18 / 19
第17話 打ち明ける秘密。
しおりを挟む私の食事が終わると、カーティス殿下は人払いをした。
今室内にいるのは、私の家族とカーティス殿下、王太子殿下と国王陛下だけだ。
「エリーゼ。今から大事な話をするから、よく聞いてほしい。君を襲った令嬢を調べた結果、彼女は魔法で操られていたことがわかった。」
カーティス殿下は、私が不安にならないように私の手を取り優しく握ってくれる。
「誰に操られたのか?どういう意図があって君を狙ったのか···残念ながら、彼女は何も覚えていなかった。」
悔しそうに、カーティス殿下は顔を歪めた。
「あの···操られていた彼女は···何か罰を受けるのでしょうか?」
私は彼女の処遇が気になった。
例え操られていたとしても、王族にケガをさせたのだから···厳しい罰は免れないだろう。
しかし···彼女もまた被害者なのだ。
隷属の呪文は禁忌とされている。
隷属の呪文をかけられた者は術者の命令には絶対に抗えない。
本当に悪いのは、何も罪のない善良な彼女を操って人を害そうとした術者だ。
しかも禁忌とされている隷属の魔法を使って。
真犯人が捕まらない限り、第二、第三の被害者が出るかもしれない。
したくもないことを···無理矢理逆らえない状況でやらされた被害者が裁かれるなんて···。
だけどケガ人が出たからには、きっと彼女は裁かれるだろう。
なんて卑劣な犯人なの···。
「彼女に罪を問うのは···私達も悩んでいる。しかし···王族を皆の前でケガをさせた以上は、彼女は罰せなければ···皆は納得しないだろうな。」
カーティス殿下は悔しそうに唇を噛んだ。
「カーティス殿下。お願いがあるのですがよろしいですか?」
私は覚悟を決め、カーティス殿下に声をかけた。
「エリーゼ···?お願いとは?」
カーティス殿下は驚いて目を見開いた。
「私の秘密をお教えします。そして···全面的に王家に協力いたしますので···。どうか、彼女の処遇は私に任せてはいただけないでしょうか?」
私はカーティス殿下、国王陛下、王太子殿下を見つめてから頭を下げる。
「エリーゼ···。それは私では決められない。父上、兄上···。どうか···私からもお願いします。」
驚いたことに、カーティス殿下も国王陛下、王太子殿下に向かって頭を下げたのだ。
「エリーゼ嬢。君の秘密とは···それほどこの国にとって重要なのかね?それを···赤の他人の令嬢の為に私達に教えると?万が一調べて、本当に重要なのがわかれば···君は一生この国に縛られることになるが良いのかね···?」
陛下は、私の隠された秘密が本当に重要な事だと信じてくれているようだ。
そして、それを話せば私がこの国に縛られることを心配してくれている。
私を庇ってケガをしたカーティス殿下。
国にとっての国益よりも、私本人の意思を尊重し、心配してくれる心優しい国王陛下。
この優しい人達の為なら···この人達なら···きっと私を悪く扱わないと信じられる。
それに、罪のない人間の命を救うにはこれしかない。
「覚悟はできています。私も貴族の娘です···。それに、陛下達ならば、私を悪く扱わないと信じられます。」
私は覚悟を決めて真っ直ぐ陛下を見る。
「わかった。ではエリーゼ嬢の話を聞こう。」
陛下は私の覚悟を決めた表情を見ると、心配そうに私を見つめた。
「陛下···。ステータスを調べる装置はありますか?たぶん見てもらった方が早いので···。」
私がそういうと、陛下は部屋の外で待機する護衛騎士に指示を出し、ステータスを調べる為の宝玉を持って来させた。
陛下がまた人払いをすると、私は部屋の中全面に防音と覗き防止の結界を張った。
「驚かせてしまうことを先に謝ります。」
私は陛下達に頭を下げる。
「ステータスオープン!─隠匿解除─」
私がステータスを開くと、陛下達がゴクリと唾を飲む音が聞こえた。
エリーゼ・キャロライン(15)
レベル50
ジョブ: 聖女
HP : 55000/55000
MP : 500000/500000
固有スキル
経験値倍加 、魔法耐性: Lv 10、物理攻撃耐性:Lv 10、状態異常耐性:Lv 10 全属性魔法使用可 、聖魔法 Lv ∞、鑑定 :Lv 10、アイテムボックス :Lv 10
称号 : 全能神に愛された者
加護 : 全能神の加護、全能神の祝福、精霊王の加護
契約獣 : ステラ (ホーリードラゴン)
表示されたステータスに、私の家族も、陛下、王太子殿下も目を見開き驚いていた。
カーティス殿下だけは驚いていなかった。
カーティス殿下はジッとステータスを見つめた後、心配そうに···皆に見せて良かったの?と心配そうに声をかけてくれた。
「エリーゼ嬢···。君は聖女様だったのか!?それに全能神の加護に···精霊王の加護···しかも聖獣と契約もしてるとは···!?」
陛下は腰を抜かしそうになっていた。
「ステラ。もう現れてもいいよ。」
私が声をかけると、ポンッという音と共にステラが現れた。
「初めまして。ステラだよぉ!」
陛下の目の前で、ステラは元気いっぱいに挨拶した。
「なんと···聖獣様か!?」
陛下はステラを見るなりとうとう腰を抜かしてしまったようだ。
「お父様···お母様···お兄様達も···秘密にしていてごめんなさい。」
私は家族に向かって頭を下げると、家族が私のもとへ集まってギュッと私を抱きしめた。
「例えどんなステータスだろうが、例え聖女だろうが悪人だろうが関係ない。エリーゼ。お前は私達の大事な娘だよ。」
お父様の言葉に、涙が溢れた。
お父様に続き、お母様もお兄様達も優しい言葉をくれた。
家族···今までずっとどこか私の居場所ではない気がしていた。だって私は···本当の娘じゃない。
体はエリーゼのものだけど···。
本当に家族だと思っていいのだろうか?
でももう私は、とっくにこの家族の一員だったんだ。
私の中のエリーゼもまるでそうだよと言ってくれているかのように胸が温かくなった。
そんな私の姿をカーティス殿下は嬉しそうに見つめていた。
1
あなたにおすすめの小説
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
あなたの片想いを聞いてしまった夜
柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」
公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。
政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。
しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。
「好きな人がいる。……片想いなんだ」
名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる