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探偵ヌーッティ
2.アレクシの推理
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一階に降りてきたアキと、その後ろに続くヌーッティたち4人は、アキの祖母パウリーナの声が聞こえたキッチンへと急いだ。
「ばーちゃん、どうしたの?」
声をかけてキッチンへ入って行くアキの姿を、ヌーッティたちは入り口の壁に隠れて静かに見ていた。
「おばーちゃん困ってるね」
アキとパウリーナのやり取りを見ながらトゥーリが密やかに言葉を発した。
「ええ、これだけ酷いと叫んでしまうのも無理からぬこと」
リュリュがトゥーリに応じた。
「それにしても、一体どうして……」
アレクシが息を飲み、
「こうなったのかはわからないけど、やっぱりヌーッティじゃないヌー!」
ヌーッティが彼の言葉に続いた。
トゥーリとリュリュとアレクシは互いの顔を見ると、ヌーッティに視線を移し、
「ここは違うっていうのはね」
3人からの疑いはまだ晴れていなかった。
「ムキーだヌー!」
地団駄を踏むヌーッティをトゥーリが腕力で無理矢理押さえ込むと、人差し指を立てて口に当てた。
「しー! おばーちゃんに見つかっちゃう!」
その時、ヌーッティは視界の端にあるものを捉えた。
「あれを見るヌー!」
ヌーッティの指が指し示す先、勝手口をトゥーリたちは見やった。そこには、アキの部屋にあったものと同じ大きさの白い羽根がこんもりと積まれていた。
トゥーリは散らかったキッチンの中で話し込むアキとパウリーナから目線を下げて、床を中心に周囲を見渡す。
「トゥーリ様!」
リュリュがトゥーリの肩を叩いた。
「あそこ、地下へ続く階段にも羽根が落ちてますわ!」
リュリュの手が指し示す方向に羽根が点々と落ちていた。そして、それは地下にあるサウナ室へと続いているようであった。
「誰のしわざか知らないヌーが、ヌーッティが捕まえて身の潔白を証明するヌー!」
トゥーリの腕からヌーッティが身をよじらせ地下室へダッシュしようとした、その時、
「待ちたまえ」
アレクシがヌーッティの首に巻かれているリボンをひっ掴んで制止した。
ヌーッティは呻き声を上げて立ち止まった。
「痛いヌー! なんで止めるヌー⁈」
「きみ、気づかないのかい? これが罠かもしれないということを」
アレクシは注意を促しつつ、ヌーッティのリボンを掴んでいた手を離した。
「罠ってどういうこと?」
トゥーリがアレクシに尋ねた。
「これはぼくの憶測に過ぎないが、ヌーッティを狙っているんじゃないか?」
「ヌーッティを?」
トゥーリは聞き返した。
「今回の一連の状況を鑑みるに、何者かがヌーッティの仕業に仕立てて、ヌーッティの孤立化を誘導した。そして、そうなればヌーッティは自身の無実を証明するべく犯人捜索の行動に出る。ぼくたちがいない1人きりになったヌーッティを襲うことなど容易い」
ヌーッティはごくりと唾を飲んだ。
「ヌーッティを襲うメリットとは?」
リュリュがアレクシに尋ねた。
アレクシは首を横に振る。
「そこまではぼくにもわからない。けど、何か心当たりがあるんじゃないのかい? ヌーッティ」
アレクシの真剣な眼差しにヌーッティは息を呑んで思案した。やがて、
「この前、アキが作ったトゥーリのおやつを食べたヌー」
4人の間に沈黙が訪れた。
「あれ、ヌーッティだったんだ」
その沈黙を破ったのは怒りに駆られた瞳を湛えるトゥーリであった。トゥーリは指をばきばき鳴らしながらヌーッティの目の前に立つ。
「ま、間違ったヌー! トゥーリのは食べてないヌー! リュリュのだヌー!」
大慌てで否定したヌーッティであったが、今度はリュリュから異様な殺気を感じ取った。
「わたくしのおやつを無断で食すなどあるまじきこと! 食ってやろうか⁈ この小熊風情が!」
飛びかかろうとしたリュリュをトゥーリが抑えた。
「今はヌーッティ以外の侵入者を見つけるのが先だよ。その後でならヌーッティをどうにでもしていいから」
トゥーリは、鼻息荒いリュリュに恐れをなしてアレクシの後ろに身を隠し震えているヌーッティに視線を移す。
「本当に何か心当たりないの?」
トゥーリに尋ねられてヌーッティは黙考し始める。そして、あ! と何か思い出した様な声を上げた。
「ボクシングデーにヌーッティがお散歩に出かけたときだヌー! 一羽の白鳥に湖で出会ったヌー!」
「それで、その白鳥に何かいたずらでもしたのかい?」
アレクシは、ヌーッティがさもその白鳥にいたずらをしたということを前提でヌーッティに問いかけた。
「してないヌー。ただ、お腹が減ってるって言うからヌーッティはヌーッティがいっぱいおやつを持ってるって自慢しただけだヌー」
トゥーリとアレクシとリュリュはヌーッティを見つめた。
「あ! そのあと、その白鳥がうちに来たいって言ったから『きみの分のおやつはないヌー』ってちゃんと言ったヌー!」
「その白鳥、かわいそう」
トゥーリたち3人の声が重なった。
「わかったヌー! 真犯人はその白鳥だヌー! ヌーッティへふくしゅうするためにこんなことしたヌー! 許さないヌー!」
ヌーッティはトゥーリたちの制止を振り切ると階段を降り、羽根が導く地下室へと駆けて行った。
「ばーちゃん、どうしたの?」
声をかけてキッチンへ入って行くアキの姿を、ヌーッティたちは入り口の壁に隠れて静かに見ていた。
「おばーちゃん困ってるね」
アキとパウリーナのやり取りを見ながらトゥーリが密やかに言葉を発した。
「ええ、これだけ酷いと叫んでしまうのも無理からぬこと」
リュリュがトゥーリに応じた。
「それにしても、一体どうして……」
アレクシが息を飲み、
「こうなったのかはわからないけど、やっぱりヌーッティじゃないヌー!」
ヌーッティが彼の言葉に続いた。
トゥーリとリュリュとアレクシは互いの顔を見ると、ヌーッティに視線を移し、
「ここは違うっていうのはね」
3人からの疑いはまだ晴れていなかった。
「ムキーだヌー!」
地団駄を踏むヌーッティをトゥーリが腕力で無理矢理押さえ込むと、人差し指を立てて口に当てた。
「しー! おばーちゃんに見つかっちゃう!」
その時、ヌーッティは視界の端にあるものを捉えた。
「あれを見るヌー!」
ヌーッティの指が指し示す先、勝手口をトゥーリたちは見やった。そこには、アキの部屋にあったものと同じ大きさの白い羽根がこんもりと積まれていた。
トゥーリは散らかったキッチンの中で話し込むアキとパウリーナから目線を下げて、床を中心に周囲を見渡す。
「トゥーリ様!」
リュリュがトゥーリの肩を叩いた。
「あそこ、地下へ続く階段にも羽根が落ちてますわ!」
リュリュの手が指し示す方向に羽根が点々と落ちていた。そして、それは地下にあるサウナ室へと続いているようであった。
「誰のしわざか知らないヌーが、ヌーッティが捕まえて身の潔白を証明するヌー!」
トゥーリの腕からヌーッティが身をよじらせ地下室へダッシュしようとした、その時、
「待ちたまえ」
アレクシがヌーッティの首に巻かれているリボンをひっ掴んで制止した。
ヌーッティは呻き声を上げて立ち止まった。
「痛いヌー! なんで止めるヌー⁈」
「きみ、気づかないのかい? これが罠かもしれないということを」
アレクシは注意を促しつつ、ヌーッティのリボンを掴んでいた手を離した。
「罠ってどういうこと?」
トゥーリがアレクシに尋ねた。
「これはぼくの憶測に過ぎないが、ヌーッティを狙っているんじゃないか?」
「ヌーッティを?」
トゥーリは聞き返した。
「今回の一連の状況を鑑みるに、何者かがヌーッティの仕業に仕立てて、ヌーッティの孤立化を誘導した。そして、そうなればヌーッティは自身の無実を証明するべく犯人捜索の行動に出る。ぼくたちがいない1人きりになったヌーッティを襲うことなど容易い」
ヌーッティはごくりと唾を飲んだ。
「ヌーッティを襲うメリットとは?」
リュリュがアレクシに尋ねた。
アレクシは首を横に振る。
「そこまではぼくにもわからない。けど、何か心当たりがあるんじゃないのかい? ヌーッティ」
アレクシの真剣な眼差しにヌーッティは息を呑んで思案した。やがて、
「この前、アキが作ったトゥーリのおやつを食べたヌー」
4人の間に沈黙が訪れた。
「あれ、ヌーッティだったんだ」
その沈黙を破ったのは怒りに駆られた瞳を湛えるトゥーリであった。トゥーリは指をばきばき鳴らしながらヌーッティの目の前に立つ。
「ま、間違ったヌー! トゥーリのは食べてないヌー! リュリュのだヌー!」
大慌てで否定したヌーッティであったが、今度はリュリュから異様な殺気を感じ取った。
「わたくしのおやつを無断で食すなどあるまじきこと! 食ってやろうか⁈ この小熊風情が!」
飛びかかろうとしたリュリュをトゥーリが抑えた。
「今はヌーッティ以外の侵入者を見つけるのが先だよ。その後でならヌーッティをどうにでもしていいから」
トゥーリは、鼻息荒いリュリュに恐れをなしてアレクシの後ろに身を隠し震えているヌーッティに視線を移す。
「本当に何か心当たりないの?」
トゥーリに尋ねられてヌーッティは黙考し始める。そして、あ! と何か思い出した様な声を上げた。
「ボクシングデーにヌーッティがお散歩に出かけたときだヌー! 一羽の白鳥に湖で出会ったヌー!」
「それで、その白鳥に何かいたずらでもしたのかい?」
アレクシは、ヌーッティがさもその白鳥にいたずらをしたということを前提でヌーッティに問いかけた。
「してないヌー。ただ、お腹が減ってるって言うからヌーッティはヌーッティがいっぱいおやつを持ってるって自慢しただけだヌー」
トゥーリとアレクシとリュリュはヌーッティを見つめた。
「あ! そのあと、その白鳥がうちに来たいって言ったから『きみの分のおやつはないヌー』ってちゃんと言ったヌー!」
「その白鳥、かわいそう」
トゥーリたち3人の声が重なった。
「わかったヌー! 真犯人はその白鳥だヌー! ヌーッティへふくしゅうするためにこんなことしたヌー! 許さないヌー!」
ヌーッティはトゥーリたちの制止を振り切ると階段を降り、羽根が導く地下室へと駆けて行った。
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