TS異世界生活記

ポカリ

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策略と盗撮と幸運の女神

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「着替え終わりました!」

 更衣室で着替え終わった後、ボクは店長さんに仕事の内容を教わっていく、
 主にボクがやることはレジでの接客であり、あとは荷物持ち位のものであった。

「その間、店長さんは何をしているんですか?」

「僕はドーナツを作ってるよ、実はこの店は魔道ネットで注文を受けたりもしていてね。その分も作らなきゃならないんだ」

 聞きなれない魔道ネットという言葉を耳にした諸君! ここはボクが説明して進ぜよう!
 魔道ネットとは、僕らの世界のインターネットのようなものである。
 魔法を使って情報の共有をしたり、荷物の宅配もできるのだ!

 これも1週間の期間の間に調べたことの1つである。
 ボクはきっちり準備をする人間なのだ!

「わかりました!」

「うん、困ったことがあったら裏に来てくれればいいから……あと、トイレはそこね」

 店長さんはそう言って、トイレを指差した。

「男女共用だから僕と一緒になっちゃうけど……その、ゴメンね」

「ボクは気にしませんよ! ……あ、ボクが入った後、臭いとか気にしないでくださいね」

 しっかり女の子アピールも忘れない。
 に、してもだ。この車の中は、思ったよりも広くて驚いた。
 更衣室、厨房、トイレ、レジ……そういったものが全てこの車の中に詰まっている。
 そのことを店長さんに聞いてみると

「ああ、この店は僕の車を改造したものなんだ、運転席やエンジン部分も改造して取り外してあるから思ったより広く感じるんだろうね」

 との答えが返ってきた。

「そろそろ開店するけど、大丈夫?」

「はい! よろしくお願いしまーす!」

 元気に返事をするボクを見て頷いた後店のシャッターを開ける店長さん。
 こうして、ボクの異世界での初めてのアルバイトが始まった。


 ……数時間後

「いやぁ、思ったよりか簡単でしたよ!」

「そう、そりゃあよかった」

「ええ!」

 お店は閉店時間を迎えていた。
 店長さん曰く、今日は自分ではなくボクがいたから比較的人が来てくれたそうだ。

「お役にたてて光栄です! ……あ、すいません。おトイレお借りしまーす」

「あ、ああ、うん。どうぞ……」

 店長さんに返事をしてもらった後ボクはトイレに入った。そして、用を足しながら計画の再確認を始める。

(……よし、完璧!)

 ボクはパンツとスカートを履き直すと扉を開けて外に出た。まだ仕事は残っているのだ、頑張りながら楽しもう!


「店長さん、何か運ぶものとかありますか?」

「ああ……じゃあ、これお願いします。包装用の箱だから重くは無いと思うよ」

「はーい!」

 ボクは返事をして店長さんに言われた荷物を持ち上げる。
 持つときに店長さんに向けてお尻を突き出すのを忘れない。
 丈の短いスカートだから、たったそれだけの行動で中身が見えそうになっちゃう。


 こっそりと店長さんの様子を伺ってみると、顔を赤くしてそっぽを向いているのが見えた。
 でも欲望には逆らえないようだ、ちらちらとボクのお尻を見ているのがわかる。

(ふふっ♡ 上手くいったかな?)

 あまり長い間この姿勢でいるのも変だ、ボクは荷物を持ち上げると後ろの倉庫に向かって歩き出す。
 2、3歩歩き、店長さんの前を通りすがった瞬間、ハラリ、そんな音が聞こえた気がした。

 それが何の音かというと、ボクのスカートが静かに床に落ちた音だ。
 実際はそんな音してないけれどもそんな音がしたような気がするってことでご納得いただきたい。

 スカートの留め具を本当にゆる~く止めておいた甲斐があった。おかげで、ベストなポイントで落ちてくれたよ。
 なんてことを考えながら、ボクはスカートが落ちたことに気が付かない振りをしてそのまま歩き続ける。

(ふふふっ♡ 見てるよね?)

 ボクの下半身、お尻に注がれる視線。ボクはそれを痛いほどに感じていた。
 ボクの可愛らしい水色と白のストライプの模様の入ったパンツ。今、それが、店長さんの目にしっかりと焼き付けられている……♡
 ドクンドクンと体の鼓動がうるさく感じる。ボクはそれを顔には出さずに歩き続けた。

「マ、マコトさん! すすす、スカート!」

「へ?」

 残念、言ってしまいましたか♡
 ボクは何を言ってるかわからないふりをして顔だけ振り向く。
 そんなボクを見ながら店長さんが床に落ちたスカートを指差したのを見て、ボクは慌てる演技を始めた。

「わ、わぁ! ごっ、ごめんなさい!」

 そう言ってボクはスカートに駆け寄ろうとして……今度は手に持った荷物をどうするか考えているような素振りをする。
 クルクル回ってどこかに置けそうな場所がないか探す振りをしていると、そのことに気が付いた店長さんが代わりに荷物を持ってくれた。

「あ、ありがとうございます!」

 感謝の言葉を口にした後、スカートを手にしたボクは、店長さんの目の前でお尻を突き出すように屈みながらスカートを履く。今度はゆっくりではなく、手早くだ。
 でも、慌てている振りを交えて何回か履き直すこともしてみた。そんなボクを店長さんは何回もチラチラと見てくる。

(……やっぱボク、露出の趣味があるのかなぁ♡)

 ボクは見られる事で興奮を感じていた。
 最初は戸惑うだけだったが、女の子の体を受け入れた今の気分で言えば、この恥ずかしさが堪らなく気持ちよく思えてしまう。

 いつまでも露出快感を味わっていたいが、そういうわけにもいかない。
 ボクはスカートを履き終えると、店長さんに謝り、仕事を再開する。
 店長さんもしばらくはびくびくしていたが落ち着きを取り戻して仕事に戻っていった。

(……残念、押し倒されても良かったのになぁ)

 ボクは内心舌打ちをした。けど、まだ大丈夫! だってこの仕事は1週間もあるのだ

(まだまだ、方法は考えてあるし、それに……とっておきもあるからね!)





 それからというものの、ボクは仕事の合間を縫って色々な行動を起こし、店長さんを挑発してみた。

 例えば、最初のスカートがきつかったかもしれないと言って1つ大きいサイズのスカートを出してもらって、それを履いて何回もスカートを落としてパンツを見せ てみたり、逆に短いスカートを履いて、パンチラを何度もしたりもした。

 トイレから出てきてスカートのファスナーを開けたまま接客作業をして、後ろからだとパンツが丸見えになる状態でその日1日そのままでいたこともあったし、着替えに行った際に着替えを隠して下着姿のまま店長さんに着替えがないと伝えに行ったりもした。

 それでも店長さんはボクに手出しせず、真面目に仕事をこなしていく。
 そして、契約期間である1週間はあっという間に過ぎていき……









「ありがとうございました! また、機会があればよろしくお願いします!」

「こちらこそよろしく。じゃあ、ありがとう!」

「はい! さよなら!」

 我ながらよくここまでフレンドリーに話せるようになったもんだ……この店の店長である男は、心の中でそう呟いた。
 マコトが気さくで話しかけやすい性格だということもあったろうし、なぜか男の部分を感じるマコトが女性の中では話しかけやすい等の理由もあっただろう。
 だが、一番の理由はそこではない。

(やはり、あれのおかげだろうな)

 そんなことを考えていた彼の耳にガチャリとドアが開く音がした。
 何かと思い振り返ると、出て行ったマコトがドアを開けてこちらを笑顔で見ている。

「どうかしたのかい? 忘れもの?」

「いえ、1つ言おうと思っていたことがありましてね」

「言おうと思っていたこと?」

「はい、何となくですけどボクと店長さん、またすぐ会う気がするんですよね……それだけです、お疲れ様でした!」

 よくわからない言葉を伝えた後、マコトが外に出ていく。
 そんな彼女を不思議に思いながら彼もまた、仕事を終えて帰る準備を始めた。

 着替えた後トイレに入り、その後売上金を持って設備の確認を済ませ外に出る。
 鍵をかけて家に帰る途中、思ったことはマコトの不思議な行動だった。

(思えば彼女は変わった娘だったな、何度も下着姿を見られたというのに恥ずかしがるような感じではなかった)

 いや、恥ずかしがってはいたのだ。だが、何か違和感を感じるものであったのは間違いない。
 もしかしたら、何回も見られたことでそういう感覚がマヒしてきていたのだろうか? 彼女自身も最後の方にはもう慣れちゃいましたなんて言っていたことだし……。

 そんなことを考えながら歩いていたら家に着いた。
 鍵を開けて中に入る。彼の家は公園からほど近いが他の住宅とは離れた場所に建っていた。

 元は他にも数件の家があったが、キャスバルニアの政策により住宅整理が行われた際にこの一軒を残して潰されたのである。
 なぜこの家は取り壊されなかったのかわからないが、家賃も安く職場にも近い、かつ人づきあいが苦手な彼にとって隣人のいないこの家は非常に居心地のいい家であった。

 ……まぁ、彼がこの家を気に入っている理由は、他にもあるのだが。

 家に帰ってきた彼はシャワーを浴び、食事を摂りながら店の売り上げと魔道ネットでの予約数のチェックをする。
 不備がないことを確認した彼は食器を片づけて自室に入ると、明日が1週間で唯一の定休日であることを確認して、鞄からとあるものを取り出した。

 それは魔法結晶であった。しかしその魔法結晶には数々の魔法を使えるような機能は無く、たった二つのことしか出来ない代物だ。

 それは、「録画」と「再生」……記録結晶と呼ばれるそれは、マコトの世界で言うカメラのようなものであった。
 この結晶にもいくつか種類があり、普通のカメラのように一瞬の風景を切り取り写真のように記録するものや、長い時間を録画できるビデオカメラのようなものもある。

 彼が取り出したのは後者……ビデオ型のものであり、これは今日録画を終えたもので仕事場に置いてあったものである。
 一体、何を録画していたのか? その答えは単純なものだった

 そう、である。

 彼がそういった趣味を持つ人間なのかと聞かれると、決してそうではない。
 なら、何故こんなことをしているのかというと、それは彼の安心のためだった。

 彼はとある家に産まれた3人兄弟の次男だった。
 両親、兄、弟全員が恵まれた容姿を持つ中ただ1人、彼だけが醜悪な容姿を持って産まれてしまった。

 家族はそんな彼を差別することなく愛情を注ぎ、他の兄弟と同じように育てた。
 結果、彼は優しい性格に育ち他者を思いやることができるいい人間になったわけだが……家族以外の周りの人間は、いつも彼を笑ってきた。

「あの家族の中での唯一の不細工」
「きっとどこかから拾われてきたのだろう」

 そんな陰口が囁かれ、彼は人間嫌いになっていった。
 家族の慰めも空しくなった頃、彼は家を出て一人暮らしを始めた。

 生まれもっていた菓子作りの才能を生かし、一風変わったドーナツ屋台を作り上げ開店しそれなり繁盛したが、足を引っ張っているのはこの自分の容姿であるという事を彼も理解している。

 人より醜い自分と、他の人間。その中身は同じではないのか? 内面も他の人間とは違うのだろうか?
 彼のそんな疑問を解決したのは、性欲を解消すべく見つけたある映像であった。

 そこには綺麗な女性が人前で用を足す姿が収められていた。
 そのビデオは所謂盗撮ビデオなのだが、そんな事彼にとってはどうでもいい事だった。

 こんなに綺麗な女性が自分と同じ醜いものを排泄している……そのことが、彼に一種の自信を芽生えさせた。

 曰く、自分も他人も変わることは何もない。という事だ。
 幸か不幸かそんな自信を身に着けた彼は少し前向きになったが、同様に新たな不安も生まれ。た

 今目の前にいるこの人間は自分と同じで用を足すのであろうか?

 何を馬鹿なと言われればそれまでだが彼は本気で心配だったのである。
 そんな馬鹿らしい疑問を答えてくれる人間などいる訳がない。それが初めて会う女性ならばなおさらだ。

 求人をかけやってきたアルバイトの女性はどうなのだろうか? そんな疑問から彼は犯罪に手を染めることになる。

 そう、盗撮だ。

 その映像を見て安心する彼、彼女も自分と同じ人間であったと確信し、次の日からはある程度普通に接することが出来る。
 故にこの行動は止められなかった。やっていることは性犯罪者であるが、その映像で自慰行為は一切しないし、誰かに見せることも金稼ぎにも利用しない故に悪人度はあまり上がりもしなかった。

 そして今日もまた彼は盗撮した映像を見る。
 自分の安心のため、可愛らしい容姿をした彼女が醜く排泄する姿を見るために。

 しかし、今日の映像は少し違っていた。いや、正確に言えば、全く違うものだった。

「あ~、見てます? 店長さん」

 映像が映し出されたと思ったら、そこにはマコトが笑顔でこちらを見ている様子が映し出されたではないか。
 一体何故……?彼の疑問はマコトが答えてくれた。

「実はですね……ギルドの人に聞いてみたら、店長さんが盗撮してるかも、っていう噂を聞きましてね、それで色々調べてみたんですよ。そしたら、トイレにこれが置いてあるのを見つけちゃいましてね」

 そう言ってマコトが取り出したのは同じ魔法結晶だった。
 しかしそれは再生専用のもので、他の魔法結晶から映像を移してみるためのものだ。(早い話がダビング用)

「で、こっちに移しておきました! ……ダメですよ、こんなことしちゃあ」

 そう言って妖しく笑うマコトに対して店長の顔は真っ青だった。

 自分のやっていることは間違いなく犯罪だ。証拠も握られてしまった。
 もはや自分の人生は終わりだろう、今頃彼女はギルドに事の次第を報告しているかもしれない。
 絶望に浸る考えを続ける彼の耳に、マコトの声が響く。

「……安心してください、誰にも言うつもりはありませんから」

 そう言ってニッコリ笑ったマコトの言葉に耳を疑う店長。
 そんな彼の様子を知ってか知らずかマコトは話を続けた。

「で、ですね。店長さんへのメッセージがありまして、それはこっそり店長さんの鞄の中に入れておきました! 詳しくはそっちで、それじゃ!」

 その言葉を聞くや否や、店長は自身の鞄を必死に漁り、暫くしてして鞄の底からもう一つの映像結晶を見つけ出した彼は、急ぎそれを再生する。

 映し出されたそれには、見覚えのないトイレとマコトの姿が映っていた。
 店のものと同じ洋式のトイレには、一糸纏わぬ全裸のマコトが座っている。

 店長が彼女の形のいいふっくらとした胸に視線を奪われていると、マコトはおもむろに足を開き、彼女の秘所を指で広げて、その内部を彼へと見せつける。
 鮮やかなピンク色をしたそこには毛が生えておらず、形もとても綺麗で、彼が盗撮映像で見てきた遊んでいそうな女たちとは全く違うといっても過言ではない無垢な性器だった。

 美しいパイパンのまんこを注視している店長の前で、マコトは這わせていた指をその中に入れゆっくりと出し入れを始める。
 その動きと連動してマコトの口から甘い声が漏れ始めた。

「ふっ……♡ んふっ♡ はっ、あぁん……♡」

 徐々に激しくなっていく指の動きとマコトの声。
 それに合わせて、ぐちゅぐちゅという淫らな水音が響き始める。

「くうぅっ♡ あぁあっ♡ はぁあぁあっ♡」

 もはや声を押し殺すことをやめたマコトは嬌声を上げ、自慰行為を続ける。
 秘所を弄るその指はびしょびしょに濡れており、ふやけてしまっているのではないかと思えるほどであった。

「くぅんっ♡ んあぁっ♡ はぁっ♡ はあぁあぁああっっ♡」

 激しい自慰行為に完全に目を奪われる店長。その目がマコトの秘所、まだ弄られていない陰核に向かう。
 そこは小さくも固く起立し、触られるのを今か今かと待っているようであった。

 これが映像だという事はわかっている。だが、それでも……!

 興奮を禁じ得ない映像。待つのはただ一瞬のその時のマコトの姿。
 彼のその欲望が届いたのか、その時がやってきた。

 マコトが今まで触らずにいた陰核に手を伸ばす。
 膣への愛撫を続けながら、左手の指がそこに触れた瞬間……!!

「あっ、ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ♡♡♡ あひゅぅううぅうううっっ♡♡♡」

 絶叫とともにマコトの体が振動を始める。
 声を上げ続けたマコトは力なく便座の背もたれにもたれかかると、ぐったりとして体を休め始めた。

 そんな中でも、彼女の腰はビクンビクンと時々上下していた。
 絶頂の余韻が残っているのだろう、時に愛液が噴き出るその部分を見つめながら店長は思う。

 一体彼女は何がしたいのだろうか?

 自分を犯罪者として突き出すならばこんなことはしなくていい、金品を要求するのにも不必要だろう。
 なら何故……? と、疑問を持ち始めた彼であったが、その思考はマコトが立ち上がって何かを始めようとした事で中断された。

 マコトは一度立ち上がると、今度はこちら側に尻を向けて便座に座りなおした。
 形のいい桃型のヒップが興奮のためか赤く染まり淫らな雰囲気を醸し出している。だがしかし、彼が気になったのはそこではなかった。

 マコトの尻には何やら黒い模様があった。
 よく見てみればそれは文字であり、その文を読んだ店長は驚きのあまり後ろに尻餅をついてしまう。

 マコトが映像結晶を手に取ると自分の尻のあたりに持っていき、文字が読みやすいように文の最初からをスクロールするようにしてゆっくりと手を動かし始める。
 途中肛門のあたりで手を止めてヒクヒクと動くそこにしばし結晶を当ててその絵を記憶させた彼女は、また再び手を動かし結晶を元の位置に戻した。

 最後に尻を高く上げながらこちらを見て笑うマコトが映し出され、映像が終了する。
 脅迫、要求、嘲り……そんな内容を予測していた店長は、予想外の事態に声も上げられなかった。

 ごくりと唾を飲み込んだ彼はもう一度映像を見直してマコトのメッセージを確認する。

 『見たければ、そう言えばいいのに』……それが、マコトの尻に書かれていた文字だった。

 自分は誘われているのだろうか? それとも何かの罠? ぐるぐると頭をめぐる疑問に答えが出ないことに苛立つ彼だったが、家のチャイムが鳴りはっとして外を映す結晶の前に移動すると――

「店長さん、映像見てくれましたか? まだだっていうなら見て下さい、ボク、ここでしばらく待ってますから」

 ――そこには、満面の笑みのマコトが立っていた。
 彼女は笑顔のまま、こちらに向かって語りかけてくる。

「もしこのまま店長さんが何の行動も起こさなくっても、ボクはあのことを誰にも言うつもりはありませんよ、本当です。でも、もし……」

 そこで一度言葉を切ったマコトはその笑みを小悪魔的なものに変える。

「もし、ボクに言いたいことがあるなら……ドアを開けて直接言ってくださいね。例えば……何かを見たい、とか♡」

 天使のような愛くるしさを持つ彼女の悪魔のような囁き。その二面性に店長は動揺を隠せない。

 一体どうすればいいのか? 何が正解なのか? ……そんな疑問が浮かんだのは、ほんの少しの間だけだった。

 どの道、彼女が盗撮の事を言ってしまえば自分は終わりだ。ならば、少しでもいい目を見た方がいいじゃないか。
 そう考えた彼は玄関に向かう、それは損得勘定で出した結論に見えたが実際は少し違っていた。

 彼は望んだのだ、マコトの裸を見てみたいと。
 それだけではない、体に触れ、好き勝手蹂躙し、自分のモノにしたいと、そう、彼は願ったのである。

 それは男の持つ本能。今まで彼の中で眠っていたもの。
 今、それを解き放った彼は己の知らぬまま野獣へと変わっていた。






(どうする、かな?)

 こう思いながら、ボクは確信していた。
 店長さんはドアを開ける、と。

 口封じに殺されることもないだろう、なぜなら、エンディングにはボクの死亡エンドは無いと女神が言っていたからだ。
 そもそもそんなことする勇気があの店長さんにあるとは思えないしね。

(ねぇ、店長さん。あなたはすごく幸運なんですよ……♡)

 準備をする1週間の間に、ボクは彼の生い立ちや盗撮疑惑をしっかりと調べ上げていた。だからこそ、こんな計画が立てられたのだ。
 最初のチラシ配りのバイトで得た給料を使って道具を揃え、念入りな計画を立てる。そして、それはすべて上手くいった。あとは、彼がこのドアを開けるだけだ。

(もしボクがあなたに目をつけなかったら、遅かれ早かれあなたは盗撮犯として捕まっていたでしょう。そうじゃなくっても、女の子の肌に触れる機会なんてきっと来なかったはずです。そうならなかったのは、あなたがボクと同じド変態だったからなんですよ……♡♡♡)

 決して馬鹿になんてしていない、それどころか尊敬するくらいだ。
 店長さんは美形家族の中で唯一醜く生まれ、その容姿故に仕事も技術以上の成功を得られず、自分に自信が持てない人間になってしまった。
 バランスの女神は彼のような人間を真に救うべきだと思う、けど、それは敵わなかった。代わりに選ばれたのはボクのような人間だ。

 こんなに不幸そうな人を差し置いて、このボクが選ばれた。ならば……女の子になったこの体を使って、女神の代わりにボクが彼を救済してみせよう。

 ボクのこの考えは間違っちゃいないはずだ。
 だってそうでしょう? 見た目が悪いってだけの理由で貧乏くじを引かされ続けた人間に少しくらいいい目を見せたって、罰が当たるもんじゃない。

(だから、そう、ボクは――♡)

 にんまりと、蕩けた淫靡な笑みを浮かべるボクの目の前で、ゆっくりとドアが開いた。
 そこから姿を見せた店長さんは店の制服姿のボクの姿を見た後、意を決したように口を開き、自身の欲望を言葉として伝える。

「君の、裸を見せて欲しいんだけど……良い、かな……?」

 おずおずと、でも自分の欲望に正直になった店長さん。ボクはそんな店長さんに対して満面の笑みを浮かべてスカートを持ち上げた。
 そこには、下着を履かずにいたボクの湿り気を帯びたおまんこがあった。
 隠すものがないそこから視線を動かせない店長さんを見て、ボクはとどめの一言を口にする。

「……見るだけでいいんですか? もっとシタいこと、あるんじゃないですか?」

 その言葉を聞いた店長さんは、しばし固まった後ボクの手を取って家の中に引き入れた。
 ガチャリ、後ろで鍵の閉まる音がする。

(ああ、どうしよう……♡ きっと今のボク、すごくいやらしい顔してる……♡)

 予想通り、ボクの顔はいやらしく蕩けきっているようだ。
 徐々に近づく店長さん、ボクの目の前に来て何かをボクに伝える、その言葉を聞いてボクは微笑むと、彼の耳元で可愛らしく囁いた。

「お布団、行きましょうか……♡♡♡ そこで店長さんのしたいこと、ぜ~んぶボクが叶えてあげますからね……♡♡♡」

 長い夜、ボク達の楽しい一夜はこれから……♡♡♡
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