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第14話 王族主催のパーティー(3)
しおりを挟むパーティーへ行く支度を済ませた私は部屋を出る。
階段の下では、兄達も支度が済んだのか私とお母様の支度が終わるのを待っていたようだ。
「お兄様方...お待たせしてすみません。」
私が声をかけると兄達は私の姿を見ると頬を染めた。
「 何で兄妹は結婚できないのだろうな...今だけは血が繋がっていない者が羨ましいと思うよ。」
背筋に悪寒が走った。
兄は本気で言っている...。
「マティアスお兄様?どこかへ頭でもぶつけたのですか?」
私は思わず溜め息を漏らす...。
「マティアス...エリーが嫁に行かなければ私達と永遠に一緒にいられるのではないか?」
アルベルトがいい事閃いた!と言わんばかりの笑顔を浮かべた。
「 私が家を継ぐからお前はエリーとは一緒にはいられないぞ?お前もこの家に残るつもりか?」
残念ながら、次男であるアルベルトは家を継ぐことはできない。
自分で功績を上げて叙爵されるか、良い家格の家に婿に入るかなのだが...兄は先の戦争で、敵陣を一人で壊滅状態に追い込むと言う武勲を上げており、もうすでに子爵位を叙爵されている。
先月、婚約破棄騒動を起こした伯爵家が反逆行為を行っていた事が発覚し、爵位が剥奪された。
反逆行為を見抜いたのがアルベルトお兄様だ...我が兄二人はとても優秀なのである。
そして、アルベルトお兄様には王家の番犬という二つ名がある。
アルベルトお兄様の能力を王太子殿下はいち早く目を付けた。
兄は今、王族直属の部隊の副隊長を務めている。
アルベルトお兄様は、騎士だが脳筋というわけではない。部隊では、知将と言われている。
子爵として与えられた領地の運営の手腕や魔道具開発でも相当な功績を上げており、兄を陞爵させて伯爵位につけてはどうか?という話が出ている。
たぶんすでに決定事項だろう。
20歳という若さで異例の大出世なのだが...この通り重度のシスコンを拗らせている為、とても残念なのである...。
話は反れたが...お母様の支度も終わりみんなで馬車に乗り込む。
先ほどのやり取りで兄二人は絶賛大ゲンカ中...。
今は、今夜の私のエスコートをどちらがするかで揉めている。
兄達の愛が重たい...。
この調子で行くと、私の婚期はかなり遅くなりそう...。
兄達二人には、是非とも妹離れしてもらわなければならない...。
王城に付くとマティアスお兄様がエスコートをしてくれることになった。
揉めに揉めて最後はジャンケンで決めたらしい。
アルベルト兄様ドンマイ...。
今夜のマティアスお兄様は王子様よりもキラキラしていそうだ...。
とにかくこの兄は顔がいい...。
無駄に顔がいいだけにとにかく周りの目を惹き付けてしまう。
会場に着くと、周りの視線がこちらに集中する。
もちろん大半は兄に対してだが...
その兄にエスコートされる私が気になるんだろうな。
ドレスも宝飾品も髪型もこの日の為に準備してきた。
大丈夫。お母様も太鼓判だったもの。
背筋をピンと伸ばし胸を張れ。
笑顔と言う名の仮面を貼り付けた。
周りを見渡すとやはりドレス選びは大成功だ。
みんな私のドレスや宝飾品、髪型を見ている。
誰ともドレスは被ってない。
お兄様と共に、知り合いの貴族達に挨拶をする。
皆に「素晴らしい装いだわ。どちらのお店で仕立てられたの?」と聞かれた。もちろん我が領地の仕立て屋だ。しっかり宣伝するのも忘れない。
そして招かれた貴族がすべて会場に揃ったのか、会場に国王陛下、王妃様、王太子殿下、王太子殿下の婚約者が入って来る。
国王陛下の歓迎の挨拶と共にパーティーが始まる。
貴族達は、家格の高い順に国王陛下、王妃様、王太子殿下に挨拶をする。
そして王太子殿下に贈り物を渡すのだ。
我が家は筆頭公爵家。公爵家の中でも序列一位。
挨拶のトップバッターである。
国王陛下、王妃様、王太子殿下、王太子殿下の婚約者様にカーテシーをして挨拶をする。
「 本日はよく来てくれた。皆に会えて嬉しいよ。エリーゼは、まだデビュタントを迎えていないから、公式なパーティーは初めてで緊張している事だろう。あまり固くならず、パーティーを楽しんでいってほしい。」
陛下はニコニコと優しく微笑んだ。
「やっと貴女に会えて嬉しいわエリーゼ。ぜひパーティーを楽しんで頂戴ね。公務で遅れて来ると思うんだけど、第二王子にもぜひ顔を見せてあげてね。」
王妃様も優しく微笑んで、親しげに語りかけてくださった。
続いて王太子殿下と婚約者様にご挨拶をする。
「エリーゼ初めましてだね。父上や母上から君の話はたくさん聞いているから初めてな気がしないな。婚約者共々仲良くしてくれると嬉しい。」
王太子殿下も婚約者様もお二人共優しく微笑んでくださった。本当に素敵なお二人だわ。
いよいよ贈り物を渡す時が来た。
お父様、お母様からは不死鳥の羽を使った織物だ。
不死鳥は名前の通り何度も蘇る縁起の良い鳥だ。
その織物を用意するのは、高位貴族でもなかなかできないだろう...国宝級の品である。
その贈り物に周りから感嘆の声が上がる。
筆頭公爵の格の違いを見せつけた。
お父様さすがだわ..。
「私からは、王太子殿下と婚約者のジョゼフィーヌ様に“精霊の祝福”を贈りたいのですがよろしいでしょうか?」
私の言葉に周りがざわついた。
“精霊の祝福”とは名の通り精霊からの祝福で、これを贈れる人間は、この国では私一人。
精霊王の愛し子しか祝福を贈る事ができない。
精霊の祝福を受けた王族は過去を見てもほとんどいないだろう。
精霊の祝福は、呪いや魅了をはね除け、毒や状態異常も効かなくなる。そして物理攻撃や魔法攻撃のダメージも軽減してくれる。
次代の王となる王太子殿下、次代の国母になられるジョゼフィーヌ様にとっては最高の贈り物になるだろう。
次期王、次期王妃になる二人を狙い、魅了しようとする者、命を狙おうとする者は絶対現れる。
近年増える婚約破棄騒動もそれだ。
高位貴族の地位を狙う者、王位を狙う者はこの会場にもたくさんいる。
だから先手を打った。
挨拶の順が一番最初にやって来るからこそ、この贈り物が最適だと思ったのだ。
「エリーゼ...君は精霊の愛し子だったのか!?精霊の祝福は王家として大変ありがたい。一番の贈り物だよ!!...本当にありがとう。」
王太子殿下もジョゼフィーヌ様も大変喜んでくださった。お二人の役に立てて嬉しい。
「では...皆に見えるように可視化しましょう。」
私がパチンと指を鳴らすと精霊達が可視化された。
王太子殿下とジョゼフィーヌ様は光の粒子に包まれる。
「これが祝福か...体がほんのり暖かくてとても幸せな気分だ。」
「本当ですわね...大変素晴らしい贈り物ですわ。エリーゼ様、私まで祝福を与えてくださり本当にありがとうございます。それに私..精霊を見るのが夢でしたの。」
お二方に大変喜ばれた。
良かった。
会場を見ると、目の前の光景を見て感嘆の声をあげる者、魅了を狙っていたのか悔しそうにする者...など反応は様々だった。
狙った者の顔は覚えた。
王族を害そうとする者、王族を利用する者は絶対に野放しには出来ない。
お兄様達も周りを見てチェックしていたので、屋敷に戻ったらどの家の人間かお兄様達と一緒に調べよう。
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