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第13話 断罪 (前編)
しおりを挟むあの事件から2日後、シルヴィアの体調が落ちついたので、あの日の事を詳しく聞く為に、ヘルムート、コーネリウス、法廷書記官と共にローエンシュタイン家へやって来た。
先日、長年の誤解が解けてやっと両思いになった恋人達は朝からラブラブ全開である。
(( 帰りたい... ))
やって来た一同は心の中で思った。
ゴホンと咳払いするコーネリウス。
「 ヘルムート、ラブラブなのは仲睦まじくていい事だが、目的を忘れるなよ?」
ハッと気付いた二人は顔を赤くして距離を取る。
「シルヴィア...今日は先日の事を詳しく聞きに来たんだ。話したくない事もあると思うけど...できるだけ詳しく話してもらえると助かる。私達は、前からイザベル嬢を法廷で裁く為に、証拠集めをしているんだ。シルヴィアだけじゃなく被害者がたくさんいてね...シルヴィアも被害者でつらい立場なのはわかるが協力して貰えるとありがたい。」
ヘルムート様の役に立てるならば...と私はあの日起きた事すべてを話した。
私の話はすべて法廷書記官が記録する。
そして、この間傷つけられた箇所を、映像を録画できる魔法石に記録した。
映像を録画すると、ヘルムート様が治癒魔法で私の傷をすべて綺麗に治してくれた。
「 協力してくれてありがとうシルヴィア。しばらく証拠をまとめて裁判の準備をしたり、バタバタすると思う。会えなくても君の事を愛してる。時間が空いたら、必ず君のもとへ行くから...少しだけ寂しい思いさせてしまう事を許してほしい。」
ヘルムート様は私の額にキスをした。
あの日から、一気に恋人らしい距離感になって、まだ馴染めないでいたが、ヘルムート様はより情熱的になり、恥ずかしさはあったが嬉しかった。
「ヘルムート様もお忙しいと思いますがお身体に気をつけてくださいね。」
私も思いきって頬にキスをした。
後ろでコーネリウスと書記官が
(( 俺も可愛い彼女欲しい... ))
と見ていたのには気付いていなかった。
──────
やっとすべての証拠が揃い、2週間後裁判が行われる事になった。
場所は、貴族を裁く為に使われる大法廷場。
裁判長と裁判官達が入廷する。
「被告、イザベル・ベルナー、エリーズ・ベル、ナタリー・クレーマン前に出なさい。」
三人が出てきた。
エリーズとナタリーは顔が真っ青で今にも倒れそうだ。
しかし、リーダー格のイザベルだけは納得できないという顔で強気な態度を崩さなかった。
「君達にはたくさんの令嬢に対する陰湿な嫌がらせや暴力の訴えが上がっている。覚えはあるかね?」
イザベルは裁判長を睨みつけ「そんなのあるわけありませんわ!」と怒鳴った。他の令嬢二人はおとなしく罪を認めた。
「イザベル嬢、君が主犯格で今まで、長期に渡ってたくさんの令嬢に対する陰湿な嫌がらせや暴力を行っていた証拠も提出されている。」
そう裁判官が述べると裁判官は映像石を取り出した。
「 これはすべて、君達が行った暴力によって、令嬢達が負った傷の映像だ。こちらに診断書もある。」
映像を見せながら傷を負わされた令嬢達の名前を裁判官は読み上げる。被害にあった令嬢達は20人にも及んだ。
「そんなのでっち上げですわ!きっと誰かがわたくしを貶めようとしているのに違いありませんわ!?」
まだ罪を認めようとしないイザベル。
「すべて目撃情報もある。その日の君の行動もすべて目撃情報と一致しているが?」
裁判官がイザベルを睨む。
「 そんなの状況証拠にすぎませんわ?実際暴力を行っている映像もないじゃない!そんなの証拠にもならないわ!!本当に私がやったというなら証拠を出しなさいよ!! 」
これだけ証拠を提出されてもまだイザベルは自分の罪を認めなかった。
「では先日シルヴィア・ローエンシュタイン侯爵令嬢へ行った暴力の証拠映像をお見せしよう。証人前へ。」
裁判官の声にシルヴィアとヘルムートが証言台へ登った。
「私シルヴィア・ローエンシュタインは、先日、勤務中にイザベル・ベルナー嬢、エリーズ・ベル嬢、ナタリー・クレーマン嬢により空き部屋に無理矢理連れていかれ、いわれのない悪態をつかれ、暴力を受けました。そして部屋に閉じ込められた所を、ヴァレンティン卿と騎士団の方々に助けていただきました。」
私がされたことを話すとすぐにヘルムート様がフォローする。
「先日、勤務中にシルヴィア嬢の兄上から、妹が財務部に資料を届けに行ったまま戻らないと捜索の依頼がありました。王宮図書館内でもシルヴィア嬢が行方不明だと大騒ぎになっており、私と、その日残っていた数名の騎士達で捜索を行いました。」
そこまで言うとイザベルの方を向きヘルムートは睨みつけた。
「 図書館と財務部の間にあった空き部屋の前に、複数の足跡を発見したので...ドアを蹴破ると、シルヴィア嬢が倒れていたのを発見しました。ドアには鍵がかかっていました。あの日は寒い日でしたので...これは殺人未遂になりますよね?実際私が見つけるのが遅かったら...本当にシルヴィア嬢は凍死していたかもしれない。意地悪では済まされないことです。」
ヘルムートはシルヴィアの胸に付けられたブローチをシルヴィアから預かった。
─────
長くなりそうなので分けます(^-^;
後編更新までお待ち下さい。
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