらくしょーだヌー」
そう言いながらヌーッティはべっどの上に寝転がった。
完全なる涅槃スタイル。どこをどう見てもただ寝転がっているだけである。
「ヌーッティ?」
アキが首を傾げて、寝そべり目を閉じているヌーッティの名前を呼ぶと、ヌーッティは、
「ヌーは寝顔が一番可愛いヌー」
そう応えて、うつらうつらと頭を揺らし、
「お菓子だヌー……むにゃむにゃ」
寝かけていた。
それを見たキルシは思いっきりヌーッティのしっぽを引っ張った。
「痛いヌー!」
「寝るんじゃないの! 勝負中でしょ!」
キルシは手に掴んだヌーッティのしっぽをムニムニと伸ばしたり、つまんだりして、ヌーッティの眠気を吹き飛ばした。
「アキ! トゥーリ! 二人の判定は⁈」
キルシとヌーッティの視線が二人に集中した。
「引き分け……かな?」
アキが頬をかきながら、乾いた声で答えた。
「どっちもどっち」
トゥーリは目を細め、首を横に振って答えた。
むうっとした表情を浮かべたキルシではあったが、こほんと軽く咳払いをすると、
「では、次の勝負開始よ!」
闊達な声で仕切り直した。
可愛さの行方は次の勝負にゆだねられたのであった。
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