44 / 155
欲望のトライアングル
5.運命のラクリッツチョコレート
しおりを挟む
リュリュがラクリッツチョコを完成させてから3日が過ぎ、ついに2月14日がやって来た。
この日、ヌーッティはリュリュからトゥーリ宛の言伝を預かっていた。
伝えないわけにはいかないとヌーッティは考えていた。ヌーッティ自身の身の安全のためでもあり、ひいてはトゥーリとアレクシを守るためでもあった。できるだけ自然に、かつトゥーリに真意が伝わるように伝えなければならない。
ヌーッティはアキの部屋の机の上にいるトゥーリに近づいた。
「げ、元気ヌー? 今日はいい天気だヌー」
しかし、ヌーッティの挙動は怪しかった。当然、トゥーリは訝り、
「いきなり何? 何か変だよ?」
目を細めてヌーッティに尋ねた。ヌーッティは返答に詰まり、トゥーリから目を逸らした。
トゥーリはますます怪しみ、
「また、お菓子をつまみ食いしたの?」
問いただすも、ヌーッティは首を横に振った。
ヌーッティは手をぎゅっと握りしめると、意を決してトゥーリを見つめた。
「今日はヌーのおやつを全部あげるから、ほかのおやつは食べちゃだめだヌー!」
「え? どうした……」
「あと、リュリュが庭に来て欲しいって言ってたヌー! ヌーも一緒に行ってあげるから心配いらないヌー!」
トゥーリは目を丸くして驚いたような表情を浮かべた。
そして、ヌーッティはトゥーリの手を引いてリュリュが待つ庭へ向かうのであった。
庭に着いたヌーッティとトゥーリを待っていたのはリュリュとアレクシであった。
赤色の袋と黒色の袋を持つリュリュが一歩前へ、トゥーリの前へと出た。
「今日はトゥーリ様に大事なお話がありまして」
もじもじしているリュリュは頬を赤て話を切り出した。
「おっと、その前にぼくに渡すものがあるんじゃないかい?」
軽い咳払いをしてアレクシが、リュリュとトゥーリの間に割って入った。リュリュは表情を変えずに、
「これをどうぞ。たっぷり『愛情』が入っていますわ」
アレクシへ黒色の袋を差し出した。アレクシは嬉しそうな笑みを浮かべて受け取った。ヌーッティはその様子を唾を飲み込み見ていた。
「トゥーリ様にはこちらを。今日が何の日かご存知かとは思いますが、わたくしの愛はいつもトゥーリ様と共にありますわ」
にっこり笑ってリュリュがトゥーリに赤色の袋を渡した。
そんな中、浮かれているアレクシは、すぐさま袋を開けて中に入っている紫色のラクリッツチョコを取り出した。
「いただきます!」
アレクシは口を大きく開けて、ラクリッツチョコを放り入れた。
それを見たリュリュの口角がわずかに上がる。
ヌーッティの頬を冷たい汗が流れ、地面に滴ったと同時に、アレクシが小さく呻き声を発し、顔色が変わった。
アレクシの手から黒色の袋が落ち、中に入っていたメッセージカードが袋から飛び出た。そのメッセージカードには「Mene tuonelaan ーー冥府へ行ってしまえ」と赤いインクで書かれていた。
トゥーリがそのメッセージカードを手にした時、悶えるアレクシがその場に倒れ付したのであった。
この日、ヌーッティはリュリュからトゥーリ宛の言伝を預かっていた。
伝えないわけにはいかないとヌーッティは考えていた。ヌーッティ自身の身の安全のためでもあり、ひいてはトゥーリとアレクシを守るためでもあった。できるだけ自然に、かつトゥーリに真意が伝わるように伝えなければならない。
ヌーッティはアキの部屋の机の上にいるトゥーリに近づいた。
「げ、元気ヌー? 今日はいい天気だヌー」
しかし、ヌーッティの挙動は怪しかった。当然、トゥーリは訝り、
「いきなり何? 何か変だよ?」
目を細めてヌーッティに尋ねた。ヌーッティは返答に詰まり、トゥーリから目を逸らした。
トゥーリはますます怪しみ、
「また、お菓子をつまみ食いしたの?」
問いただすも、ヌーッティは首を横に振った。
ヌーッティは手をぎゅっと握りしめると、意を決してトゥーリを見つめた。
「今日はヌーのおやつを全部あげるから、ほかのおやつは食べちゃだめだヌー!」
「え? どうした……」
「あと、リュリュが庭に来て欲しいって言ってたヌー! ヌーも一緒に行ってあげるから心配いらないヌー!」
トゥーリは目を丸くして驚いたような表情を浮かべた。
そして、ヌーッティはトゥーリの手を引いてリュリュが待つ庭へ向かうのであった。
庭に着いたヌーッティとトゥーリを待っていたのはリュリュとアレクシであった。
赤色の袋と黒色の袋を持つリュリュが一歩前へ、トゥーリの前へと出た。
「今日はトゥーリ様に大事なお話がありまして」
もじもじしているリュリュは頬を赤て話を切り出した。
「おっと、その前にぼくに渡すものがあるんじゃないかい?」
軽い咳払いをしてアレクシが、リュリュとトゥーリの間に割って入った。リュリュは表情を変えずに、
「これをどうぞ。たっぷり『愛情』が入っていますわ」
アレクシへ黒色の袋を差し出した。アレクシは嬉しそうな笑みを浮かべて受け取った。ヌーッティはその様子を唾を飲み込み見ていた。
「トゥーリ様にはこちらを。今日が何の日かご存知かとは思いますが、わたくしの愛はいつもトゥーリ様と共にありますわ」
にっこり笑ってリュリュがトゥーリに赤色の袋を渡した。
そんな中、浮かれているアレクシは、すぐさま袋を開けて中に入っている紫色のラクリッツチョコを取り出した。
「いただきます!」
アレクシは口を大きく開けて、ラクリッツチョコを放り入れた。
それを見たリュリュの口角がわずかに上がる。
ヌーッティの頬を冷たい汗が流れ、地面に滴ったと同時に、アレクシが小さく呻き声を発し、顔色が変わった。
アレクシの手から黒色の袋が落ち、中に入っていたメッセージカードが袋から飛び出た。そのメッセージカードには「Mene tuonelaan ーー冥府へ行ってしまえ」と赤いインクで書かれていた。
トゥーリがそのメッセージカードを手にした時、悶えるアレクシがその場に倒れ付したのであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる