トゥーリとヌーッティ<短編集>

御米恵子

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ヌーッティの7日間ダイエット

2.ヌーッティのダンス

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 ヌーッティは足の屈伸運動を軽く5回と、腕の伸ばしを片方ずつ5回すると、
「それじゃあ始めるヌー!」
「何を?」
 意気揚々と張り切るヌーッティへ、トゥーリは冷ややかな目を向けて尋ねた。
 ヌーッティは両腕を上に突き上げると、
「ダンスだヌー!」
 たたたっと足踏みをした。
「ヌーッティって踊れたっけ?」
「失礼だヌー! ヌーはダンスのプロだヌー! 見てるヌー!」
 そう言うとヌーッティはトゥーリに背を向けた。
 それから、ヌーッティは楽しそうに歌を口ずさみながら、お尻を左右に振り始めた。
 お尻を振って、止めて、両手を交互に左右横に伸ばす。軽く左右に2回ずつステップ。くるっと回転してトゥーリのほうを向くと、両手を前へ突き出し、
「じゃーん! だ、ヌー!」
 突き出した手を振っているヌーッティはとても息が上がっていた。
「終わり?」
「終わりだヌー! はふー!」
 トゥーリは無言でヌーッティを見つめていた。
 何も言えなかった。
「ダンス」という言葉がトゥーリの頭の中を駆け巡り、
「ねえ、ダンスって何?」
 そう言うほかなかった。
 ヌーッティは額の汗を手の甲で拭う。
「今、踊ったヌー! ヌーが作ったお尻を小さくするダンスだヌー!」
 トゥーリは右手を額に当てて、うな垂れた。
「どうしたヌー?」
 ヌーッティはつぶらな目をさらに丸くして、トゥーリに尋ねた。
「……しかたない」
 トゥーリはぽそりと呟いた。
 ヌーッティは首を傾げた。
 トゥーリは顔を上げて、ヌーッティをびしっと指さした。
「私がヌーッティのトレーナーになってあげる!」
 ヌーッティはさらに首を横に傾ける。
「つまり、私がヌーッティのダイエットをみてあげるって言ってるの!」
「えっ? えっ? ヌーっ⁈」
 ようやくヌーッティも理解したようである。
「7日間後にはマイナス500グラムにさせたげる!」
 こうして、ヌーッティのダイエットに肉体派トゥーリが参加することとなった。
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