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ヌーッティとアレクシ
1.朝の叫び
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その日は雪が降っていた。
5月のヴァップが過ぎて、待ちに待った春がいよいよ来るぞというときの突然の降雪であった。
ヌーッティはアキの部屋のベッドの下で、トゥーリから貸してもらったーーというよりも、半ば強引に譲ってもらった、ウールの赤色のブランケットを頭まですっぽりかぶって寝息を立てていた。
うとうとしたまどろみの中で、ヌーッティはくすぐったさを感じた。
「アレクシ、おひげがくすぐったいヌー」
よだれを垂らしながらヌーッティは腕を伸ばし、
「ヌーのベッドに入ってこないで欲しいヌー」
アレクシがいると思われるほうを手で押した。しかし、何かに当たった感触はなかった。ただ、ブランケットが押しやられ、ヌーッティからはがされただけであった。
ヌーッティは身震いすると、目をゆっくりと開けた。
「いやぁああああああっ!」
そこへ、アレクシの絶叫が聞こえてきた。
部屋中に響いた叫びで、ヌーッティはのっそりと起き上がると、ベッド下から這い出た。
「なにごとだヌー?」
目を擦り、立ち上がったヌーッティの前に小熊が一匹いた。それはとても見覚えのある熊であった。
丸い曲線を描く姿に、愛らしいふわふわの楕円のしっぽ。
「誰だヌー?」
ヌーッティの目の前にいる小熊が振り返った。
その顔はヌーッティそのものであった。
「誰が鏡を置きっぱなしにしたヌー?」
ヌーッティは首を傾げた。
しかし、目の前の小熊は首を傾げず、ヌーッティへ向かって駆け寄ってくる。
近づいてきたヌーッティ姿の何者かは、ヌーッティの肩をがしっと掴み、
「なんでぼくがここにいるんだ⁈」
ヌーッティには何がなんだかわからなかった。ただ一つわかったことがある。
「やっぱりヌーはいつ見てもかわいいヌー!」
「何、寝ぼけたことを言っているんだ! ちょっとこっちへ来てくれ!」
目の前のヌーッティがヌーッティの手を取って、鏡の前まで引っ張って行く。すると、
「ヌー? ……え?」
ヌーッティの目に映ったものは、隣にいるヌーッティと、その横にいるアレクシであった。
「ヌーがアレクシになってるヌー⁈‼︎」
ヌーッティがアレクシに、アレクシがヌーッティになっていた。
これから長い一日が始まるのであった。
5月のヴァップが過ぎて、待ちに待った春がいよいよ来るぞというときの突然の降雪であった。
ヌーッティはアキの部屋のベッドの下で、トゥーリから貸してもらったーーというよりも、半ば強引に譲ってもらった、ウールの赤色のブランケットを頭まですっぽりかぶって寝息を立てていた。
うとうとしたまどろみの中で、ヌーッティはくすぐったさを感じた。
「アレクシ、おひげがくすぐったいヌー」
よだれを垂らしながらヌーッティは腕を伸ばし、
「ヌーのベッドに入ってこないで欲しいヌー」
アレクシがいると思われるほうを手で押した。しかし、何かに当たった感触はなかった。ただ、ブランケットが押しやられ、ヌーッティからはがされただけであった。
ヌーッティは身震いすると、目をゆっくりと開けた。
「いやぁああああああっ!」
そこへ、アレクシの絶叫が聞こえてきた。
部屋中に響いた叫びで、ヌーッティはのっそりと起き上がると、ベッド下から這い出た。
「なにごとだヌー?」
目を擦り、立ち上がったヌーッティの前に小熊が一匹いた。それはとても見覚えのある熊であった。
丸い曲線を描く姿に、愛らしいふわふわの楕円のしっぽ。
「誰だヌー?」
ヌーッティの目の前にいる小熊が振り返った。
その顔はヌーッティそのものであった。
「誰が鏡を置きっぱなしにしたヌー?」
ヌーッティは首を傾げた。
しかし、目の前の小熊は首を傾げず、ヌーッティへ向かって駆け寄ってくる。
近づいてきたヌーッティ姿の何者かは、ヌーッティの肩をがしっと掴み、
「なんでぼくがここにいるんだ⁈」
ヌーッティには何がなんだかわからなかった。ただ一つわかったことがある。
「やっぱりヌーはいつ見てもかわいいヌー!」
「何、寝ぼけたことを言っているんだ! ちょっとこっちへ来てくれ!」
目の前のヌーッティがヌーッティの手を取って、鏡の前まで引っ張って行く。すると、
「ヌー? ……え?」
ヌーッティの目に映ったものは、隣にいるヌーッティと、その横にいるアレクシであった。
「ヌーがアレクシになってるヌー⁈‼︎」
ヌーッティがアレクシに、アレクシがヌーッティになっていた。
これから長い一日が始まるのであった。
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