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鬼の誕生
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「きゅうじゅうきゅーう! ひゃーーーくっ!」
りまは、ふうと息を吐きます。どこまで数えたかすっかり忘れてしまい、80から数えました。心のどこかには早くこの場を離れたい気持ちがあったのだと思います。やっと数え終え一息つくと、早速みんなを探しに行こうとします。なんとなくそうしなきゃいけない気がして、りまは後ろを、つまり祠を振り返りました。そして一瞬ピタッと止まると、口の端を持ち上げにんまりと笑みを浮かべたのです。
りまが100を数え終わり、何分が経ったでしょうか。四人はこんな時間に外に出て遊んだことはありませんでした。いけないことをしているような高揚感と、暗闇の中で隠れなきゃいけない恐ろしさでいつもの何倍にも心臓の音は大きく聞こえます。
「ねえ、りま遅くない?」
「しっ! 見つかっちゃう」
「いいやん、早く見つかって終わりにしよ」
「大体、なんでかくれんぼなのにみんな一緒におるかな」
大木の後ろからこそこそと会話する声が聞こえました。
「こんな暗いのに一人でおれんて」
「無理すぎる」
「まったく、きっかもみちるも私がおらんとだめやん」
「とか言って。しほも」
小さな声ですが視覚が鈍る代わりに聴覚が冴え、会話の声はとても大きな声に聞こえました。
「みィ……つ……けたア」
「きゃぁぁぁぁっ!」
ですから、鬼の声も三人の耳にははっきりと届いたことでしょう。普段聞き慣れた声ではありませんでした。壊れたCDのようなカクカクとした音で、地の底を這うような、それでもって喉をぎゅっと絞ったような声です。
急に近くで聞こえた音に、三人は声を合わせて叫びました。
「び、っくりしたあ」
「待って、いなくない? りまー、どこ?」
「りまぁ、もう終わりで良いて」
真っ先にしほが我にかえりました。自分たちを探しているのは友人のりま、何も怖がることはないのです。ですが、近くで声が聞こえたにも関わらずりまの姿が見えません。それに気付いたきっかとみちるがりまを呼び始めました。近くにいるのは分かっているのです。名前を呼びながら辺りを探します。
「ヒッ」
「しほっ!? ギャアァッ!!」
木を背にしたしほが短く息を飲み、ピタリと動きを止めました。異変に気付いたきっかは勢い良く振り返り、そして空気を切り裂くような高い声でまた叫びます。
しほの首に木から伸びた手が絡みついています。口からは言葉ではない音が漏れ、得体の知れないそれに怯えたしほは必死に呼吸を繰り返すことしか出来ません。
「アァ……アアア……」
「ハァッ、ハァッ、た、すけっ」
「り、りまっ! りまじゃん! しほ、大丈夫だよ。落ち着いて!」
「りま、どうしたん!? はよやめ!」
木の上からりまがこちらを向き、逆さ吊りのようにぶら下がってしほの首に手を絡めています。ああ、ああと言っていただけだったのが、段々と笑い声に変わっていきます。楽しい時の笑い声ではなく、まるで他の人が笑っているかのような不気味な笑い声。きっと三人もそう感じていたのでしょう。しほは恐ろしさに竦んでいるのか、一歩もそこから動かず苦しそうな呼吸を繰り返します。
「りま! りま! どうしたの!?」
「しほ!」
何が起きているか分からない、というのが一番怖いものです。きっかもみちるも泣きそうな声で友人たちの名前を呼ぶことしか出来ませんでした。
それでもりまは大きな声で笑い続けるだけで、言葉を返すこともありません。
「ば、ババ様を呼びにっ」
みちるが口にしたババ様というのは、古くからこの地区に一つだけある神社に住むおばあさんです。この神社は代々このおばあさんの家が守っていて、何か困ったことが起きると誰もがこのババ様に相談しました。
ババ様は不思議な力を持っていると聞いたことがあります。悪いものを鎮めたり、神様と通じたりするそうです。
「お前たちっ!」
「ぎゃーーーーっ」
ライトに照らされると同時に聞こえた大きな声に、きっかとみちるは抱き合って驚きました。
りまを止めようと騒いでいたため気付かない内に、村の大人たちがやって来たのです。先程名前の出たババ様と、ババ様の孫、それから松田という男性です。
「ば、ババ様っ」
みちるはばっと駆け出してババ様に抱きつきました。
「なんや、なんした」
「みちるちゃんか? そっちは、あれ。きっかちゃんじゃないね。来てたん」
大人たちはこの状況が飲み込めず、辺りを照らして状況を確認しています。
「はっ、はあっ、」
「しほ! しっかりして!」
しほが地面に突っ伏すように倒れ荒い呼吸を繰り返しています。あれは今思えば過呼吸になりかけていたのでしょうね。
大人たちもしほの異変に気が付き駆け寄りました。
「しほちゃん! しほちゃんか! しっかりせえ」
「いかん、しほ! ゆっくり吐け。ゆっくり息吐け!」
しほは手を震わせながら、ババ様の言うとおりゆっくりと深呼吸を繰り返します。
その時です。どさっと何かが地面に落ちる音がして、一瞬その場にいた全員がしんと静まりました。
「り、りま……?」
音のした方に振り向きながら、震える声できっかが呟きます。
先程までぶら下がっていた所には、りまはいませんでした。
「アハハハハッ! アハッ! アハハハッ!」
その場に不釣り合いの甲高い笑い声が、きっかとみちるの視線より下の方から聞こえます。
全員が笑い声のしたところへ視線を向けます。ババ様がライトで照らす先では、りまが奇妙な体勢でこちらを見ながら地面に伏しています。笑い声は暗い森の中で響き続けていました。
「こりゃ……もうだめかもしれん」
「ババ様、どういう」
「みちるちゃん、おじさんたちな、いつもこの森を見回りしとるんよ。みちるちゃん達も知っとるやろ、大きな木のところにある祠」
「う、うん」
知っているも何も四人はそこからかくれんぼを始めたのです。やっと呼吸が落ち着いたしほも合わせて三人は目を合わせて頷きました。
「あそこをな、見回りしとる」
「そうしたら開いとった。祠の戸が開いとった。お札も剥がされとったんよ」
「りまやね? 」
「祠が?」
「それは、知らんけど……」
りまが祠を開けたことを、もちろん三人は知りませんでした。ですが、とても大事になりそうな雰囲気です。大人達は三人とも「どうする」「大変だ」とうんうん言っていました。
葉っぱのカサつく音に、全員が硬直します。りまがすっと立ち上がり、みんなの方へ歩き出しました。もう笑い声は上げていませんでした。
「コウジ! その子らを連れて先に行け!」
「分かった! 立て、はやく!」
コウジと言うのは松田のおじさんのことです。どうしてだかババ様はそう言って、りまと他の三人を引き離すとお経を唱え始めました。
ババ様は小瓶のようなものを取り出しお経に合わせて中身の液体を地面に振りかけます。続いて近付いてくるりまにも振りかけます。りまは嫌そうに顔を背け、立ち止まりました。
するとババ様のお孫さんが、りまに縄を噛ませて垂のついた注連縄でぐるぐる巻きにします。ちょうどあの大木と同じようになりました。
「ん゛ー! ん゛ー!」
「黙れっ! 村の子に手を出して、ただじゃおかん!」
縄を噛まされ喋ることの出来なくなったりまは、目を見開き暴れますが、まだ小さな子どもの体では大人たちに勝つことは出来ません。
りまはそのまま俵担ぎされ、山の中腹にあるババ様の家へと連れて行かれました。ババ様の家では、松田のおじさんとしほ、きっか、みちるが待っていました。縄で縛られ暴れたからか傷だらけになり、ダラダラと涎を垂らすりまを見て、三人は泣きそうな顔をしていました。泣きそうな、というか怖がりのみちるは既にびしょ濡れの顔を真っ赤にしていて、りまの方に駆け寄るのを必死に止められていました。
ばたばたと騒がしくなり、誰かがやって来たのだと分かります。パァンと勢い良く襖が開くと、それぞれの保護者が来ていました。りまの両親は彼女を溺愛していて、本人にも分かるほど甘やかして大事にしていました。その娘が縄で縛られ暴れているのです。余程ショックだったのでしょう。母親はその場で倒れてしまいました。
「りまが……アレに魅入られてしまった」
ババ様はなんとも重々しい雰囲気で口を開きました。
りまは、ふうと息を吐きます。どこまで数えたかすっかり忘れてしまい、80から数えました。心のどこかには早くこの場を離れたい気持ちがあったのだと思います。やっと数え終え一息つくと、早速みんなを探しに行こうとします。なんとなくそうしなきゃいけない気がして、りまは後ろを、つまり祠を振り返りました。そして一瞬ピタッと止まると、口の端を持ち上げにんまりと笑みを浮かべたのです。
りまが100を数え終わり、何分が経ったでしょうか。四人はこんな時間に外に出て遊んだことはありませんでした。いけないことをしているような高揚感と、暗闇の中で隠れなきゃいけない恐ろしさでいつもの何倍にも心臓の音は大きく聞こえます。
「ねえ、りま遅くない?」
「しっ! 見つかっちゃう」
「いいやん、早く見つかって終わりにしよ」
「大体、なんでかくれんぼなのにみんな一緒におるかな」
大木の後ろからこそこそと会話する声が聞こえました。
「こんな暗いのに一人でおれんて」
「無理すぎる」
「まったく、きっかもみちるも私がおらんとだめやん」
「とか言って。しほも」
小さな声ですが視覚が鈍る代わりに聴覚が冴え、会話の声はとても大きな声に聞こえました。
「みィ……つ……けたア」
「きゃぁぁぁぁっ!」
ですから、鬼の声も三人の耳にははっきりと届いたことでしょう。普段聞き慣れた声ではありませんでした。壊れたCDのようなカクカクとした音で、地の底を這うような、それでもって喉をぎゅっと絞ったような声です。
急に近くで聞こえた音に、三人は声を合わせて叫びました。
「び、っくりしたあ」
「待って、いなくない? りまー、どこ?」
「りまぁ、もう終わりで良いて」
真っ先にしほが我にかえりました。自分たちを探しているのは友人のりま、何も怖がることはないのです。ですが、近くで声が聞こえたにも関わらずりまの姿が見えません。それに気付いたきっかとみちるがりまを呼び始めました。近くにいるのは分かっているのです。名前を呼びながら辺りを探します。
「ヒッ」
「しほっ!? ギャアァッ!!」
木を背にしたしほが短く息を飲み、ピタリと動きを止めました。異変に気付いたきっかは勢い良く振り返り、そして空気を切り裂くような高い声でまた叫びます。
しほの首に木から伸びた手が絡みついています。口からは言葉ではない音が漏れ、得体の知れないそれに怯えたしほは必死に呼吸を繰り返すことしか出来ません。
「アァ……アアア……」
「ハァッ、ハァッ、た、すけっ」
「り、りまっ! りまじゃん! しほ、大丈夫だよ。落ち着いて!」
「りま、どうしたん!? はよやめ!」
木の上からりまがこちらを向き、逆さ吊りのようにぶら下がってしほの首に手を絡めています。ああ、ああと言っていただけだったのが、段々と笑い声に変わっていきます。楽しい時の笑い声ではなく、まるで他の人が笑っているかのような不気味な笑い声。きっと三人もそう感じていたのでしょう。しほは恐ろしさに竦んでいるのか、一歩もそこから動かず苦しそうな呼吸を繰り返します。
「りま! りま! どうしたの!?」
「しほ!」
何が起きているか分からない、というのが一番怖いものです。きっかもみちるも泣きそうな声で友人たちの名前を呼ぶことしか出来ませんでした。
それでもりまは大きな声で笑い続けるだけで、言葉を返すこともありません。
「ば、ババ様を呼びにっ」
みちるが口にしたババ様というのは、古くからこの地区に一つだけある神社に住むおばあさんです。この神社は代々このおばあさんの家が守っていて、何か困ったことが起きると誰もがこのババ様に相談しました。
ババ様は不思議な力を持っていると聞いたことがあります。悪いものを鎮めたり、神様と通じたりするそうです。
「お前たちっ!」
「ぎゃーーーーっ」
ライトに照らされると同時に聞こえた大きな声に、きっかとみちるは抱き合って驚きました。
りまを止めようと騒いでいたため気付かない内に、村の大人たちがやって来たのです。先程名前の出たババ様と、ババ様の孫、それから松田という男性です。
「ば、ババ様っ」
みちるはばっと駆け出してババ様に抱きつきました。
「なんや、なんした」
「みちるちゃんか? そっちは、あれ。きっかちゃんじゃないね。来てたん」
大人たちはこの状況が飲み込めず、辺りを照らして状況を確認しています。
「はっ、はあっ、」
「しほ! しっかりして!」
しほが地面に突っ伏すように倒れ荒い呼吸を繰り返しています。あれは今思えば過呼吸になりかけていたのでしょうね。
大人たちもしほの異変に気が付き駆け寄りました。
「しほちゃん! しほちゃんか! しっかりせえ」
「いかん、しほ! ゆっくり吐け。ゆっくり息吐け!」
しほは手を震わせながら、ババ様の言うとおりゆっくりと深呼吸を繰り返します。
その時です。どさっと何かが地面に落ちる音がして、一瞬その場にいた全員がしんと静まりました。
「り、りま……?」
音のした方に振り向きながら、震える声できっかが呟きます。
先程までぶら下がっていた所には、りまはいませんでした。
「アハハハハッ! アハッ! アハハハッ!」
その場に不釣り合いの甲高い笑い声が、きっかとみちるの視線より下の方から聞こえます。
全員が笑い声のしたところへ視線を向けます。ババ様がライトで照らす先では、りまが奇妙な体勢でこちらを見ながら地面に伏しています。笑い声は暗い森の中で響き続けていました。
「こりゃ……もうだめかもしれん」
「ババ様、どういう」
「みちるちゃん、おじさんたちな、いつもこの森を見回りしとるんよ。みちるちゃん達も知っとるやろ、大きな木のところにある祠」
「う、うん」
知っているも何も四人はそこからかくれんぼを始めたのです。やっと呼吸が落ち着いたしほも合わせて三人は目を合わせて頷きました。
「あそこをな、見回りしとる」
「そうしたら開いとった。祠の戸が開いとった。お札も剥がされとったんよ」
「りまやね? 」
「祠が?」
「それは、知らんけど……」
りまが祠を開けたことを、もちろん三人は知りませんでした。ですが、とても大事になりそうな雰囲気です。大人達は三人とも「どうする」「大変だ」とうんうん言っていました。
葉っぱのカサつく音に、全員が硬直します。りまがすっと立ち上がり、みんなの方へ歩き出しました。もう笑い声は上げていませんでした。
「コウジ! その子らを連れて先に行け!」
「分かった! 立て、はやく!」
コウジと言うのは松田のおじさんのことです。どうしてだかババ様はそう言って、りまと他の三人を引き離すとお経を唱え始めました。
ババ様は小瓶のようなものを取り出しお経に合わせて中身の液体を地面に振りかけます。続いて近付いてくるりまにも振りかけます。りまは嫌そうに顔を背け、立ち止まりました。
するとババ様のお孫さんが、りまに縄を噛ませて垂のついた注連縄でぐるぐる巻きにします。ちょうどあの大木と同じようになりました。
「ん゛ー! ん゛ー!」
「黙れっ! 村の子に手を出して、ただじゃおかん!」
縄を噛まされ喋ることの出来なくなったりまは、目を見開き暴れますが、まだ小さな子どもの体では大人たちに勝つことは出来ません。
りまはそのまま俵担ぎされ、山の中腹にあるババ様の家へと連れて行かれました。ババ様の家では、松田のおじさんとしほ、きっか、みちるが待っていました。縄で縛られ暴れたからか傷だらけになり、ダラダラと涎を垂らすりまを見て、三人は泣きそうな顔をしていました。泣きそうな、というか怖がりのみちるは既にびしょ濡れの顔を真っ赤にしていて、りまの方に駆け寄るのを必死に止められていました。
ばたばたと騒がしくなり、誰かがやって来たのだと分かります。パァンと勢い良く襖が開くと、それぞれの保護者が来ていました。りまの両親は彼女を溺愛していて、本人にも分かるほど甘やかして大事にしていました。その娘が縄で縛られ暴れているのです。余程ショックだったのでしょう。母親はその場で倒れてしまいました。
「りまが……アレに魅入られてしまった」
ババ様はなんとも重々しい雰囲気で口を開きました。
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